コリアNGOセンター 外国人・マイノリティの人権保障/共生社会

外国人技能実習生を支援する弁護士の連絡会が10周年を迎え、シンポジウムを開催

第3部 パネルディスカッション
  去る7月14日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)の国際会議場で、外国人技能実習生問題弁護士連絡会(実習生弁連)の設立10周年記念シンポジウムが開催された。
 実習生弁連は、「外国人研修生問題弁護士連絡会」の名称で2008年6月1月に10数名の弁護士で発足。現在は日本各地から140名以上の弁護士が参加している。
 基調報告で、実習生弁連の共同代表を務める指宿(いぶすき)昭一弁護士は、実習生弁連の弁護士が関わってきた技能実習生の事件(訴訟)について紹介し、「問題が頻発するこの技能実習制度は4,5年経てば無くなるものだと考えていた。しかし今も続いていることに忸怩たる思いがする」と語った。同じく基調報告に立った移住者と連帯する全国ネットワークの鳥井一平代表理事は、1990年、在留資格「研修」の新設から始まった研修・技能実習制度の変遷について説明し、「この制度は、技術移転という国際貢献という、目的を偽装した労働者受入れ制度であることは明らかだ」と指摘した。
 第2部では、各現場で実習生問題に取り組む組合や市民団体、弁護士らからの報告が行われた。岐阜一般労働組合の甄凱(ケンカイ)さんは、同組合が運営するシェルターから7名の実習生と共に登壇し、各自が直面している労働問題について紹介する形で、実習生が置かれている過酷な現状を報告した。在日ビルマ市民労働組合(FWUBC)のミンスイさんからも、ミャンマー(ビルマ)出身の実習生らに対して実習受入れ先の会社職員が行なった暴言の録音データを通じて、過酷な状況が生々しく報告された。
 続けて行なわれた第3部のパネルディスカッションでは、技能実習制度だけでなく、今年6月に閣議決定された「骨太の方針」で掲げられて話題となっている、新たな外国人労働者受入れ制度についても取りあげ議論が交わされた。
 実習生弁連の10年の支援活動は、今月発刊の書籍「外国人技能実習生法的支援マニュアル」(明石書店)にまとめられている。 (2018.07.15)

都市の発展をさまざまな識者が論じて  新しい都市研究の論考まとまり公表

 大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所がまとめた「コミュニティ・デザイン研究論」レクチャー・ドキュメントがこの度公表された。
 この論文集は、「コミュニティ・デザイン研究論」を講座名に同志社大学大学院で行った講演録をまとめたもの。都市研究や文化論、災害などのさまざまな視点から都市コミュニティの在り方を論じた専門家の論考集。多文化共生をテーマに当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長も加わっている。論考は、エネルギー・文化研究所のウェブサイトからダウンロードできるようになっている。(2018.07.09)

朝鮮総聯中央本部への銃撃事件に対し、日本政府に厳正な対応を求める声明

 報道によれば、2月23日午前4時、東京・千代田区にある在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)中央本部の前に右翼団体の関係者2人が車で乗りつけ、拳銃の弾を数発撃ち込む事件が発生した。犯人は右翼活動家の桂田智司容疑者(56)と右翼周辺者の川村能教容疑者(46)であり、二人は警戒にあたっていた機動隊員により建造物損壊容疑で逮捕、容疑を認めているという。

 私たちは今回の事件は、在日コリアンはもちろん南北を問わず朝鮮半島に関わる者すべてに対するヘイト・クライム(テロ)であり、決して許してはならない凶悪犯罪であるとの認識のもと、日本政府に対する厳正な対応を強く求めるものである。

 ここ10年近く、日本国内ではヘイトスピーチの嵐が吹き荒れ、深刻な人権侵害が広がってきた。今回の事件を引き起こした桂田智司容疑者は、その渦中にあった人物であり、2013年には日本最大の在日コリアン集住地域である鶴橋に執拗にヘイトスピーチを繰り広げた団体の顧問として活動を主導してきた人物である。今回の事件の動機に差別・排外主義が横たわっていることは看過してはならないであろう。

 同時に、事件が起こったタイミングについても注視しなければならない。昨年来、朝鮮半島をめぐっては朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発、ミサイル開発をめぐって極めて緊張が高まり、朝鮮半島での軍事衝突が現実的な可能性として語られる情勢であった。しかしその時期ではなく、平昌オリンピックを契機とした南北対話・融和の流れが急激に進み、国際社会もそれを一様に歓迎し、朝鮮半島の平和共存に向けた新しい動きが進み始めたこの時期に、まさに今回の事件はおこされたのである。
 これは、日本の右翼・保守勢力にとって朝鮮半島で軍事緊張が高まることよりも、朝鮮半島で南北対話・融和の動きが進み、それを支持する国内外世論が広がることこそが敵視すべきものであり、否定すべきものと考えていることを図らずも露呈したものであると言えるだろう。
 しかし、朝鮮半島の平和・共存に向けた南北の対話への取り組みは今後も進められ、それを支援する国際社会の期待も寄せられていくことになるだろう。もちろん在日コリアンも南北を超えて互いに平和・共存、統一に向けた努力を積み重ねることに大きな期待と支持を送っていきたいと思う。

 そのような動きを敵視し否定する今回のような動きは、今回の事件を単発的なものとせず、計画的で連続的なものとしてゆく危惧がある。その対象が在日コリアン全体に向けた「ヘイト・クライム」へと拡大していきかねない重大な危機感を私たちは感じている。
 そういう状況をつくらないためにも、今回の事件に対して、日本政府として厳正に対応するとともに、2016年に施行されたヘイトスピーチ解消法の趣旨に則って、こうした事件は決して許されるべきものでないとの明確な立場を表明することを強く求める。

2018年 2月23日
特定非営利活動法人コリアNGOセンター
代表理事 林範夫
郭辰雄

ニッポンの“はたらく”を考える子どもの夢応援ネットワークの発足会を開催

 多文化共生に取り組む有志らが集まり、定期的開催してきた学習会を「子どもの夢応援ネットワーク」として正式発足するトークイベントが7月22日、箕面市の多文化交流センターのコムカフェで行われた。
 このネットワークは、毎日新聞編集委員の中尾卓司さん、箕面市国際交流協会の岩城あすかさん、そして当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が呼びかけ人となり、外国ルーツの子ども、若者をめぐる課題に取り組むメンバーが毎月集まって学習や検討を重ねてきた。
 学習会が定着し、めざすべき方向が明確になってきたことから、広くネットワークの存在を知らせ、具体的な実践に向け動き出そうとイベント開催につながった。
 この日のテーマは「ニッポンの“はたらく”を考える」。“はたらく”を切り口に悩み、葛藤し、模索する20代と30代の若者4名に集まってもらい、論じあった。金光敏事務局長がコーディネートした。
 語りでは、社会状況を背景とする厳しい現実に直面させられ、深く傷ついている様子、そもそも“はたらく”とは何かという根本的な問い、職場での人間関係によってつまずいた経験などが取り上げられた。一方、夢や希望をしっかりと語りきるなど、参加者の胸を打った。
 公正を欠いた競争主義による格差すら放置され、すべて自己責任の範疇で語ることを強要される昨今。若者たちがもっとも厳しい状況に立たされているのではないかと、あらためて実感させられたトークイベントとなった。
 子どもの夢応援ネットワークでは、まず外国ルーツの若者たちに焦点をしぼり、就労をめぐる社会的支援の枠組みづくりをめざすとしている。特に、外国ルーツの若者たちは渡日による言語の問題、貧困によって学業の断念、社会的キャリアが備わらないままの不安定就労などが目立つ。現場の支援と、制度的な改善策をつなぎあわせる、ネットワークの役割に期待される。文化的な生活を営み、自己実現のためのに“はたらける”社会をめざし、実践と発信をしていきたいとしている。(2017.07.22)

学校法人白頭学院建国幼小中高校の教職員を対象に研修会で当センター代表理事が講演

当センター代表理事 林範夫弁護士
建国幼小中高の教職員研修会
 韓国系民族学校で、大阪市住吉区にある学校法人白頭学院建国幼小中高校の教職員研修会が7月22日にあり、当センター代表理事の林範夫(イムボンブ)弁護士が講演した。
この日の研修テーマは、ハラスメントを起こさない職場環境づくり。労働問題としても社会的に注目を集めている分野。また職場で起こりうる人権侵害についての理解を深め、誰にとっても安心できる学校をめざすことを目的に取り組まれた。
 林弁護士は、教職員間はもちろん、教職員による児童生徒へのハラスメントについても、具体的な事例をもとに説明した。取り上げたのは、セクシャルハラスメントと、パワーハラスメント。裁判で争われた事例から、人権侵害が起こりやすい環境や関係について整理し、意図がどうであれ、上下関係、評価する側される側の力関係が背景となれば、人権侵害は容易に生起しやすいことを理解するよう呼びかけた。
 人権を基軸にした学校教育をめざし、様々な人権課題について取り組み、それを実践化していくことはとても大事。学校法人白頭学院ではこれからも人権啓発・教育に力を傾けて行くとしている。(2017.07.22)

