韓国哲学が専門で、現代韓国をさまざまな角度から研究する小倉紀蔵・京都大学大学院准教授が1月23日、指導学生らをつれて大阪市の生野コリアタウンを見学、大阪市立中川小学校民族学級を訪問した。
この日、小倉紀蔵准教授が引率したのは韓国、中国朝鮮族自治州、サハリン出身のコリアン留学生。また、スロベニアの文化人類学者で在日コリアン問題を研究しているナターシャさん。生野コリアタウンで当センターの金光敏事務局長から説明を受けた後、中川小学校を訪問、4年生の民族学級授業を見学した。子どもたちが朝鮮半島の地理について調べ学習に取り組んでいるのを参観した。また、学校関係者から子どもたちの日常の様子や、教育の課題について説明を受けた。民族学級を見学した博士課程の学生は、「3世、4世の子どもたちがルーツを一生懸命学んでいるのを知って感動した。」と感想を述べた。小倉准教授は、「何か工夫してぜひ持続的に交流できれば」と語った。
(2012.01.26)
去る12月21日、大阪府議会は学校法人大阪朝鮮学園に対する補助金の大幅減額を含んだ2011年度補正予算案を可決した。朝鮮学校に対する高校無償化政策の適用に文部科学省が判断を保留する中、橋下前大阪府知事が朝鮮学校の教育内容を問題視、それがきっかけとなりこれまで実施されてきた大阪府外国人学校振興補助金の朝鮮学校支給が見直される格好となった。
当センターは、朝鮮高級学校にも高校無償化政策が適用されるべきであり、朝鮮学校をはじめ府内の外国人学校への大阪府の補助金がさらに充実化されるべきだとの立場であった。その原則に照らし合わせても、今回の大阪府議会の決定は理解しがたいものである。
今回の決定にあたり、朝鮮学校内に掲げられる朝鮮民主主義人民共和国の指導者の肖像画を府議会の主要会派が問題視したと報道されている。ただ、初級学校、中級学校では、子どもたちが使う教室からは外されており、大阪府もそれを確認した上で、橋下前知事時代に支給を決定した。それが今度は、教室ではなく、職員室の肖像画を理由に府議会の主要会派が補助金支給に反対した。
日本社会から何ら公的支援を受けられなかった時代、北朝鮮からの支援が朝鮮学校にとって頼みの綱であった。そうした歴史的経過から朝鮮学校は北朝鮮に依拠して教育を行ってきた。しかし、もはや世代が変わり、日本国内の公的支援が学校経営の中心を占めるようになった今、朝鮮学校の教育にも多様性が生まれ日本社会への貢献度も飛躍的に増してきた。朝鮮学校関係者による改革の努力は今も懸命に続いている。
今回の大阪府議会の決定が、そうした当事者の自主的改革の努力を阻害するだけでなく、そこに通う子どもや親をもっとも苦しめることをどのように受け止めるつもりであろうか。一方、今後は補助金を受給する他の外国人学校に対しても学内の掲示物の一つ一つまで政治が審査し、場合によっては補助金額を止めるなどを行うというのであろうか。
憲法が保障する学問の自由、思想信条の自由や、少数者の権利保障を謳う国際人権法の趣旨、そして多民族・多文化共生社会を実現するという時代的要請の観点に立って見ても、今回の決定は決して容認されるべきものではない。大阪府議会の各会派にもう一度、今回の決定の再考を強く求めるともに、在日コリアンをはじめすべての外国人・民族的マイノリティの教育権保障にさらに深い理解を持つよう求めたい。
2011年12月22日
特定非営利活動法人 コリアNGOセンター
済州ハン文化ネットワークのメンバーが大阪市立中川小学校で学校公演
タルチュム
プンムルノリ
生野コリアタウン共生まつりへの出演に合わせ、来阪した済州ハン文化ネットワークによる学校公演が11月14日、大阪市立中川小学校(生野区)で行われ、子どもたちが力強い演奏と、ユニークに富んだ仮面劇を堪能した。
前日に行われた「生野コリアタウン共生まつり2011」の出演に合わせ、来日した済州ハン文化ネットワークのメンバーがせっかく来日したのでぜひ子どもたちの前で公演してほしいというリクエストを受け、実現した。中川小学校は、コリアン集住地域を校区に持ち、在校児童の約半分強がコリアにルーツを持つ子どもたちだ。
公演では、ケンガリ、チャンゴ、チン、プク、テピョンソを駆使したプンムルノリ、躍動感あり力強い振る舞いの仮面劇鳳山タルチュム、また老若が楽しめる遊びカンガンスウレを楽しんだ。
最後に、ネットワークのメンバーから鳳山タルチュムの仮面と記念Tシャツが学校に寄贈された。
(2011.11.16)
日本ラチーノ学院が各種学校として認可、ブラジル学校として最西の認可校に
