10月22日より23日にかけて大阪市生野区で「東北アジアコリアンネットワーク会議」が、コリアNGOセンター、東北アジア平和連帯、全南大学世界韓商文化研究団の共同主催で開催された。2002年度の東京会議、2003年度のソウル会議に続き、3回目にあたる同会議には、在中国、在ロシア、韓国NGOなど海外から約五〇名が参加し、在日コリアンおよび日本の市民らを含めてのべ150名を越える人々が参加した。

翌日から本格的な討論がはじまり、第一部では教育問題について中国、ロシア、日本での状況が報告された。(それぞれの報告テーマと報告者の詳細は別掲載)
特に教育問題は韓国社会においても今後の在外同胞との協働事業を進める重要な課題として関心を集めている課題であると同時に、ロシア、中国などではすでに東北アジア平和連帯など韓国のNGOを中心に、民族学校の設立、教材支援、教員に対する研修プログラム実施、青少年キャンプなどの交流プログラム、IT支援事業、韓国からの教育ボランティアの派遣など様々な支援事業がおこなわれている。 こうした韓国からの支援事業については評価しつつ、その一方で、在日コリアン社会でこれまで長年にわたって取り組まれてきた民族教育の意味とその基本的なあり方から見るとき、在外同胞の主体性を尊重した民族的アイデンティティの育成のための協力の方向をめぐってより深い論議が必要とされる課題も明らかとなった。(詳しくは後述)
このことはある意味で、これからの在外同胞の教育に対する必要性と重要性が互いに深く認識されつつあり、またこうした議論がきわめて実践的に論議される段階まで発展していることの一つの証左でもあるといえるだろう。
次に討論議題となったNGO交流については、各国で現在中心的に取り組まれている課題および韓国における在外同胞支援運動の現況について報告された。 ロシアからは、旧ソ連の崩壊や独立国家の出現に伴って、以前の居住国からロシアに戻った多くの高麗人が、未だにロシア国籍を取得できず、外国人や無国籍者のまま苦しい状況下で暮らしており、ロシア国籍回復が重要な課題になっていること、また移住一四〇周年を迎え、強制移住など過酷な歴史をたどってきた高麗人の名誉回復が求められていることなどが報告された。
また中国からは、中国朝鮮族にとって「地域共同体」からより包括的な意味での「文化共同体」の形成が求められていること、そして市民社会の発展にともない、きわめて困難な状況の中にあるが、徐々に朝鮮族のNGOが生まれ始めており、今後こうした市民社会団体が朝鮮族社会の発展にとって大きな役割を果たしていく必要があることなどが報告された。
一方、韓国からは韓国政府の在外同胞政策が法制度的に、また機構的に未整備であり、また一般国民の意識から見てもまだまだ関心が弱いなどの問題点が多いことが指摘された。そのうえで、韓国政府の在外同胞政策の転換を図る上でも在外コリアンのネットワークの必要性が高まっていることなどが報告された。 こうした報告を受けて討論が進められ、在外コリアンが多様な課題に直面していること、それらの課題を克服していくためには、居住国での取り組みと同時に国境を越えて可能な連携を具体的に図っていくことが重要であることが強調された。
経済分野では、全南大学と大阪市立大学の朴一教授が報告し、グローバリゼーションのもとでの経済交流の重要性などについて意見が交わされた。最後の全体討論では、今後の具体的なネットワークの構成の内実について論議がおこなわれた。
国際会議の最後に、「東北アジア平和宣言」が全体で確認された。(宣言文は別掲載)