トランスナショナルの時代をいかに論じるか  ディアスポラのリアリティ、韓国で議論

本学術会議のポスター
全南(チョンナム)大学にて開催
 国境を越えて生きる人々の生活、人権、文化、教育の実際について韓国、インドネシア、タイ、中国、日本の研究者らが集まり議論する学術会議が2月6日、韓国国立全南大学(全羅南道光州市)で開催され、当センターの金光敏事務局長が出席し、発表した。
 今回の学術会議のテーマは「Discourse and Reality of Diaspora in Transnational Age」。インドネシアやタイは国内の移住労働者問題を、中国は朝鮮族の教育問題を、日本は東京・新大久保におけるコリアタウンの変遷と、新しい協同の可能性としてのコリアNGOセンターの役割について。新大久保については国学院大学講師の武市一成さんが発表した。
 日本や中国、ロシア極東地域には、植民地支配を要因として多くのコリアンが移住し、また南北分断や貧困時代にも、世界中にコリアンが送り出された。韓国には国外に家族親戚がいることが珍しくないために、留学やビジネスを目的に現在も海外移民は続いている。国外に暮らすコリアンは700万人いるとされ、韓国国内とのネットワークが今後さらに重要視されそうだ。在外コリアン研究が韓国で進み、ユダヤ人が世界中にネットワークを張り巡らせたことから学び「コリアンディアスポラ」への関心は高い。その研究分野でメッカとも言える全南大学が主催し、各地から研究者らが集まった。
 日本から招かれた金光敏事務局長はこれまでの歩みとこれからの役割について語り、両国家のはざまでときに翻弄されつつも、ボーダーレス時代の先端に在日がいる意味について提起した。
 議論は様々な角度から深められた。国民国家の限界を超えて、平和、人権、繁栄、環境保全にプラスになるトランスナショナルなネットワークづくりはまだまだ始まったばかりだ。一方で、急激なグローバル化がもたらした格差によって、国民国家を内向きに強化する作用も起きている。
 国民国家のオルタナティブを探し出すのは難しいものの、中身をより柔軟にし、外に向かって寛容性を高めていくことは可能だ。そのためにも成熟した市民社会づくりはとても大事。その分野で、当センターの役割は決して小さくないと考える。(2017.02.10)

若年女性の生きづらさに寄り添う『若草プロジェクト』、記念シンポが開催される

 貧困や虐待、ネグレクト、DV、いじめ、性的搾取、薬物依存、育児ノイローゼ…社会の抱える様々な問題に翻弄され苦しむ少女、若い女性たちがいる。彼女たちの“生きづらさ”については多くの偏見や誤解があり、十分な支援が行なわれていない。そういう現状のなかで、彼女たちと支援するために立ち上がった一般社団法人『若草プロジェクト』の設立記念シンポジウム(後援:厚生労働省、法務省、日本更生保護女性連盟、NPO法人日本BBS連盟、(一社)社会的包摂サポートセンター)が、10月22日、東京・青山学院大学で開かれた。
 シンポジウムの冒頭、呼びかけ人代表をつとめる作家の瀬戸内寂聴さん(ビデオメッセージ)と、元厚生労働事務次官の村木厚子さんが開会あいさつが行なわれた。続いて、若草プロジェクト理事の牧田史さんから、2016年3月に法人を立上げてからの約半年間に行なってきた活動について報告がなされた。
 シンポジウムのパネリストには、漫画家の沖田×華(おきた ばっか)さん、NPO法人BONDプロジェクトのスタッフお二人が登壇され、ジャーナリストの江川紹子さんが進行役をつとめた。BONDプロジェクトは既に前から10代20代の女の子のために女性スタッフによる支援活動を行なっているグループ。BONDに来る相談には、10代女性が望まない妊娠をしてしまうケースも多いという。ディスカッションでは、実父など身内からの性暴力、「援助交際」、いじめ、などについて話題が及んだ。議論の中には、経済的な貧困だけでなく、「関係性の貧困」や「心の貧困」など、様々な形で「貧困」というワードが浮上した。  若草プロジェクトでは、若年女性たち向けのLINEによる相談を8月27日から開始している。また、「若年女性たちをサポートする大人たち」の養成を行なうための研修を、「京都嵯峨野の寂庵」や東京都内で行なっている。(2016.10.25)

多文化共生、国際化を市政の目玉に  東大阪市長に国際交流センター設立を提言

野田市長に提言書を提出

市長との懇談
 大阪府中部の中核都市東大阪市は、府内でも外国籍住民が多く、在日コリアンをはじめ中国、ベトナム、フィリピンなどのアジア系住民のほか、市内に4つの4年制大学があることから、留学生たちも少なくない。また、東大阪市と言えば、有数のものづくりの街としても知られ、その技術は世界でも高い評価を受けている。さらにラグビーの聖地花園ラグビー場があることでも知られ、2019年にはラグビー世界大会の開催地に決まっている。
 東大阪市の国際化施策のさらなる充実に向けた提言書を8月10日、市役所で野田義和市長あてに提出した。今回、提言書を提出したのは東大阪市外国籍住民施策懇話会。当センターの金光敏事務局長も委員を務める。
 今回の提言書は、地域の国際化や住民主体の多文化共生の推進のため、その拠点となる「東大阪市国際交流センター」を設立し、地域の活性化、東大阪市の魅力発信、多様性教育の推進、住民自治や生涯学習の基盤整備の充実化を提案した。
 提言書を受け取った野田市長は「市立施設の再編整備が始まっているなかで、どのような方法が可能なのかしっかり考えていきたい。いただいた提言はかなり分量もあるようなので、意見を引き続き聞きながら、十分に精査していきたい」と回答しました。
 東大阪市外国籍住民施策懇話会は、要項に基づいて設置された東大阪市の会議で、市在住の外国籍住民のほか、経済界の代表、有識者らで構成、国際化、多文化共生施策について議論し、市に提言することを役割としている。今期の座長は呉龍浩(オヨンホ)韓国民団布施支部常任顧問、副座長に有田典代国際文化交流協会事務局長が就任、おおむね月一回の会議を重ねてきた。センター設立についての議論はさらに続けられる。 (2016.08.10)

差別はなくなるか  京都の高校生らが総合学習で来訪

 京都国際学園高等部所属の1年生、2年生たちが7月14日に当センターの大阪事務所を訪ね、ヘイトスピーチをテーマに総合学習に取り組んだ。
 京都国際学園高等部は日韓両政府から認可され、来年で70周年を迎える韓国系民族学校。在日コリアンの民族意識を涵養し、韓国語などの文化継承教育に取り組みながら、学力にも力を入れ日韓両社会で活躍する人材育成に取り組んでいる。また、英語学習を積極的に取り入れ、トリリンガル教育にも力を入れる。
 総合学習はこの学校の特色ある教育活動のひとつ。生徒たちがテーマを定め現場に直接足を運び、当事者からの聞き取りなどを重ねて、社会を多角的な視点から考察する実践学習だ。
 この日当センターを訪ねてきた生徒たちは、事前に学習してきたことをもとに率直な問いを準備。とりわけ2013年2月24日に起こった鶴橋駅周辺でのヘイトスピーチで、当時中学生だった少女が「鶴橋大虐殺するぞ」と叫んだ動画から、ちょうど自分たちと同年代の人がどうしてなのかとショックを隠せないと語った。その上でどうすれば人種差別がなくなるのか、「ヘイトスピーチ解消法」「大阪市ヘイトスピーチ抑止条例」の評価、これから取り組むべきことについて聞き取り学習を行った。
 この日来訪した生徒は9名。両親ともに在日コリアンの生徒、父母どちらかがコリアンの生徒、韓国からの渡日生徒、そして韓国に興味があって入学した日本人生徒によるグループ。学校が楽しいと語ったのが印象的だった。京都国際学園高等部の特色ある学習活動に今後にぜひ注目したい。 (2016.07.14)

ヘイトスピーチ解消法制定後の社会-啓発教育を通した人種差別を許さない取り組みを

 奈良県橿原市立の小中学校の教職員が人権教育実践の研究活動に取り組む橿原市人権教育研究会主催の研修会が6月14日橿原市内で開催され、当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長がヘイトスピーチ解消をめざした教育実践活動について講演した。
 講演では、ヘイトスピーチが深刻化してきたこれまでの経過を説明した上で、ヘイトスピーチが与えている悪影響、あるいはこの問題が次にどのような社会不安を巻き起こすのかを他国の事例から紹介した。ヘイトスピーチについて一部の人々の異常な行動という過小評価や矮小ではなく、これを放置することが社会的リスクを高める危険性を指摘した。
 今月から施行されているヘイトスピーチ解消法の解説も行い、この法律が啓発教育の役割を重視している点をあげ、自治体レベルの人権教育の推進が国の方針として重要だと示されたことを強調した。ヘイトスピーチ解消法の制定を待つまでもなく、学校教育における人権教育の重要性をますます高まっている。法律制定を機会としても、さらに差別を生み出さない教育、そして社会文化づくりに取り組む必要があると述べた。 (2016.06.16)

「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」成立にあたっての声明


 本日、衆院本会議において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(以下「本法律」)が可決され、本法律が成立した。これまでヘイトスピーチに断固として反対し、その規制を求めてきた当センターとして、本法律の成立を感慨深く受けとめるものである。

 これまでヘイトスピーチをめぐっては、国内外からの規制を求める強い声がありながらも「表現の自由」という理由で放置・容認され、むしろそれに抗議の声をあげる人々が、警察から厳しい規制を受ける現状が続いてきた。今回成立した法律は、在日外国人に対する「差別的言動」が、被害者への「多大な苦痛」と「地域社会に深刻な亀裂を生じさせている」という害悪を認め、その解消を「喫緊の課題」(第1条)であるとして「差別的言動は許されない」(前文)と、ヘイトスピーチを許さない基本姿勢を明確に宣言している。
 これまで人種差別・民族差別を禁止・規制するための法律が日本には全く存在しなかったなかで、初めて関連する国内法が制定されたことは、ヘイトスピーチのみならず、人種差別・民族差別を禁止していくための歴史的な一歩であると評価できる。ヘイトデモの現場におけるカウンター行動をはじめ、この間のヘイトスピーチに抗議・反対する当事者や支援者の運動が国会に届き、国会の内外の粘り強い努力があってこそ、この法律が実現できたといえる。

 しかしこうした評価の一方で、本法律には今後改善されるべき重大な問題がいくつかある。
 それは第一に、保護対象者を、本邦外出身者のなかでも「適法に居住するもの」に限定したことである。そもそもヘイトスピーチとは人種等に基づく属性を理由に行なわれる差別扇動であり、その被害当事者が居住国に「適法」に滞在しているかどうかはまったく別の問題である。しかしこうした定義が存在することで、「朝鮮人を叩き出せ」と主張する明らかなヘイトスピーチが、「不法滞在の朝鮮人を叩き出せ」とすることで、ヘイトスピーチとは見なされないという歪んだ解釈を与えかねない。したがってこの「適法に居住する」という定義は人種差別撤廃条約の理念に違反しており、必ず削除されなければならない。
 第二に、そもそも本法律は「本邦外出身者」だけを対象とした法律であり、被差別部落や沖縄、アイヌなど人種的・民族的マイノリティに対するヘイトスピーチが除外されてしまっている。これまで繰り広げられてきたヘイトスピーチはこうした人たちも明確にターゲットとされて繰り広げられてきた。こうした現状をふまえて、あらゆる人種的・民族的マイノリティがその保護対象とされるように法改正、あるいは別途法律の制定が求められる。
 第三に、今回の法律は、「差別的言動は許されない」と宣言しつつも、ヘイトスピーチが「違法」であると明確にはしておらず、「禁止規定」も設けられていないため、その実効性が十分に担保されているとはいいがたい。