日本ラチーノ学院の生徒たち
関西では最も多くの南米出身者が暮らす滋賀県で、初めてブラジル学校の公的認可が行われた。
滋賀県は、去る11月11日付けで、滋賀県近江八幡市の日本ラチーノ学院から申請が出されていた各種学校及び準学校法人を認可した。去る10月の私学審議会の審議を経て、一連の手続きが終了、準備から2年弱をようしてようやく県内唯一のブラジル学校が認可された。滋賀県での多文化共生の推進に大きな一歩だと言える。
これによって、滋賀県が実施している助成金が支給される上、高校無償化の対象にも加えられる。また、授業料への消費税免除、子どもたちが通学に電鉄を利用する際の学割など、公的認可の効果は大きい。一方、ブラジル人の生活状況は依然厳しく、公的認可によって家庭の授業料負担の軽減に期待が集まるが、認可による公的支援の規模は小さく、授業料を減額するなどの措置がどの程度可能か学校経営側の悩みは大きい。
2009年6月、自公政権下で議論されてきた「外国人学校支援法案」が公明党により初めて国会に提出された。この法案は廃案になったものの、現行の外国人学校の支援をより重層的にすることを目的とする法案で、今後こうした法案がもう一度、議論されることに期待が集まっている。
当センターは、滋賀県内のブラジル学校支援を続けており、日本ラチーノ学院の認可が正式に決まったことを歓迎しつつ、より抜本的な在日外国人の教育環境改善に取り組んで行きたいと考えている。
(2011.11.16)
駐大阪韓国総領事から民族学級への教材伝達式が行われる
ソンセンニムを代表して答礼挨拶
公立学校における民族学級をより活性化することを目的として、駐大阪韓国総領事館による民族学級教材、教具伝達式が11月10日、大阪市中央区のニューオオサカホテルで行われた。
在日コリアン社会の活性化に欠かすことのできない教育事業への関心が年々高まりを見せる中、民族楽器や伝統衣裳、また民族講師たちの教材製作に活用できるコンピューターが伝達された。主催者として挨拶に立った李愚国(イウグク)副総領事は、「日々苦労されている民族学級のソンセンニム(先生)たちに少しでも励みにしてもらいたい」と述べた。
伝達される側の現場を代表して答礼挨拶を行った大阪市立舎利寺小学校の金徳美(キムドンミ)ソンセンニムは「関心を持っていただいていることに感謝を述べるとともに、いただいた教材、教具を子どもたちのために活用すべき現場で努力したい」と語った。
伝達式のあと出席者らで懇親が催された。伝達式及び懇親会には、民族講師たちのほか、保護者会代表者、民団関係者、そして当センターからも参席した。(2011.11.16)
大阪市の放課後活動「いきいき活動」にコリア文化体験プログラムを派遣
子どもたちのサムルノリ演奏
大阪市教育委員会の外郭団体である「大阪市教育振興公社」が実施する文化体験デリバリー事業。この事業に当センターがコリア文化体験プログラムメニューを提供している。去る10月27日、大阪市立福小学校(西淀川区)の放課後活動「いきいき活動」で、当センターのスタッフがコリア文化体験講座を実施、民族楽器、伝統遊びなどを楽しむ子どもたちの歓声が校舎いっぱいに響き渡った。(2011.11.14)
夜の中学生も、文化祭!学びの意味、刻む言葉と言葉
「学校で文字を」
「質問をすると」
「果せなかった夢ついに」
大阪市立東生野中学校夜間学級で文化祭が開催され、生徒たちが綴った文字ポスターが掲示された。作品は一様に名作ぞろいで、好評を博した。
夜間学級は、夜間中学とも呼ばれ、戦争や貧困によって義務教育を終えられなかった人々を対象に設けられた正規学校で、大阪府内には10校の夜間学級が開設されている。東生野中学校夜間学級は、生野区の在日コリアン集住地区に設けられているということもあり、在籍生徒約210名のうち、8割以上が在日一世、二世たちだ。最高年齢は80代。高齢の生徒も毎日、自転車で通いながら、勉強に勤しんでいる。
授業科目は、中学校の正規過程を行うことになっているが、入学時には文字の読み書きそのものが難しい生徒もいて、五十音順から順次、生徒のニーズにあわせて学習カリキュラムが組まれている。
東生野中学校では、コリアンなど外国にルーツのある生徒が大半を占めることから、出身国の文化や民族の心を大切にする取り組みを進めている。入学時には、本名使用を勧めているほか、民族学級にあたる朝文研、また日常の授業の中でも民族のルーツをできるだけ取り上げるなどの工夫がなされている。