 これらの問題点については本法律の審議過程でもヘイトスピーチの解消を望む人たちから厳しく批判されてきたところであり、それを受けて、最終的には与野党間での協議や国会審議を経て、本法律の附則に「法律の施行後も実態を勘案して必要に応じ検討を加える」という点が明記された。
 また法的拘束力がないとはいえ、附帯決議では、国や地方自治体に「憲法や人種差別撤廃条約の精神にかんがみ、適切に対処すること」を求め、また保護対象者についても、「(定義)以外のものであれば、差別的言動が許されるとの理解は誤りであり、許されないものがあることを踏まえる」と明記されることとなった。
 本法律自体にはさまざまな問題があるが、附則や附帯決議もふまえながら、私たちとしてもより効果的なヘイトスピーチの規制のためにこの法律がより良いものに進化・発展できるよう、継続して働きかけていく考えである。

 これまで私たちはヘイトスピーチの現場で、あるいはヘイトスピーチの規制を求めた地方自治体との交渉の過程で、「表現の自由」、「国の法律がない」ことを理由として、何ら効果的な対応をとることができない現実に数多く直面し、その壁を突破できないもどかしさを抱きつつ、ヘイトスピーチに対峙してきた。
 本法律がそうした現状を変えていく出発点となり、今後、人種差別問題に国や自治体が真摯に取り組み、野党が提案した「人種差別撤廃施策推進法案」のような包括的な基本法の制定などさらなる法制度の整備が進むことを心より期待したい。
 そして、当事者としてこれからもヘイトスピーチを断固許さず、また他の多様な当事者たちと連帯しながら、あらゆる人種差別・民族差別・マイノリティ差別を許さない社会の実現に向けて努力していく所存である。

2016年 5月24日
特定非営利活動法人コリアNGOセンター
代表理事 林範夫
郭辰雄

自治体、国際交流協会、NPO従事者の多文化マネジメント力のスキルアップを!

 在留外国人が増加する中、日本国内のどこにいても多文化共生がまちづくりの課題として認識されはじめてる。そうした現場のニーズに地域社会で向き合う多文化共生マネージャー養成講座が5月9日から13日まで滋賀県大津市の全国市町村国際文化研修所で開催された。
 この講座は自治体、国際交流協会、自治体の推薦をもらったNPO従事者らを対象に、多文化共生を進めていくための地域実践の基礎講座として開催されている。在留外国人の人口動態、教育、福祉、労働、相談援助、社会保障などのテーマ別講座のほか、フィールドワークや実践交流などのプログラムが毎年2回開催されている。全講座を受講すると「多文化共生マネージャー」を名乗り、各現場で指導的役割を担うというものだ。
 当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が5月11日に「社会保障」の講座を担当した。在日外国人と社会保障との関係について歴史的経過を振り返りながら、法律解説、現場での対応に必要な知識等について講演した。
 研修の全日程をともにするコーディネーターは(特活)多文化共生マネージャー全国協議会理事の土井佳彦さん。土井さんは愛知を拠点にしつつ、全国に多文化共生のリソースを届ける活動に従事している。また、この研修講座のプロデューサーは田村太郎さん。田村さんは全国協議会をはじめ(特活)多文化共生センター・大阪代表理事、そして復興庁復興推進参与を務めている。多文化共生社会を牽引するキーパーソン二人だ。
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催はもちろん、多様な背景を持つ人々が地域で生活者として暮らし、社会の担い手として活躍している。一方、周りの無理解や無知によって人権侵害も少なくなく、社会的排除の対象になるなどの問題も発生している。国レベルの取り組みは遅れているが、住民ともっとも近い位置で創意工夫する地方自治体の多文化共生施策に、国際交流協会やNPOが連携し、すべての人が生きがいを持って暮らすことのできる社会づくりが求められる。多文化共生マネージャーの育成はその重要な担い手づくりだと言える。
 当センターの発足の地大阪の自治体職員の参加があまりないという。独自の研修プログラムがあるからだと思うが、多文化共生を模索する人々と交流連携や、他都市の事例から学ぶことも大事だ。ぜひ大阪の自治体職員の参加をもっと呼びかけたい。 (2016.05.13)

ヘイトスピーチ関連法案に関する国会審議が山場に  市民団体が5回目の院内集会開催

 野党の参議院議員らが議員立法で「人種差別撤廃施策推進法案」を国会に提出したのが昨2015年の5月。それから一年が経過する2016年の通常国会でも継続審議中だ。一方、今年4月に自民・公明の与党側から「ヘイトスピーチ解消法案」が提案されて以降、この与党法案をベースに与野党間で論議、調整が行なわれている。
 この間市民団体も、人種差別撤廃基本法の制定を求めて継続して訴えてきた。去る5月11日にも、当センターも参与する外国人人権法連絡会や、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、人種差別撤廃NGOネットワーク、のりこえねっと、ヒューマンライツ・ナウの5団体が共催で、参議院議員会館で院内集会「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」が開催された。この集会は2015年6月に開いた第1回院内集会から数えて5回目となる。
 この日の集会ではまず、国会で法案成立に向けて大詰めを迎えている国会情勢について、弁護士で外国人人権法連絡会の師岡康子さんから報告がなされた。続いて在日コリアン弁護士協会(LAZAK)の金竜介代表が登壇し、「在日コリアンは今疲れ果てている。それは『朝鮮人殺せ』と叫ぶ人たちにだけではない。法規制に反対し教育・啓発を訴えるだけで、今あるヘイト被害を実質的に放置している学者や専門家たちがいるからだ。」としたうえで、その流れが変わり与党ですら法案を出さざるを得なくなったのは、市民たちの切実な声が作り出したものだと力強く語った。
 ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長は、「適法に居住していない外国人をヘイトスピーチの対象にしてもよい、ということが許されるわけがない。そうした内容を含む法案をそのまま通していいのか、全国会議員に問いたい。附帯決議をつけることで与野党協議が進んでいると報道されているが、ならば法律の本文を変えられないのか説明がつかない」と、適法居住要件という問題を鋭く訴えた。全国難民弁護団連絡会議代表の渡邊彰悟弁護士も、「一部の人への差別を認める法律は、結局差別を助長するだけだ。適法居住要件は到底認められるものではない。削除されないのであれば廃案にすべきだ」と語った。
 5月12日に次の参院法務委員会が開かれる予定だが、その時に法案審議が決着する可能性もあるという。引き続き注視していくことが必要だ。 (2016.05.10)

外国人人権法連絡会結成から10年、日本の移民政策やヘイトスピーチ対策法案について議論

発言する田中宏共同代表(左)と
丹羽雅夫共同代表(右)
 2005年12月、弁護士・NGO・研究者が中心になり、「外国人人権法連絡会」が結成された。この連絡会は、「人種差別撤廃法」と「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」の制定、「国内人権機関」の実現を第一の活動目的として掲げ、様々な活動をしてきた。
 そのなかでも「人種差別撤廃法」については、まさに連絡会結成から10年経った現在、立法化の機運が生まれている。。昨2015年5月に野党から議員立法で「「人種差別撤廃施策推進法」案が参議院に提出され、与党もようやく今年4月8日に、ヘイトスピーチ問題に特化した対策法案(議員立法)を参議院に提出した。今後は野党との修正協議に入り、会期中の通常国会での成立を目指すと言われている。
 そうした情勢のなかで、4月9日、東京・千代田区の在日本韓国YMCAで、外国人人権法連絡会の総会が開かれ、続いて結成10年シンポジウム『外国籍者・民族的マイノリティの人権を保障する法制度の構築に向けて』が開催された。
 第一部では、今年1月に研究者を中心に「人種差別撤廃実態調査研究会」を代表して、関西学院大学の金明秀(キム ミョンス)教授が、差別の性格、包括的な実態調査の必要性とともに、研究会がこの間まとめてきた人種差別実態調査に関連する資料について報告を行なった。
 第二部は、外国人/移住者や民族的マイノリティの人権問題に長年取り組んできた、連絡会の共同代表である渡辺英俊(移住者と連帯する全国ネットワーク副代表理事)、田中宏(一橋大学名誉教授)、丹羽雅雄(弁護士)の3名がパネリストとして発題し、ディスカッションを行なった。渡辺代表は、いまの入管法が持つ管理過剰という問題に対する代案として「人権ビザ」の創設を提唱した。
 シンポジウムの最後には、外国人人権法連絡会としての与党提出の法案に対する緊急声明を発表した。シンポジウム終了に続いて、テレビ、新聞記者に対する記者会見を行ない、同声明について同連絡会の運営委員らが説明、質疑に対する回答を行なった。
 毎年発刊している「外国人・民族的マイノリティ人権白書」の2016年版も、この日に初めて披露された。(白書の概要、購入方法等は、「資料コーナー」>「書籍・出版物」のページを参照。) (2016.04.12)

大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例制定についてのコメント

 1月15日、ヘイトスピーチが多発している大阪市において、「ヘイトスピーチが個人の尊厳を害し、差別の意識を生じさせるおそれ」があるとし、市民等の人権を擁護するとともにヘイトスピーチの抑制を図ることを目的とする条例が大阪市会で制定された。

 私たちは、ヘイトスピーチを許さないことを言明した初の条例が制定されたことを大いに歓迎するものである。
 またヘイトスピーチのターゲットになってきた在日コリアンが、他都市に比べて最も多く住む大阪市が、人種差別の横行に危機意識を募らせ、市会とともにその抑止に向けて方策を示そうと努力してきたことを評価したい。

 今回の条約では、大阪市としてヘイトスピーチの拡散防止の措置やホームページなどでの認識の公表などの対処が定められている。しかしながら、当初予定されていた内容(ヘイトスピーチ被害者が提訴する際の訴訟援助など)が削除されるなど、当初の原案から後退した側面もあり、これが抑止効果にどのような影響を与えることになるか心配されるところではある。

 条例の施行後、条例に基づき審査会が設置されることになっており、その人選について大阪市会も関与することになっている。この人選については、この条約の趣旨と目的に鑑み、普遍的な人権の観点、国際人権都市大阪市の市政方向を踏まえ、かつ被害実態にも詳しい学識経験者その他の専門家により構成されるよう要望したい。

 またヘイトスピーチの抑制に向けて、この条約の施行とあわせ、これまで大阪市が取り組んできた人権尊重のための市政をさらに発展させ、多文化共生社会にふさわしい人権啓発、人権教育にさらに取り組んでいくことを強く求めるものであり、そのために私たちも大阪市への協力・協働を惜しまず、努力していく所存である。

2016年1月15日
特定非営利活動法人 コリアNGOセンター
代表理事  林範夫(イムボムブ)
郭辰雄(カクチヌン)


朝日放送ラジオ「ほりナビ」で、外国人の子どもたちのこと、これからの日本社会のことを語る

「ほりナビ」に出演する金事務局長(中央)
 朝日放送ラジオの夜の看板番組「堀江政生のほりナビ」に12月3日、当センターの金光敏(キムクァンミン)が出演し、外国人の子どもたちのことや多文化共生について語った。
 「ほりナビ」は月曜から金曜日までの夜7時から9時50分まで放送されているラジオ番組。メインパーソナリティの堀江政生さんがさまざまな社会の動きについて語る、内容満載の人気番組だ。この番組の毎週木曜日のレギュラーコメンテーターは、スポーツライターの城島充さん。城島さんの担当コーナーに出演し、堀江さんからインタビューを受ける形で、外国ルーツの子どもたちのこと、これからの日本社会について語った。ちょうどこの日の夕刊読みコーナーで、貧困の放置によって将来日本社会は大きな負担を背負うとの記事が紹介されたことから、貧困問題についても話題にあがり、金事務局長は非正規が拡大していく雇用政策の問題点についても指摘した。
 外国ルーツの子どもたちについてはMinamiこども教室について語り、その取り組みの中から見えてきたのは、貧困が社会進出の壁とならないよう教育に果敢に公費を投じ階層の固定化を防いでいくことだと提案した。(2015.12.09)

ヘイトスピーチ規制の必要性  専門家らが論じるセミナー開催

 いまだ繰り返されている特定の国の出身者や集団の所属員に対する暴力的言動、ヘイトスピーチへの規制の必要性を議論するセミナーが10月3日、大阪市天王寺区で開催された。
 セミナーを主催したのは人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)。ERDネットは日本も批准する人種差別撤廃条約の趣旨を日本国内の社会啓発や人権教育の推進に生かし、さらに人種差別被害の実態から差別禁止法制の実現をめざす市民ネットワーク。
 今回のセミナーは連続講座の一環で開催され、この日も70人を越える参加者が集まった。
 セミナーでは、弁護士で、ヘイトスピーチ規制を提唱する師岡康子さん、龍谷大学教授でヨーロッパの人種差別の実態やその規制に詳しい金尚均(キムサンギュン)さん、大阪市会にヘイトスピーチ規制条例制定を求めている多民族共生人権教育センターの文公輝(ムンゴンフィ)さんがパネリストを務め、当センターの郭辰雄(クァクチヌン)代表理事がコーディネートし、議論をリードした。
 議論は国会上程中の人種差別禁止法の審議状況や、最近のヨーロッパにおけるヘイトスピーチ規制の現状、また条例案が係留中の大阪市会の様子について報告した上で、日本国内で人種差別の被害を救済し、あらゆる差別を許さない社会づくりに向け課題や展望について意見を交わした。
 少なくとも次の通常国会で法案審議が継続される見込みで、各党に働きかけを強めようと呼びかけられたほか、大阪市会についても11月の市長選挙前の制定を求め市民の声をより積極的に議会に届けることの必要性が語られた。
 ヘイトスピーチはヘイトクライムにつながる危険性を有し、今後さらなる世論喚起につなげることが大事だと言える。ERDネットは継続的に講座を開催し、市民レベルでの取り組みを進めるとしている。(2015.10.05)

今こそ人種差別撤廃基本法の制定を求める! 院内集会が開催される

約200名が参加した
 2013年に大きな注目を集めた「ヘイトスピーチ」問題に対して、去る5月22日、議員立法の形で「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律(案)」が参議院に提出された。人種差別撤廃を目的とした国内法案の提出は戦後初めてである。
 当センターも参加している外国人人権法連絡会では、昨年「人種差別撤廃基本法」のモデル案を作成し、その実現に向けて活動を続けてきたが、今回の法案については幾つか改善すべき点もあるが、国が人種差別をなくすための施策を進める方針を明確にするものとして大きな意義を有すると評価している。(
 あらためて人種差別を撤廃する基本法制定を求める市民の声を国会に伝えようと、6月26日、参議院議員会館講堂で院内集会「STOP HATE SPEECH! ~今こそ人種差別撤廃基本法の実現を~」を開催した(主催は、外国人人権法連絡会、移住連、人種差別撤廃NGOネットワーク、のりこえねっと)。
 最初に登壇した北村聡子さん(弁護士で人種差別撤廃NGOネットワーク)は、この間の日本国内における人種差別をめぐる状況について概要を述べ、日弁連も5月に基本法を制定すべきなどとする意見書を発表したことを紹介した。男女差別、障害者差別に対しては法律が制定されているが、「国際機関から人種差別に関する立法がないというのは、日本政府はあえてつくろうとしていないと受け止められても仕方がない。それは人種差別を容認していると受け止められても仕方がない」と問題の深刻さを指摘した。
 この場には、公明党、民主党、社民党と与野党から8名の国会議員が駆けつけた。今回の法案の提案者であり、「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」の代表でもある小川敏夫参議院議員は、現状では不特定多数に向けた人種差別行為は帰省できない現状の問題点を指摘し、今開会中の国会に提出された法案に関して説明を行なった。
 “人種差別撤廃基本法を求める声”と題して、当事者、有識者らによるリレーアピールが行なわれた。在日コリアン3世の徐史晃さん(在日韓国青年会)は、「関東大震災というジェノサイドが全く忘れ去れているなかで、被差別当事者の苦しみや人権侵害の多くはヘイトスピーチだけではない。「在日三世も多様化している。日本に住む住民として苦楽を共にしてきたが、未だに自らの属性を隠して生きていかなければならないのか。法律制定は待ったなしの状態だ」と力強くアピールした。ガーナ出身の男性は、倒れたバイク運転手を助けたところ駆けつけた警官から事故の加害者と見なされたことや、会社に勤めたとき日本人社員は加入できたのに自分だけ社会保険に加入できなかったという明らかな人種差別の経験を語った。また原田學植弁護士からは、人種差別が明確に違法と規定されることは、警察をはじめ行政側が人種差別行為が行なわれている現場で適切な対応をとるためにも必要だという意見が続いた。ヘイトスピーチ対策の立法化を求める地方議会意見書を全国で最初に採択した国立市の議員である上村和子さんは、「国会議員のみなさん、ぜひとも人権侵害のある現場に立ってみてほしい。この国は70年間、被害当事者だけ立たせてきたという事実を重く捉えてほしい。国が一刻も早く動かないと、地方の取組みも活かされない」と訴えた。
有田芳生参議院議員は、「今の日本の状況は、ナチスドイツと同じ道を歩みつつある、だからこそ芽のうちに摘み取らないといけない」と発言した。
 現在、国会では安保法制の審議に集中しており、他の法案の審議に焦点が当たっていない。集会後も、街頭での人種差別を扇動する行動が残念ながら続いている。そうした深刻な人種差別を早く止めるためにも、今回提出された推進法は是非とも審議の遡上に乗せるべきである。そうした要求の声を伝えるために、今回の主催団体は7月22日に第2回目の院内集会を開催することにした。(2015.06.27)

第10回移住連全国フォーラム開催  在日外国人の権利擁護、教育保障など幅広く議論

今年は北九州市で開催された
 日本政府が家事労働分野における門戸開放を検討するなど、人口減少に合わせた出入国管理政策の議論が活発化している。その一方で、現代の人身取引だとして国内外から批判を受ける技能実習生や研修生、また放置される子どもの教育など政府政策の問題点を明らかにし、多民族・多文化共生の社会づくりに向けた提言活動に取り組む「移住労働者と連帯する全国フォーラム」が6月13日と14日に北九州市の九州朝鮮中高級学校で開催された。
 10回目を迎える今回のフォーラムでは、医療、女性の人権、教育、出入国管理、労働に加え、深刻な社会不安を撒き散らすヘイトスピーチの分科会も設けられ、全国から約400名のNGO、研究、法律、国際交流協会の従事者、また議員らが討議に加わった。
 当センターからは出入国管理政策の分科会で金朋央(キムプンアン)東京事務局長が、教育の分科会で金光敏(キムクァンミン)事務局長がそれぞれ発表した。
 また、全体会では、自由人権協会の旗手明さんが、検討進む家事労働者や建設労働者の門戸開放や、劣悪な環境下で搾取される状況が続いている技能実習生、研修生の受け入れ問題で講演、より厳しい人権侵害が横行していく危険性を指摘した。
 大妻女子大学教員の鄭英恵(チョンヨンヘ)さんの講演では、ヘイトスピーチによる被害実態と、そうした現実が慢性化することによる問題意識の麻痺に警鐘を鳴らし、それらを防ぐためにも法規制の必要性は切実だと提起した。
 日本赤十字九州国際看護大学教員のエレーラ・ルルデスさんは、経済連携協定の締結以降、フィリピン、インドネシア、ベトナムからの看護師、介護士受け入れ制度の問題点を検証し、日本政府は建前論に終始せず、すでに見えてきた実態を直視し、制度改善の努力を行うよう呼びかけた。
 最後に日本政府に多民族・多文化共生の政策を立案するよう求める参加者一同名によるアピール文を採択して閉会した。(2015.06.17)