今回、開催された文化祭の作品展では、生徒たちが学びたての文字をふりしぼって書いた、生き生きとして文字作品が展示された。
「今はテレビを見ていても わかる文字とわからない文字がある もっともっと勉強して新聞よめるようになりたい」
「ちいさいときからはたらいてびょうきもして がっこうはいけませんでした 夜間中学にきて 名前もかけるようになりました」 (2011.10.22)
滋賀県近江八幡市の日本ラチーノ学院で多文化共生フェスタ開催
生徒たちが踊りを披露
現在、滋賀県に各種学校の認可申請を行っている近江八幡市のブラジル学校『日本ラチーノ学院』が10月8日、多文化共生フェスタを開催した。毎年、フェスタジュ二ーナ(収穫祭)を7月に開催してきたが、節電などの状況を考慮して、多文化共生まつりとして延期開催した。当日は、ラチーノ学院の駐車場にブラジルの郷土料理の店が出たほか、生徒らが練習を重ねてきた踊りなどが披露された。
会場には、地元の日本人住民の多く姿もあり、日本ラチーノ学院の処遇改善を取り上げてきた梅村正滋賀県議会議員や池上知世近江八幡市議会議員も応援にかけつけた。
また、この行事には、日本ラチーノ学院に在籍生徒やその家族以外にも、県内各地からブラジル人住民らが訪れ、ひととき出身国ブラジルの雰囲気を味わう楽しいフェスティバルとなった。
日本ラチーノ学院は、滋賀県から今年中に各種学校の認可がおりる見通しだ。各種学校認可がおりると、滋賀県の補助金が受けられるほか高校は無償化に。また、通学割引なども活用できるようになる。
当センターは、日本ラチーノ学院に対する支援を続けており、滋賀県の認可基準の見直しをはじめ地元自治体への処遇改善について関係自治体に働きかけを行ってきた。各種学校認可申請は、当センター所属の孫勇(ソンヨン)行政書士が支援した。 (2011.10.11)
石川博崇参議院議員が民族学級を訪問
民族学級を見学する石川議員(中央)
公明党の石川博崇参議院議員が9月7日、大阪市立中川小学校を訪問し、民族学級の授業などを見学した。この日の見学は、公立学校における外国人の子どもの支援教育の現場実態を知ることを目的に実施され、当センターの要請を受けて実現した。
この日は5年生の授業を見学し、2学期に予定される発表会でサムルノリ演奏に取り組むことが話し合われた。サムルノリで使われる楽器の名前やその由来などについても学び、発表会で担当したい楽器を何にするのかについて子どもたちが意見を出し合った。
石川議員は、子どもたちのそばに近寄って声をかけたり、校長先生に質問するなどした。授業終了後には、当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長のコーディネートで民族講師をはじめ教職員と意見交換した。
石川議員は「外国にルーツのある子どもたちの文化性が生かされることは日本社会の活性化にも有益で、学校教育が国際理解に体系的に取り組むことは国際社会に目を向ける若い人たちを育むこと」と述べ、「すぐに大きな変化がないとしても、現場で取り組みやすい環境を生み出すために関心をもって取り組みたい。」と語った。 (2011.9.8)
民族講師たちが韓国で研修、「民族学級の活性化に生かしたい」
韓国語専門研修
伝統陶磁器づくりを体験
大阪韓国総合教育院の主催による「民族学級講師韓国研修旅行」が、9月1日から4日までの4日間に渡り、韓国各地を会場に実施された。この研修会は、韓国社会における在外同胞への関心が高まる中、韓国政府や国立公州大学校などの協力を得て行われ、大阪、神戸から26名の民族講師が参加した。
研修会では、韓国ソウル市の小学校見学のほか、南北境界線付近の訪問、公州大学での韓国語専門研修、また歴史探訪などが取り組まれた。また、韓国の伝統陶磁器の体験講座、伝統菓子の試食などのプログラムもあった。
研修会に参加した当センター評議員でもある姜孝裕(カンヒョユ)民族講師は、「民族学級支援を目的にこうした研修会が行われたことは画期的で、準備にあたった関係者に心からの感謝を伝えたい。研修旅行の成果を子どもたちのために生かしていきたい。また、継続的にこうした研修会が開催されることを期待したい」と語った。
この研修旅行には、民団大阪本部と当センターから引率者が同行した。 (2011.9.8)
建国高校吹奏楽部が関西吹奏楽コンクールで金賞を受賞
第61回関西吹奏楽コンクール(関西吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)が22日、滋賀県守山市三宅町の市民ホールで開催され、小編成の部で韓国系民族学校の学校法人白頭学院建国高校吹奏楽部が金賞を受賞した。
今回のコンクールには、近畿地方から選抜された34校が出場し、建国高校吹奏楽部を含め5校が金賞を受賞した。建国高校吹奏楽部部長、3年生の金裕敏(キム・ユミン)さんは朝日新聞の取材に対し「3年生は2人だけで、部員が少ない中、一人ひとりが積極的に練習することを心がけてきた。中学から6年間の思いを込めて演奏した」と語った。
(2011.8.25)
夏休みをむかえ、各地で外国人教育をテーマに教員研修開催
戎小学校での研修の様子
夏休みに入り、各地で公立学校の教員研修が活発に行われている。学期中には忙しくてできない理論研修や技能研修が教育委員会主催で多数企画されており、教員たちがさまざまな領域や専門分野に分かれて研修を受けている。
大阪府泉大津市教委が主催する2011年後新年教員研修が7月23日、市内の戎小学校で開催され、戎小学校の金泰賢(キム・テヒョン)民族講師が朝鮮半島の伝統絵文字をモチーフにした絵画作りの研修講師を務めた。民族学級で取り組まれている図工だが、クラスの実践でも活用できることから、新任教員たちの研修内容として取り入れられた。
新任教員たちは、朝鮮半島の伝統絵文字について説明をうけた後、それぞれの名前の文字を使った絵文字を作成した。創意工夫に富んだ作品が作業終了後に紹介された。
この夏休み中、当センターでは、関西各地の教員研修に取り組む。多民族・多文化共生教育の推進の観点に立った研修が8月末まで繰り広げられる。
(2011.7.25)
韓日の学生らが民族学級を訪問
民族学級の授業を見学
大阪市内の民族学級の様子を知ろうと韓日の学生ら約30名が7月8日、大阪市立小路小学校(生野区)民族学級を訪問。子どもたちと交流した。
東京にある国際基督教大学文化人類学科の学生らと、韓国ソウルの韓信大学日本語学科の学生らが、夏休みを利用して行った大阪での現地研修の際に、ぜひ民族教育の現場を見て帰りたいとして企画された。両校は、民族学級で合流し、子どもたちから民族学級の様子を聞いたり、逆に子どもたちから質問を受けるなどして交流した。また、授業交流終了後、担当する民族講師から民族学級の経緯や学習活動などの説明を受け、学生たちは熱心にメモを取りながら耳を傾けた。
これに参加した韓信大学の学生は、「民族学級についてはまったく知らなかったので、よい機会になった」と述べ、国際基督教大学の学生は、「地元東京でもこうした活動が必要では」と語った。
(2011.7.25)
在外同胞教育支援法の改正案、成立に向け与野党の合意が順調
政策討論会の会場内
在外同胞の教育支援を規定した法律の改定案について与野党の合意形成が順調に進んでいる。この改定案は、教育科学技術部(日本の文部科学省に相当)が所管して、在外同胞教育の特別会計制度を導入、安定的な財源確保をめざすというもの。これにより政権の動向や政治状況に応じて、在外同胞教育の支援費額が増減することを抑制できる。
この法案は、議員立法で提案されることになっており、国会教育科学技術委員会の幹事(筆頭理事に相当)である民主党の安敏錫(アン・ミンソク)議員、ハンナラ党の徐相箕(ソ・サンギ)議員が法案の今国会をめざして調整を進めている。
そうした中、6月13日に韓国の国会議員会館において在外韓国人学校理事長協議会主催の政策討論会が開催され、在外韓国人学校の安定的な運営に関わる政策提案、法律の早期制定を求める議論などが行なわれた。日本からも学校法人白頭学院、学校法人金剛学園、学校法人東京韓国学校の関係者らが出席した。海外には30校の全日制の韓国人学校がある。
この政策討論会には、与党ハンナラ党の黄佑呂(ファン・ウヨ)院内総務をはじめ、民主党代表の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)議員らもかけつけ、法案成立に向け努力するメッセージが伝えられた。
この法案が成立すれば、日本国内の韓国系民族学校への支援が拡充されるほか、他の在日コリアンの教育支援にも支援が届くことになる。
(2011.6.22)
新宿区議会で区立小中学校の日本語学級を求める陳情が審議未了に
去る6月13日に新宿区議会文教委員会が開かれ、「新宿区ニュー・カマーズ チルドレンの日本語学級とトータル・ケア-の確立を目指す会議」(以下、目指す会議)が
5月26日に提出した「新宿区の小・中学校に日本語学級設置とトータル・ケアーの確立に関する陳情」が審議された。