外国人を「使い捨て労働力」と見る三法案に市民団体が抗議、院内集会が開かれる

 いま開会中の通常国会に、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」(技能実習生法案、新法)、「国家戦略特別区域及び構造改革特別区域法」(特区法)の改定案、そして「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改定案が上程されている。どの法案も、労働力を必要とする業界側の意向を満たすこと、政府による外国人管理をより強化する観点から立案されたものばかりで、外国人側の権利保障のための方策が欠落していると、外国人支援団体は深く憂慮している。  6月4日(木)の午後、参議院議員会館で、「真っ当な移民政策を求める院内集会」(主催:移住連労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連))が開催され、150名を超える人が集まった。  まず三つの法案の問題点について、それぞれ報告がなされた。外国人技能実習生権利ネットワークの旗手明さんは、「3つの法案が取り扱う内容は一見バラバラのように見えるが、しっかりとつながっているものであることを見落とすべきでない」と冒頭で指摘し、今回の技能実習制度見直しの内容、問題点について述べ、「今回の法案は、人権侵害を多く生み出す現行制度の根幹がそのままであり、実際の現場での改善にもそれほど結びつかないという点から、反対すべきものと見ざるを得ない」と語った。  一橋大学教員の伊藤るりさんは、特区法改定案について、「日本は、家事使用人を労働者として見ず労基法の適用外となっていること自体問題だ。ILO家事労働者条約を批准し、それに即した家事労働者の包括的な権利保障が求められる」と述べた。  移住連入管法対策会議の佐藤信行さんは、今回追加されようとしている在留資格取消し事由が、在留資格に該当する活動を行なっていない人が他の活動を「行おうとして」在留している場合に取り消すことができるとした点は、既にある事由と比べていっそう恣意的な適用がなされる恐れがあることを指摘し、「外国人の生活は既に日々管理されている。今回の法案が目指そうとしていることはその極めつけとも言える」と述べ、法案に強く反対した。  続いて、同じく国会に提出されている「人種差別撤廃施策推進法案」、現場で起きている外国人労働者の権利侵害状況、移住女性が抱える問題などについてのリレーアピールが行なわれた。外国人技能実習生問題弁護士連絡会の指宿昭一弁護士は、「技能実習生はいってみれば“物を言うことができない労働者”とされている。今の法案は制度の「適正化」ではなく、技能実習生拡大法案でしかない」と法案を厳しく批判した。多くの国会議員も今集会に参席し、集会趣旨に賛同する発言や、応援のメッセージが寄せられた。  最後に登壇した鳥井一平・移住連事務局長は、「政治は投票できない人たちのことも考えないといけないはずだ」と切り出し、「既に日本の中に移民は存在している。それを「いないもの」としていることが問題の根本だ。いまこの社会がどうなっているのか、事実をきちんと見つめる力が必要だ。移民政策の中身こそ問われている」と述べ、集会を締め括った。
 国の根幹を揺るがす安保法制をめぐる議論が国会の話題を独占しつつあるなか、こうした問題点の多い外国人・移住者関連法案が十分な審議もなされないまま通過することがあってはならない。そうしたことを許さない世論の高まりが必要だ。(2015.06.06)

外国人訪問客に地域のよさ発信を  これまでにない石巻の取り組みから学ぶ

「石巻に恋しちゃった」の会報誌
 公益財団法人大阪国際交流センターが主宰して外国人コミュニティ連携事業委員会で開催されている。地域の多文化共生の担い手である外国人住民に焦点をあてつつ、その力を生かし外国人訪問客を迎え入れなどをテーマに議論が続けられている。交流センターの役割再定立の一環だ。
 交流センターがある天王寺区を中心に、新しい多文化共生の試みに向けた参考にと、宮城県石巻の(特活)石巻復興支援ネットワーク(やっぺす)の関係者らを招いて学習会が5月1日、交流センターで行われた。
 やっぺすは震災後に発足したNPOで、地域共同体が震災被害によりその機能を弱めていく中で、人々が自らの力で復興に向けつながっていくため、さまざまな「場づくり」に取り組んでいる。この活動のひとつに「石巻に恋しちゃった」、称して「石恋」があり、その事例から学ぼうと学習会が開催された。
 「石恋」は得意分野のある人々や特別なスキルを持つ人々を地域から発掘。「達人」と市内外に紹介して、ワークショップを開催するなど、参加型の内外交流で地域を活性化しようという行事だ。年に2回、開催される。  一方、この取り組みからコミュニティビジネスをうみだし、経済的な選択肢を広げていくことも兼ねられている。去る3月14日から29日にかけて行った「石恋」で6回を向かえ、プログラムは約200種類、関わった達人は106名にのぼる。これまで総参加者数は約4200人、宮城県で注目を集める地域行事として実績を積み始めている。
 「石恋」の地域力発掘の事例から学び、天王寺区や大阪市全体の、人々を招く仕掛け作りに生かそうと熱心な討議も行われた。
 これらを含む交流センターの議論は多文化共生センター大阪、ダイバーシティ研究所大代表理事で復興庁推進参与の田村太郎さんを中心に、今年と来年にかけてさまざまなプログラムを準備している。委員には当センターの金光敏事務局長も就いていている。(2015.05.11)

震災から4年 福島県でも外国ルーツの継承語教育を ~福島子ども多文化フォーラム開催

金光敏・当センター事務局長が講演

ダブルルーツの子どもたちによる発表
 福島県の最大都市郡山市に隣接する須賀川市で、中国と日本のダブルの子どもたちの継承語教育に取り組む社会教育団体「つばさ」などが主催する「福島子ども多文化フォーラム」が4月5日、須賀川市で開催された。
 福島県は在住外国人のうち、もっとも多いのが中国人で、多くが日本人男性との国際結婚による渡日だ。その家庭に生まれたダブルの子どもたちの継承語教育を進めようと、震災の年に「つばさ」は発足した。
 子どもたちが成長する中で、他地域の事例から学び、交流を深めようと、同県いわき市、仙台市、山形県からも外国人当事者が主宰する継承語支援教室の団体が参加し、懇親会や子どもたちの発表、シンポジウムが開催された。シンポジウムのゲスト講師に金光敏・当センター事務局長が招かれ、大阪の事例をはじめ在日コリアンの経験について話した。
 講演で「子どもたちの言葉が日本語中心になっていくことに、焦りを感じる保護者も多いかも知れないが、まず大事なことは中国など外国にルーツがあることの肯定化」と指摘し、「民族的アイデンティティが肯定的にさえ育まれたら、成長の過程でルーツ探しが始まり自ら学ぼうとする。また、国際化の時代だから、学ぶ機会もどんどん増えていく。教室で同胞の仲間とつながり、遊び、食べ、楽しみあう教室づくりを」とよびかけた。一方、子どもたちを支えるためにも学校教育との連携は重要、こうした会に教員が参加するよう、教育委員会に協力を要請してはどうかと提案した。
 この取り組みは震災を契機に発足した福島移住女性支援ネットワークが、孤立しがちな外国人家族どうしのつながりづくりが発端になっている。活動を通して認識を深めてきた外国人当事者が子育てや教育について学びたいと企画された。フォーラムには中国人家族に仙台市からの韓国人参加者らも加わり、意義深い地域交流の機会が持たれた。
 大震災に、原発事故。多文化家族にも襲いかかった未曾有の被害は、大きな痛手を今も残す。ただ、当事者たちの力と知恵で乗り越えようと努力する前向きな姿には、大きな可能性も感じさせた。なんら公的援助のない中、情報からも疎外されやすい外国人家族のこうした活動に社会が関心を持ち、社会益としてサポートしていく体制が求められる。当センターとしても持続的に連携していく方法を模索したい。(2015.04.12)

日本の深刻な人種差別状況を、駐日外国公館・海外メディアに訴える

 「ヘイトスピーチ」が流行語大賞の候補にノミネートされたのが2013年末。翌2014年は、国連自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会から深い懸念が表明され、人種差別を止めさせるために政府が明確な行動をとることが勧告された。しかし政府はその後現在に至るまで、何ら明確な態度を示していない。そしてデモや街宣行動等の排外主義行動は東京・新大久保や大阪・鶴橋ではほとんど見られなくなったが、全国各地で未だ続いている状況だ。
 こうした状況に対し、3月18日、当センターも加わっている「人種差別撤廃NGOネットワーク」(略称「ERDネット」、事務局:反差別国際運動(IMADR))が主催となり、「2015年国際人種差別撤廃デー記念集会 ストップ レイシズム! ストップ ヘイト・スピーチ!」を参議院議員会館で開催した。今回の集会は、とくに在京の外国公館(大使館、領事館)全てに案内状を送り、また外国メディア特派員にも呼びかけ、海外の立場から日本の人種差別状況について捉えてもらうことに主眼を置いた。その結果、当日は外国公館15名、海外メディア3人のほか、国会議員または秘書20名、国内メディア25名が集まり、一般参加者含めて130名ほどが集まった。
 集会では、被差別部落、アイヌ、琉球/沖縄、移住女性、移住労働者、在日コリアンという、ヘイト・スピーチを向けられ攻撃され続けているマイノリティ当事者たちから、切実な訴えが続いた。そして弁護士の師岡康子さんから、日本の人種差別を止めるための第一歩として「人種差別撤廃基本法」の制定が必要だと提起された。その後、会場からも、実際に日常で起きている人種差別の事例について発言が複数あった。外国公館出席者は皆、そうした日本の人権状況に関する情報に熱心に耳を傾けていた。
 国際的な人権スタンダードでは、今の日本は確実に深刻な人種差別、人種主義が横行していると言わざるを得ない。何よりもその点を日本政府が十分自覚していないことに対して改善が求められている。政府に対するアピールだけでなく、広く社会的関心を喚起するためにも、今回の集会のような多様な取組みを継続していくことが重要だろう。(2015.03.28)