区議会を構成する各会派の委員からは、日本語学級の性格や設置の現状、区立小中学校における日本語学習支援活動の現状など、基本的な質問が出され、区教委の担当課長らが回答した。また、今年実施予定である区内の外国にルーツを持つ子どもたちの実態調査についても質問がなされ、区の多文化共生担当より文化観光国際課が中心となって、1500世帯の保護者にアンケート調査を行ない、そのうち200世帯を抽出してインタビュー調査を行なうとともに、教員からも聞き取り調査を行なう予定で、9月に調査を開始、12月に中間報告、年度末に最終報告書を提出する計画であると説明された。
質疑後に文教委理事による審議(非公開)がなされた結果、本陳情については意見がまとまらず、審査未了(実質的に廃案)になったことがあざみ民栄委員長より報告された。合わせて、理事らによる論議の要約として、採決や継続審議を主張する会派もあったが審査未了を望む会派が多かったこと、今回の陳情書にある日本語学級設置とトータルケアーの確立の2項目を分離して提出すべきという意見があったこと、などが報告された。
審議未了となったことについて、目指す会議のメンバーからは、「区議会も行政側も、子どもたちが置かれている厳しい現状をきちんと理解できていない」、「日本語学級と加配教師制度が並列に並べられ、二者択一的な論議がされていたが、それは事実誤認に基づく間違い。外国の子どもたちの教育に専念できる教員を置ける日本語学級こそが、今必要だ」などと憤りの声が上がった。
目指す会議では、今後も日本語学級設置とトータルケアーの確立を求めて、活動を継続する。当センターも引き続き積極的な参与を行なうつもりだ。(2011.6.22)
被災地の民族学校支援に当センターから支援金を送る
尹鐘哲・東北朝鮮初中級学校校長(左)に寄付金を伝達
東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方の民族学校に寄付金が5月24日伝達された。もっとも被害が大きかった東北3県のうち、宮城県と福島県に朝鮮学校があり、仙台市にある東北朝鮮初中級学校では、校舎が全壊状態となり、現在は寄宿舎を活用しての授業が再開されている。また、福島朝鮮初中級学校では、放射能汚染の危険から他県への疎開授業が行われるなど、被災地の民族教育は厳しい状況にある。
当センターでは、震災以来、被災地の民族学校、外国人学校を支援する寄付金を募っているが、すでに約90万円(5月25日現在)の募金が集まっている。そのうち50万円を最も被害が大きかった東北朝鮮初中級学校に、20万円を福島朝鮮初中級学校に寄附した。
寄付金の伝達を受けた東北朝鮮初中級学校の尹鐘哲(ユンジョンチョル)校長は、現在の学校の様子を説明しながら、「校舎の使用は不可能な状態となったが、子どもたちは不便な中でも懸命に勉学に取り組んでいる。地域の同胞社会と相談しながら、校舎の建て直しなどを協議している。」とし、「寄付金はありがたく、子どもの教育環境の改善に役立てたい。」と語った。
当センターが募った寄付金には、韓国の市民団体からの支援金も含まれており、本国からも被災した在日コリアン社会への応援メッセージが託されている。なお、福島朝鮮初中級学校への寄付金についても尹鐘哲校長に預けられ、現地に届けてもらうことになった。また、6月初旬にブラジル学校への支援金伝達を準備している。民族学校、外国人学校支援の寄附金募集は今年いっぱい続ける予定だ。 (2011.5.29)
新宿区公立小中学校の日本語学級設置を求める陳情書と賛同署名を提出
陳情書・賛同署名を新宿区議会に提出
新宿区において、外国の子どもたちの不就学の問題が深刻化していることが、この間市民団体から指摘されている。その原因の一つが、日本語を母語としない子どもたちへのケアが学校においてほとんど行なわれていない状況がある。
その中で昨年、新宿区で活動する市民団体が集まって「新宿区ニュー・カマーズ チルドレンの日本語学級とトータル・ケア-の確立を目指す会議」を結成し、不就学問題の具体的解決を求める活動を行なっている。問題解決のためにはさまざまな課題がクリアされなければならないが、その一つとして、まず新宿区立小中学校の日本語学級設置拡大を求めており、
設置を求める要請書への賛同署名を行ない、当センターも署名活動に積極的に協力してきた。
集まった賛同署名823筆をたずさえ、5月25日に日本語学級設置を求める陳情書を新宿区議会事務局に提出した。提出する際、上記「目指す会議」事務局長の小林普子さん(NPO法人みんなのおうち 理事)は、「子どもたちが安心して学校に通える状況にないことを思うと、本当に心が痛い。他の区では日本語学級を持つ学校は複数あるのに、新宿区では大久保小学校1校のみで、中学校においては全くないのは、早く改善されるべき。外国人が非常に多く、多文化共生を掲げる新宿区こそが、こういった問題に率先して取り組んでほしい」と伝えた。
この陳情書は、6月の新宿区議会定例会で取り上げられ、審査される。 (2011.5.26)
京畿道教育庁を表敬訪問し、金相坤教育監と懇談
金相坤教育監(左)との懇談
教育熱が高いことで知られる韓国。とかく受験戦争が大きく取り上げられ、学校と塾通いで疲弊する子どもの様子が伝えられるなど、韓国の教育事情について批判的に捉えられることが多い。国土が小さく、資源の少ない韓国にとって、教育を通した人材育成は至上命題であり、学問を重んじる儒教的風土が教育熱の高さを生んでいると言える。また、大学院への高い進学などの高学歴化や、就職をより有利に運ぶため、スペックなどの能力試験の準備が始まるなど、若い人々が受ける心身的負担感は決して小さくない。
教育制度の改革は適時試みられているが、抜本的な改善につながっておらず、また昨今の格差社会ともあいまって、経済的状況が子どもの学力に与える影響や、学歴中心主義の弊害はいまも続いている。
一方、そうした韓国の教育事情を少しでも改善しようとの試みも活発で、民間レベルでは代案教育運動が全国的にすすめられている。また、昨年の統一地方選挙では、地方教育行政の責任者である教育監に、既存の教育制度についての批判派が多数当選するなど、教育を巡る議論は活気を帯びている。
京畿道教育行政を取り仕切る金相坤(キムサンゴン)教育監を4月4日、金光敏事務局長が表敬訪問した。金相坤教育監は、昨年6月の教育監選挙で再選し、選挙公約に基づいて「京畿道学生人権条例」を10月に制定した。この条例は、子どもの権利条約の趣旨を具現化することを目的に制定されたもので、子どもを保護対象と位置付けるに留まらず、権利行使の主体であることを明確に示し、マイノリティの子どもたちの権利保障にも言及した画期的な条例だ。反対世論も強かったが、昨年の統一地方選挙で道議会の議席配分が変化したこともあり、実現にこぎつけた。
今回の表敬訪問は、去る3月に金相坤教育監が来日し、民族学級などを視察する予定が組まれていたことによるもので、来日予定は大震災の影響で延期となったが、金事務局長との懇談を通して金相坤教育監は近々機会をつくりぜひ大阪を訪問したいと語った。また、大阪の教育行政との交流にも関心を示した。
教育監は、直接選挙で選出される政務職で、教育庁は地方税の一部、教育税などによる独自財源を持ち、知事と同格の高位職だ。金相坤教育監は大学教員出身で、専門は経営学。韓国の民主化運動にもつながりが深い。 (2011.4.5)
東日本大震災で民族学校が大きな打撃、でも心の交流で暖まる
東北朝鮮初中級学校 校舎
地震後の職員室
図書館、多くの本棚が倒れる
震災から2週間を過ぎてもいまだ復興の目処が立たない被災地にある東北朝鮮初中級学校の被災状況が配信された。
震災により校舎には大きな損傷が見受けられ、学校再開は当面難しい模様だ。一方、YTNの朴思柔(パクサユ)記者によると、朝鮮学校関係者らと地域の住民との間で支えあう関係が進んでおり、3月20日には、隣接する八木山中学校校庭で、被災者を元気付けようと、東北朝鮮学校が主催した炊き出しが行われた。学校内に避難されている方々はもちろん、近隣の住民なども集まり、準備した400食はすぐになくなったという。
また、配られたキムチを食べずに持ち帰った人がいるなど日常生活に戻りたいとする同胞たちの切実な様子が伺え、八木山中学校PTAからお礼にチョコレートのセットが朝鮮学校に送られたことが伝えられた。 (2011.3.25)
朝鮮学校補助金の継続を求めて大学教員らが大阪府に要請書を提出準備
去る3月8日、大阪府の橋下徹知事が、2010年度の私立外国人学校振興補助金と私立高等学校等授業料支援補助金を大阪朝鮮高級学校に支給しない方針を明らかにしたことを受け、大学教員有志たちが大阪府に撤回を求める要請書提出を準備している。今回の大阪府の決定が朝鮮高級学校のみを対象とした差別的措置であると指摘し、補助金の速やかな支給を求めている。