生野区民、ヘイトスピーチにNO! 住民主体の区政会議で大阪市長に申し入れを決議

「生野コリアタウン」のにぎわいも、
在日コリアンと日本人の協働の成果。
どんな理由があろうと、差別を
容認する社会にしてはならない。
 大阪市24区の区政運営に住民の声をより幅広く反映されることを目的に、各区で区政会議が実施されている。この会議には住民委員や有識者、区役所職員らが出席、身近な課題についてともに知恵を出し合い、自治力を高めることをめざしている。この生野区の区政会議において12月11日、ヘイトスピーチ問題が取り上げられ大阪市長に対策を申し入れる決議を採択した。
 この申し入れは「住民に不安を生じさせるヘイトスピーチへの対応について」と題し、生野区には在日韓国・朝鮮人が多数暮らしている特色や、地域共生に取り組んできた住民の努力について説明、このような中昨年以来「在日韓国・朝鮮人への攻撃的な言葉や蔑称を大音量で連呼する「ヘイトスピーチ」が相次いでいる」と指摘、「地域住民を不安に陥れ、安心して暮らせるまちづくりを阻害する」と批判した。
 また、「この問題は最も大切な人権への侵害に関わるものであり」「区だけでなく市全体として取り組むべき大きな問題」とし、「大阪市長に対し、必要な対策をお取りいただくようお願いするものであります。」と要請している。
 この区政会議には、区内19のすべての地域活動協議会(町内会などの住民組織でつくられる)が加わっており、その総意として決議された。今回の決議は、地元住民からの主体的な問題意識が背景にあり、生野区や区民たちが長い年月をかけて取り組んできた共生の努力を踏みにじるヘイトスピーチへの憤りが表現された格好だ。
 この決議は、生野区長を通じ大阪市長にも伝達される予定だ。また、大阪市会においてもヘイトスピーチに反対する決議が調整されており、差別に対して明確な反対の意志を示す世論のさらなる高まりに期待があつまる。(2014.12.19)

米国大使館の政治担当次席が生野区を訪問

民族学級を訪問

懇談会
 去る11月14日に駐大阪神戸米国総領事館の政治経済担当領事のコリアNGOセンター事務所来訪に続き、東京の米国大使館から大使、公使に続く幹部である次席が12月4日、生野コリアタウンを訪問、在日コリアンの人権状況全般について視察を行なった。
 この日訪れたのは米国大使館の政治部のジェニファーハーハイ次席。大阪総領事館のブライアン・ダーリン政治経済担当領事と難波泰弘政治経済担当事務官も同行した。
 まず一行は、地域の公立学校に設けられた民族学級の現場視察を行なった。学校長から説明を受けたのち、体育館に移動。ちょうど民族学級発表会の前日ということもあって、本番前の完成間近の演目を見ることができた。ハーハイ次席は、練習中でありながらも素晴らしい子どもたちの演技に何度も拍手を送り、その様子をカメラに収めていた。
 ハーハイ次席は挨拶し、「皆さんの姿を見て感動しました。文化のちがいを互いに尊重しあうことは大事なことです。私の国にも多くの民族文化を持つ人々が暮らしています。ぜひこれからもがんばってください。」と子どもたちを励ました。
 さらに在日コリアンの人権状況について知るため、在日コリアンの弁護士、ジャーナリスト、大学教員らと懇談会を持った。この懇談会には弁護士でコリアNGOセンター代表理事の林範夫(イムボンブ)さん、同じく弁護士でコリアNGOセンター理事の康由美(カンユミ)さん、関西学院大学教授の金明秀(キムミョンス)さん、大阪歯科大学常勤講師の李嘉永(イカヨン)さん、ジャーナリストの中村一成(イルソン)さん、同じくジャーナリストの李信恵(リシネ)さんが出席した。
 在日コリアンの歴史的な経過に触れながら、国籍による差別や教育の現状、また昨今のヘイトスピーチによる被害実態などについて説明、日本政府のこの分野の対応は遅れているとの指摘などが出された。ハーハイ次席からも多くの質問がなげかけられ、出席者らが答える、国籍のちがいを理由とする差別の現実や深刻なヘイトスピーチ被害などに驚きを隠せない様子だった。
 一方、出席者から日本政府に対する米国政府の影響力を考えても、米国政府からの日本政府へのシグナルは重要、今日の聞き取り調査が生かされることに期待するとの表明があり、ぜひケネディ大使による現場視察の機会もつくってほしいと要請した。それに対してハーハイ次席は東京に帰って必ず伝えたいと答えた。
 今回の来訪は、コリアNGOセンターがコーディネートし、金光敏(キムグァンミン)事務局長が同行した。(2014.12.06)

人権週間を前に地域で啓発活動  西成区玉出地区でコリア文化体験

朝鮮のこま回し 「ペンイチギ」

坪に矢を入れる遊び 「投壺(トゥホ)」
 毎年12月に人権週間に定め、各地で人権意識を高める取り組みが行われている。この週間は12月10日に世界人権宣言が国連で採択された日(1948年)であることにちなんで制定されたものだ。
 それに先立つ11月29日、大阪市立玉出小学校区(西成区)の人権啓発推進会が小学校の講堂を借りて人権啓発研修会を開催した。この日のテーマは多文化共生。日本のもっとも身近な国、韓国朝鮮文化に親しむ体験講座が企画された。
 この講座に講師を派遣したのはコリアNGOセンター。集まった約80名に朝鮮半島の伝統遊具や楽器のワークショップを実施、交流学習の機会を持った。
 地域での取り組みということで参加者に高齢者が多かったものの、放課後活動の「いきいき活動」の子どもたちも多数かけつけ、幅広い年代の人々が韓国朝鮮文化を体験した。
 また、会場となった玉出小学校には民族学級があり、この日の研修会でも民族学級の楽器などが使われた。
 日韓の関係改善に兆しが見えない中で、隣国を理解しようと取り組む、地域の住民活動があることは注目に値する。こうした地道な住民活動の存在を積極的に評価し、日本国内はもちろん、韓国社会にも伝えていく必要がある。
 メディアに取り上げられるセンセーショナルでナショナリズムを煽る日韓の姿ではなく、心温まる住民の姿が、相互に伝わり、政治の無策に成り代われる本当の意味での日韓の市民交流の拡大に期待が高まる。 こうした現場に携わるコリアNGOセンターの役割は、今後ますます大きくなっていくと自覚したい。(2014.12.02)

米国政府も日本国内の人種主義台頭を注視、米国総領事館の担当者ら当センターを訪問

来所されたブライアン・ダーリン米国領事(右)
 繁華街などで暴力的な人種差別発言が繰り返されている中、その実態把握のため、大阪・神戸米国総領事館の担当者らが11月14日、当センターの大阪事務所を訪問、ヘイトスピーチや在日コリアンの現状についての聞き取り調査を行った。
 この日訪れたのは、ブライアン・ダーリン政治経済担当領事と難波泰弘政治経済担当事務官。当センターの郭辰雄(クァクチヌン)代表理事と金光敏(キムクァンミン)事務局長が応対した。
 ブライアン・ダーリン領事は在日コリアンの現状について聞いたほか、南北分断下で活動するコリアNGOセンターの役割や、その事業について質問した。
 また、昨今のヘイトスピーチにも強い関心を持っているとし、人種差別集団の台頭による被害実態などについて知りたいとした。郭代表理事から「ヘイトスピーチからヘイトクライムへと状況悪化が危惧される。実際に、人種主義を背景とする暴力行為で少年たちが逮捕された事例があった。一方、差別被害を受けた側がその救済を求めようにも、実名をさらすことになり、二次被害の危険性をはらむ。そうした被害を未然に防止するためにも、差別扇動の法的規制は必要」との立場を示した。
 また、金事務局長は「日本政府がヘイトスピーチに何らかの対応を迫られたのも国際世論の動向を受けて。CNNやBBCで報道され、米国務省による議会報告書での言及、国連の各種委員会での改善勧告などが背景にある。日本政府への米国政府の影響力を考えても、米国政府の関心は極めて重要だ」とし、持続的に取り組むことを要望した。
 ブライアン・ダーリン領事は「米国内でも人種差別はあるものの、それを許さない社会世論も強く、政治家が差別的言動をしたり、それに関与すれば、またたくまに政治献金が集まらなくなる。今日聞いた話をワシントン(のアメリカ連邦政府)に伝えていきたい」と答えた。同時に、さらなる実態把握のための持続的な協力を要請、当センターとして米国政府の要請に全面的に応じることを約束した。(2014.11.19)

会うべきは被害を受ける当事者  橋下大阪市長に面談を要請

申し入れ書を提出する李信恵さん(一番右)と
郭辰雄・当センター代表理事(右から2番目)

提出後、記者会見
 在特会との面談を表明した橋下大阪市長に対し、「会うべきは被害を受ける当事者」であり、行政の長との面談で人種主義集団を承認するかのような印象を与えるのは避けるべきだとの申し入れをを9月24日、コリアNGOセンターとフリーライターで自らも裁判で在特会を訴えている李信恵(リシネ)さんが行った。
 この日午前、大阪市役所を訪問し、外国籍住民施策の担当者に申し入れ書を手渡した両者は、「市長との面談で、橋下市長と対等に渡り合ったと組織宣伝に悪用するに間違いなく、在特会の社会的認知を高め、結果的にヘイトスピーチを助長する危険性がある」と指摘した。
 大阪市の担当者は「ヘイトスピーチを批判することを目的に市長が面談に言及したもの。申し入れについては市長に必ず伝えたい」と述べた。
 ヘイトスピーチを規制するためだけなら、彼らから直接話を聞く必要はない。市の担当者らも現場に出ており、動画ならサイト上にいくらでも出回っている。橋下市長がヘイトスピーチを強く批判し、その対策に 指示を出していることは評価する声も小さくない。しかし、あえて在特会との面談することには批判的な意見が多い。
 いま橋下市長がすべきは、実効力のある規制方法への模索や人権行政のさらなる推進であり、そうした大阪市の取り組みにおおくの市民が期待を寄せていることを市長にあらためて問うた格好だ。(2014.09.26)