要請書では、「振興補助金」が1992年度以来、府内にある外国人学校の教育条件向上のために、納税の義務を果たす在阪外国人への教育に関わる公的サービスの一環として支給されてきたものだと指摘し、決定の撤回を求めている。
大阪府では2010年度の国の「高校無償化」と歩調を合わせ、従来の「私立高等学校等授業料軽減補助金」と「私立専修学校高等課程等生徒授業料軽減補助金」を一括し、「授業料支援補助金」として発足させた。この補助金は一条校のみならず、外国人学校も含んで年収350万円未満の世帯の授業料無償化などを盛り込んでいる。橋下知事はこの補助金からも大阪朝鮮高級学校を排除する決定を行った。
また、要請書では、橋下知事が補助金を支給しない理由にあげた肖像画などの問題については、1992年以来これらの条件は問題とされなった点や、教室内の掲示物にまで干渉することは行政権の濫用だと指摘している。
3月27日まで大学有志に広く呼びかけた上で、29日に大阪府に提出するとしている。 (2011.3.22)
YTN朴思柔記者による朝鮮学校リポートから
3月15日から被災地に入り、取材を続けている韓国の通信局YTNの朴思柔記者によると、仙台市内の朝鮮学校の校舎にも損傷があった模様だ。
築40年の校舎の玄関付近の階段が全壊状態であるほか、地面に亀裂が走り、地盤沈下によって校舎が傾くなど校舎内のほぼすべての窓が開かない状態だと伝えている。
一方、朝鮮学校付近の避難所に朝鮮学校関係者らが支援物資を持ってかけつけるなどの様子も報告し、朝鮮学校も深刻な被災に見舞われながら、地域のより困難な状況にある人々を支援する様子も伝えられた。
朝鮮学校においても燃料枯渇が深刻だとし、学校職員が近隣のガソリンスタンドを周っている。現金が入れば遠路まで買出しに出れると語り、被災地以外から届いた支援金を喜んだと伝えた。 (2011.3.18)
「新宿区公立小中学校の日本語学級設置を求める要請書」への賛同署名をお願いします
子どもたちの不就学の問題が、外国籍者が最も多い自治体である東京都新宿区でも深刻な状況となっています。小中学生に該当する年齢の韓国の子どもたちだけで、少なくとも40名いることがわかっています。
他のルーツ・国籍を持つ子どもたちにおいても同様のケースがあることはわかっており、事態がどれだけ深刻かということ自体が明白になっていない状況にあります。
そこで昨秋より、新宿区で活動する複数の市民団体が「新宿区ニュー・カマーズ チルドレンの日本語学級とトータル・ケアーの確立を目指す会議」を構成して、新宿区に対して、この不就学の問題を解決するための具体的な対策を要求する活動を始めています。コリアNGOセンターも、この問題が当然保障されるべき子どもたちの教育権が深く侵害されているものと受けとめ、上記「会議」に参加し、迅速な解決のための取組みを進めていきます。
上記「会議」は、
「新宿区ニュー・カマーズチルドレンの日本語学級とトータル・ケア-の確立を求める要望書」を新宿区長および区議会宛に送付していますが、市民からの声をより明確に伝えようと、要望書に対する賛同署名を現在集めています。
現段階で求めていることは、▼公立小中学校、とくに中学校に「日本語学級」を設置し、日本語理解が十分でない、外国にルーツのある子どもたちが安心して通える環境の基礎をつくり出すこと、▼学校のみならず、学校外での生活のことも視野に入れて、子どもたちが安心した生活ができるように区のトータルケアが受けられる
ように図ること、の2点になります。
署名へのご協力をぜひお願いいたします。新宿区の問題であるので、署名者は、とくに新宿区、東京都および近隣県にお住まいの方から頂きたいと思いますが、居住地は関係なく、どなたからも署名も受け付けています。
署名は、(1)署名用紙をダウンロードして、郵送あるいはFAXする、(2)でお名前、住所を伝える、という方法でお願いいたします。
2011年3月28日(月)までにお送り下さい。継続して署名を集めています。
次の集約日は2011年4月27日(水)です。第三次の集約日は
2011年5月20日(金)です。この日までに本会東京事務所着でお送り下さい。
多くの方のご賛同をお待ちしています。 (2011.3.10)
民族学級60周年で、多民族・多文化共生の教育のロールモデルに
公立学校に通うコリアにルーツを持つ子どもたちを対象に取り組まれる民族学級が、60年の節目を迎え各地で記念式典が行なわれた。