人種差別的言動の暴力はもう許されない ~CERDからの勧告を報告する市民集会が開催

9人からジュネーブ審査の報告
 8月下旬にジュネーブにて行なわれた人種差別撤廃委員会の日本審査、及び同月末に発表された総括所見について、議員会館で開かれた記者会見(9月2日)に続く形で、人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)主催による報告会が9月17日、東京・中央区で開催された。
 報告会では、実際にジュネーブの審査に出席・傍聴したNGO従事者や弁護士ら9名から、各テーマに基づき審査状況の報告や、総括所見に関する解説がなされた。とくに注目を集め、5点の具体的な対応策を勧告されたヘイトスピーチ・ヘイトクライム問題について、師岡康子さん(弁護士)は、「審査の中で委員は、人種差別的暴力の扇動は表現の自由とは明確に区別できるものだと明確に指摘した」と語るとともに、一方で人種差別撤廃委員会の一般的勧告35で、表現の自由に対する広範で曖昧な制限が、弱い立場にある集団に向けて使われてきたことへの懸念を表明している点についても言及した。また、市民外交センターの上村英明さんは、アイヌ民族に対して総括所見が「依然として存在する格差を減らすための措置を迅速・向上させること」「土地と資源に関するアイヌ民族の権利保護、文化と言語に対する権利実現に向けた措置の実施促進」など明確な勧告を行なっている点を強調した。琉球民族に対しても、先住民族として認められていないことへの懸念が表明され、国が琉球の代表者との協議をきちんと行なうことなどが勧告されている。
 報告者のうち2名は在日コリアン。弁護士協会(LAZAK)の趙學植(チョ・ハクシク)さんからは在日高齢者・障がい者の無年金問題について、在日本朝鮮人人権協会の金優綺(キム・ウギ)さんからは朝鮮学校への差別、とくに高校無償化からの排除問題について、問題の背景と総括所見の該当部分について説明がなされた。
 質疑応答では参加者から、これまで勧告が出ても政府のスタンスが何も変わってこなかった現実をどうやったら変えられるのか?というシンプルだがまさに核心的な部分を突く質問が出され、それに対してユネスコの「反人種主義・差別撤廃都市連合」の紹介など関連する情報や、今後NGO側が行なうべきアクション案などの意見が活発に交わされた。(2014.09.20)

“牧師カフェ” ~大久保で、地域コミュニティ力を育むまた一つの形

WINGROWのダンスパフォーマンス
 JR山手線新大久保駅を取り囲むように位置する新宿区大久保地区は、「コリアタウン」や「韓流の街」と称されることが多いが、コリア以外の国・地域のお店や関連施設も集まっていることは、この街に関心を持っている人たちにはそれなりによく知られた事実。外国人が多く住み、働き、勉強しているこの街には、“多文化”や“外国人”に関わるグループや個人も多くあることが注目を集めやすいが、それ以外にも市民による独自色あふれる多様な活動が行なわれている。
 大久保通りに面する日本福音ルーテル東京教会では、毎週水曜日の午前11時から午後2時まで、『牧師カフェ』をオープンしている。入れたてのコーヒーと、新宿福祉作業所のパン屋のパンが1階フロアで楽しめる、まるで毎日営業している普通のカフェのような雰囲気で、地元の人たちをはじめ、新宿・大久保につながりのある人たちが集まり、ランチのひと時を楽しんでいる。
 日によって企画が入ることも一つの魅力。この日は、R&Bスタイルを中心としながらバラードやダンスなど多彩なパフォーマンスを行なうユニット“WINGROW”のライブが行なわれていた。そうした音楽に普段なじみのない年配層の地元の人たちが笑顔で聞き入っている様子は、地元の寄り合いに旅芸人が来たかのよう。牧師カフェは、信者であるかないか関係なく、地域のつながりを体感できる、また一つの興味深い空間だ。
 ちなみに、大久保の西側に隣接する「百人町」という地名は、江戸時代、江戸城を守る「鉄砲組百人隊」がこの地域に住居をかまえていたことが由来だ。人が生活する住宅地として長い時間を歩んできた大久保・百人町地域は、現在さまざまな国・地域出身の人たちが入ってきている。たえず新参者がやってくるこの地域には、この地域の特性に根ざした〈コミュニティ〉が続いており、当然その形は常に変化する部分と、変わらない部分をあわせ持っている。「新大久保」に立ち寄られたとき、機会があればこうした側面にも触れてみてはどうだろうか。(2014.09.10)

人種差別撤廃委員会が日本の人種差別状況に強い懸念を表明、NGOが報告

 日本政府が1995年に批准した人種差別撤廃条約の条文に基づき作成・提出された日本政府の第7・第8・第9定期報告書について、去る8月20、21日ジュネーブで開催された人種差別撤廃委員会の会合で検討・審議された。その審査結果としての総括所見を同委員会が29日に発表したことを受けて、人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)が急遽、参議院議員会館内で記者会見を開いた。
 記者会見では、ジュネーブでの委員会審議、及び事前に開かれたNGOブリーフィングに出席した市民団体や日弁連から、いくつかの論点について詳細な報告がなされた。とくに「ヘイトスピーチとヘイトクライム」問題に対しては、人種差別を行なう個人・団体の捜査や起訴、憎悪扇動を流布する公人や政治家に対する適切な制裁などを含む5点の勧告が出されている。また朝鮮高校の無償化除外問題についても指摘がなされ、無償化制度を適用すること、近年広がっている地方自治体の補助金支給停止に対しても政府が再開を奨励するよう勧告した。
 今回ジュネーブの審議に参加した有田芳生参議院議員、糸数慶子参議院議員両名からも特別報告がなされた。糸数議員は、もともと独立国であった琉球王国が日本政府に侵略、強制的に併合された歴史を持つことを想起すべきと強く訴え、琉球民族が先住民族として認められていないことへの懸念、教科書に琉球の歴史と文化を含めることの勧告が出たことに対する評価に言及した。有田芳生議員は、今回の審議に出席して、日本の中で理解されている人権基準と国際社会で議論されている人権基準がいかに違うレベルにあるかを痛感したと述べ、ヘイトスピーチ問題に早急な対応が求められており、今年4月に超党派で結成された「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」で具体的な法案論議を進めていることを紹介した。  日本政府は、「人種差別思想の流布等に対し、正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の煽動が行われている状況にあるとは考えていない」(先述の第7・第8・第9定期報告書)と現実を歪曲するような態度を一刻も早く改め、少数者の人権や生命への侵害されないために必要な施策を取らないといけない。今回の勧告はそうした施策に十分に反映されるべきである。
 今回の委員会審議の様子や総括所見については、9月11日に大阪で、17日に東京で開かれる報告集会が開かれる予定だ。(当センターホームページの「イベント情報」ページを参照)(2014.09.02)

新宿区多文化共生まちづくり会議が“教育”と“防災について答申をまとめ区長に提出

 去る8月28日、新宿区役所において、『新宿区多文化共生まちづくり会議』(以下、まちづくり会議)の第4回全体会が開かれた。
このまちづくり会議は、2012年に新宿区が制定した条例に基づき設置された区長の附属機関で、同年9月に第1期をスタートしている。第1回全体会で区長から「外国にルーツを持つ子どもの教育環境の向上」と「災害時における外国人支援の仕組みづくり」という2つの課題が委嘱された。それに基づき2つの部会が設置され、委員が2年間論議を重ねてきた。
 その論議の結果が答申としてまとめられ、まちづくり会議の毛受敏浩会長(日本国際交流センターのチーフ・プログラムオフィサー)から中山弘子区長に手渡された。各部会から出された提言には、教育部会では日本語教育の更なる充実とともに母語・母文化教育の確保、防災部会では外国人を主体とした防災ワークショップの開催などが挙げられている。また両部会ともに、新宿区の多文化共生の拠点となる『しんじゅく多文化共生プラザ』の機能強化が求められた。答申は後日、新宿区のホームページで公開される予定である。
 当センターの金朋央(キム・プンアン)東京事務局長も第1期の委員(防災部会に所属)を務めた。第2期まちづくり会議は早速9月から始まる。(2014.09.01)

橋下大阪市長にあててヘイトスピーチ規制に関する要望書を当センターが提出

村上副市長(左)に要望書を提出
 在特会等による京都朝鮮学校襲撃事件に関わる控訴審判決が一審に続き、在特会等の活動を差別であると糾弾し、高額の賠償命令を出した2日後、大阪市の橋下市長は「言論の自由を逸脱している」として大阪市としてもヘイトスピーチの規制を検討していくと表明した。これを受け、当センターが7月31日、大阪市に対し、ヘイトスピーチ対策に関する要望書を提出した。
 この日、当センターの林範夫(イムボンブ)代表理事(弁護士)、郭辰雄(クァクチヌン)代表理事が大阪市役所を訪問、応対した村上龍一大阪副市長に要望書を提出、この問題に関する政策検討にあたって参考にするよう要請した。
 大阪市長が記者会見で表明した以降、すでに担当部局に指示を出しており、政策検討が始まっている。橋下市長の表明を歓迎しながらも、大阪市が掲げる国際共生都市の理念が効果的に生かされるよう、現場、被差別当事者、専門的視点を積極的に政策検討に盛り込む必要がある。当センターの提案もそれが機軸となっている。また、去る7月25日の国連自由権規約委員会の最終見解も踏まえるよう要請した。
 この要望書の取り扱いについては、部局の担当課と詳細をつめたのち、当センターに回答書が届けれることになっている。この日の申し入れにあたり、川嶋広稔大阪市会議員が仲介役を担ってくださった。(2013.08.01)