1948年に起こった4・24阪神教育闘争に起源を置き、その収拾策として開設された公立学校における民族学級(開設当時は特設学級、朝鮮語学級などと呼ばれた)。大阪府、京都府をはじめ全国13府県に77公立小中学校に開設されていたことがわかっている。
一方、1960年代をピークに各地の民族学級がさまざまな理由によりなくなってしまい、現在、民族学級として存続できているのは大阪府と京都市だけになった。
1950年に開設され現在まで途切れずに存続した民族学級にとって2010年が60周年にあたる年であったことから、各地の存続校で記念式典が開催された。今年、60周年を迎えたのは大阪市内の小路小学校、中川小学校、北鶴橋小学校、加美小学校、北中道小学校。そして東大阪市内の太平寺小学校だ。
大阪府内には4・24阪神教育闘争に起源を置く民族学級で、大阪府教委による常勤民族講師が勤務する学校は11校で、今回の60周年は途切れずに続いた6校が式典を行なった。
他方、それ以外の6校の民族学級も活発な活動を続けているほか、大阪府内には様々な形態や制度による民族学級も開設され、府内での開設数は180学級に及ぶ。また、京都市内にも3小学校において民族学級が続いている。
民族学級は、公立学校に在籍する外国にルーツを持つ子どもたちが父母、祖父母の持つ言葉や文化を継承し、自尊感情を育む教育活動として注目され、外国人の子どもの教育支援のロールモデルになっている。公立学校における多民族・多文化共生教育の推進にとって、大阪や京都で残り生かされてきた民族学級の取り組みは今後さらに大きな役割を果たすことが期待される。 (2011.3.4)
韓流スター、ソ・ジソクさんの寄附、公立高校のコリア語教育に活用へ
ソジソクさん
昨年12/23シアターブラバの公演前
大阪府教委伝達式でセンターから
辞典の目録が送られる
人気韓国ドラマ「19歳の純情」で主役を務め、韓日で高い人気があるソジソクさんが、去る12月23日に大阪で行われたファンミーティングの出演料1000万ウォンを韓日の青少年交流に活用してほしいと当センターに寄託した。ファンミーティングの開演時間に先立って、シアターブラバ控え室で行われた寄付金伝達式では、ソジソクさん本人から当センターの金光敏事務局長に寄付金が手渡され、「多い金額ではないが、ぜひ韓日の青少年交流に役立てて欲しい」とメッセージが託された。
当センターでは、ソジソクさんの思いを生かそうと、大阪府内の公立高校でコリア語授業を開設している53校と大阪府立中央図書館、大阪市立中央図書館に韓日・日韓辞典を送ることにした。
2月2日、大阪府教育委員会で行われた伝達式では、
当センターの林範夫(イムボンブ)代表理事は「高校でのコリア語授業は、コリアンの生徒には民族教育の意味があり、それ以外の生徒には国際理解学習の意味がある。ぜひ今後とも授業の活性化をお願いし、相互理解に役立ててほしい」と述べた。大阪府教委を代表して伝達された田中保和教育監は「貴重な支援をいただいた。ぜひお気持ちにこたえられるよう努力したい。」と答えた。
全部で220冊の韓日・日韓辞典が寄贈され、対象校には2月中旬に順次送付される。 (2011.2.4)
滋賀県が各種学校の認可基準を1月1日付けで緩和、県初ブラジル学校認可へ
滋賀県が1月1日付けで各種学校の認可基準を改正し、県内で初めてブラジル学校が各種学校として認可される可能性が出てきた。
これまで滋賀県の各種学校の認可基準は、他のブラジル人集住県よりも厳しく、県内に存在する4校のブラジル学校がなんらの法的支援を受けられない状態が続いていた。今回の基準緩和により、もっとも大規模の滋賀県近江八幡市の日本ラチーノ学院が認可される可能性が出てきた。
当センターでは滋賀県内のブラジル学校支援を続けているが、民間レベルでの支援には限界があることから、他府県の例も参考しながら、滋賀県にブラジル学校の処遇改善を求める働きかけ続けていた。その一環で昨年5月、当センターの提案を受け、滋賀県内の公明党地方議員団が日本ラチーノ学院を訪問し、ブラジル学校の現状について視察した。それを契機に公明党の梅村正県議が県議会の代表質問で基準緩和を県側に要請、その答弁に立った嘉田知事が見直しに踏み込み言及していた。
日本ラチーノ学院では、滋賀県の新基準をクリアしており、早々にも各種学校と準学校法人の関係申請書類を整えて担当課に提出したい考えだ。滋賀県でも書類に不備がなければ私学審議会などの手続きを経て認可する方向だ。認可されれば、高校無償化の対象に加えられるとともに、滋賀県が県内の外国人学校に支給している運営補助も受給できることになる。 (2011.2.1)