大阪市におけるヘイトスピーチ対策に関する要望書

大阪市長 橋下徹 様

 大阪市の発展のため日々尽力されておられる橋下大阪市長に敬意を表します。
 さて、昨今、日本全国で在日コリアンに対する差別的、暴力的表現行為であるヘイトスピーチが全国的に拡散しており、大阪市内においても梅田、ナンバ、御堂筋などの繁華街で頻繁におこなわれています。
 私たち在日コリアンは、街頭で発せられる「出て行け!」「殺せ!」という言葉に激しい憤りと同時に深い悲しみを感じています。日本による朝鮮植民地支配の結果、祖国を離れ日本で暮らすことになり、厳しい差別の中で苦労を重ねてきた高齢者、日本で生まれ育っている次代をになう子どもたち、世代に関わりなくすべての在日コリアンにとってヘイトスピーチは明確に自分に向けられた刃であり、深く心が傷つけられるものであり、これは紛れもなく深刻な人権侵害であり、絶対に許してはならないものです。
 これらのヘイトスピーチに対しては多くの大阪市民も心を痛めています。そして大阪のみならず、日本全国でヘイトスピーチに反対する声も高まりつつあります。
 このようななかで、さる7月8日、2009年から翌年にかけて在日特権を許さない市民の会(在特会)がおこした京都朝鮮第一初級学校襲撃事件控訴審判決がありました。大阪高裁判決では、在特会らの行為が「人種差別」に該当し人権侵害であると明確に認定し、表現の自由によって保護されるべき範囲を超えたものであるとして、地裁判決を支持し、在特会らの控訴を棄却しました。司法の判断としても在特会らのヘイトスピーチがとうてい認められるものではないとの判断を下したのです。
 また、7月に開催された国連自由権規約委員会の日本政府報告書の審議でも日本のヘイトスピーチに対しては法的規制が必要であるとの勧告も出されています。  こうした状況のなか、7月10日の定例記者会見において橋下大阪市長は、ヘイトスピーチに対して、「ひどすぎる。大阪市内ではヘイトスピーチは認めない」と表明され、具体的な対策をとるように指示を出されたと報道されました。この橋下市長の発言はヘイトスピーチで傷つき、心を痛める人々に、大きな期待を与えるものであり、ぜひとも実効性ある対策をとっていただきたいと考えています。
 大阪は歴史的にも在日コリアンが多数居住する地域であり、生野区鶴橋はいまやコリアタウンとして多くの人たちでにぎわいを見せる観光名所となりつつあります。しかし、この鶴橋で昨年の2月24日、「殺せ!殺せ!朝鮮人」と連呼するヘイトデモが繰り広げられ、その場で女子中学生が「早く国に帰れ、鶴橋大虐殺を実行しますよ!」と絶叫するというヘイトスピーチが行われました。その映像はインターネットで全世界に流れ、日本の人種差別を象徴するものとして世界各国で驚きをもって紹介されました。こうしたことは二度と繰り返されてはならないと考えます。
 私たちは立場の違いは認めつつも、市民の間に差別・憎悪をあおりたてるヘイトスピーチは許されるものではないと断言した橋下市長の意志表明を支持し、大阪市内でのヘイトスピーチを根絶するため、早急に下記の施策が行われるよう切に要望いたします。

【要望事項】

1) 過去にヘイトスピーチに関連して司法によって有罪とされた団体・個人が主催もしくは中心的に関わり、その内容から明らかにヘイトスピーチが行われることが予想される集会、街頭情宣、デモなどの行為が大阪市内で行われる場合、大阪市が管理する公共の施設および公園の使用はこれを認めない。
 地方公共団体が管理する公共施設でヘイトスピーチを行ってきた団体・個人に対し、ヘイトスピーチを行うためにこれを利用させ便宜を図ることは、差別行為への便宜供与になり、その本来の目的である「公共の福祉」に反すると同時に、日本政府も批准している人種差別撤廃条約にも違反することとなります。また公園の使用に際しても、大阪市公園条例で「公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で市長が定める」行為を禁止することができると規定されており、こうしたヘイトスピーチのための公園利用は、他の一般市民の利用に著しい支障を及ぼすものです。したがって、「大阪市内でヘイトスピーチを許さない」ためには、大阪市がヘイトスピーチへの施設等の利用を認めないことが最も実効性ある措置であると考えます。
 また大阪市が、ヘイトスピーチへの便宜供与をしない方針を明確に打ち出せば、大阪のみならず全国の自治体へも大きな影響を与えることとなります。

2) ヘイトスピーチ等の表現行為によって被害を受けた在日コリアンおよび他のマイノリティのための常設的な相談窓口の開設。
 ヘイトスピーチによる被害は、公共の空間での差別的表現を大音量でおこなうことにより、その攻撃を受けた在日コリアンの心的な被害はもちろん、近隣商店等の経済的被害、その場に遭遇した人々に与える不快感やストレスなど、その被害は多面的に捉えられなければなりません。そういったさまざまな被害や不安に対処するためにも、市内におけるヘイトスピーチの状況を把握し、常設的に相談に応じることができる窓口を設置し、即応的に対応できるようにしてください。

3) 日本政府に対して在日コリアンをはじめとするマイノリティの人権擁護の観点からヘイトスピーチに対する早急な対策を講じるよう申し入れる。
 ヘイトスピーチはいまや日本全国に拡散している人種差別行為であり、橋下市長も言及されていたように、「表現の自由」はありつつもその許容範囲を超えています。同時に、ヘイトスピーチの拡大は世界各国にも日本国内に深刻な人種差別があるという懸念を広げつつあります。そのような問題意識を国政レベルに反映させ、ヘイトスピーチに対しては明確な人権侵害であるという認識から、対策を講じるよう大阪市としても強く申し入れてください。

4) ヘイトスピーチ対策のための第三者機関の設置の是非について慎重に検討し、および、もし設置される場合、その機関の委員のなかに当事者として在日コリアンが参加し、意見が反映されるよう考慮する。
 橋下市長がいわれる第三者機関とは、単にヘイトスピーチの内容を収集し、差別行為に当たるかどうかを検討し、それを公表することを目的とするものとされていますが、これはむしろヘイトスピーチの内容を大阪市が拡散させることにつながり、被害者の心を傷つけることになりかねません。またヘイトスピーチの判断を留保したままの情報公開は、むしろヘイトスピーチに大阪市がお墨付きを与えることになると危惧します。以上の点から、第三者機関の設置については、くれぐれも慎重に検討してくださるようお願いします。 また、もし第三者機関が設置される場合でも、ヘイトスピーチへの被害を正確に把握し、その対策を立てるにあたっては、なによりも被害当事者である在日コリアンの視点が重要であり、その意見が反映されるべきだと考えます。そのような人選・構成を図ってくださるようお願いいたします。

2014年7月31日
特定非営利活動法人コリアNGOセンター
代表理事 林範夫
郭辰雄

KEY相談事業キックオフイベント「マイノリティの若者はいま」開催

KEY共同代表の田中趙美奈子さんから事業の説明
 コリアルーツの若者たちのエンパワーメントを支援する当事者団体、在日コリアン青年連合(KEY)が7月27日、新しく開始する相談事業にあわせたイベントを大阪市中央区で開催した。
 「マイノリティの若者はいま」をテーマに、KEYと金泰泳(キムテヨン)東洋大学教授がこの間に行ったコリアン青年の意識調査の結果を発表し、深刻な被害をもたらしているヘイトスピーチの認知度や、被差別体験、また差別にあったときにどのように対処したかなどの貴重な実態を明らかにした。  KEYはこうした実態をもとに、コリアン青年の個別の悩みを聞き、解決への足掛かりを共に探す相談事業を開始する。相談事業の愛称は「晴れほこ」。8月から本格実施し、一人でも多くのコリアン青年たちの拠り所をめざして取り組んでいくとしている。
 この相談事業の開始イベントでは、「ヘイトスピーチとは何か」の著者で弁護士の師岡康子さん、部落解放同盟兵庫県連で相談事業に取り組んできた北川真児さん、そして当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長がパネリストを務め、それぞれの専門分野からの経験や、KEYの事業に対する期待、また会場からの質疑応答で議論を深めた。
 露骨化する人種差別などで外国ルーツの青年たちが受ける精神的圧迫は決して小さくない。とりわけ、ヘイトスピーチ集団はコリアンを標的に悪辣な暴力言動を続けており、そのダメージは計り知れない。そうした中、KEYが個別のケースワークを重視して取り組む相談事業は、とても大事な試みだ。また、KEYの当事者団体としての意気込みに、この日も高い評価が集まった。
 対人支援で経験を積んできた当センターとして、押し退けられやすい人々、取り残されやすい人々の支援の充実に共に努力し、連帯していきたい。(2013.08.01)

仲良くしようぜパレード2014 誰かを排除する社会にNo! 総勢1500名「共生」にYes!!



 差別に反対し、誰とも共に生きていける社会をめざす、「仲良くしようぜパレード2014」が7月20日、大阪北区の中之島公園を出発して、御堂筋を約1500人で練り歩いた。
 御堂筋界隈は毎月のようにヘイトスピーチが行われている場所。この毒素を中和するかのように、市民たちが思い思いのアピールを繰り広げた。参加者は高齢者から幼児まで。誰もが人種差別に怒り、許さない願いで大阪のメインストリートを歩いた。
 初めて行われた昨年は約600人の参加。今年はそれの2倍に及び、あらためて関心の高さを感じさせた。それは同時に人種主義の横行がそれほどに深刻だということを示し、ヘイトスピーチの被害はまだ収まるところを知らない。
 去る7月8日の京都朝鮮学校襲撃事件に関わる大阪高裁判決や、15日と16日に国連自由権規約委員会での日本政府報告書の審査で、ヘイトスピーチに対する国としての規制を求めるなど、内外の反人種主義の世論は着実に高まりを見せている。
 さらに「仲良くしようぜパレード」を沿道で眺める市民の反応も好意的なものが多く、明らかに人種主義集団の空間は狭まっていることを実感させた。ただ、彼らはいまだ表現の自由を騙り、少人数でも嫌悪する暴力的言動を繰り返す。
 また、街頭でのヘイトスピーチに至らずとも、外国人を危険視し、排外する言動はマスメディアや、一部政治家からも続いている。さらには今年6月に佐賀県鳥栖市で外国人留学生に、投石や卵を投げつけた事件が衝撃を与えた。
 多様性に背を向け、閉鎖的なナショナリズムを自らの信念だと捉える政治家が力を持ち、支持されることに脅威を感じずにはいられない。一方、若い人々が中心になり準備した「共に生きよう」は日本社会がもう一度、多様性とは? 寛容とは? 他者との共生とは? の問いを投げ掛ける貴重な機会となった。
パレードの参加者は汗だくになりながら、御堂筋を歩いた。しかし、ゴールでは疲労どころか、皆が爽快な 顔をしていた。誰かを排除し、傷つける言動を繰り返す人々が見せる暗く陰湿な表情とは正反対。差別からは何も生まれないということをあらためて表した。人種主義者らが差別を振りまきにくい社会にしようとのメッセージは力を発揮した。(2013.07.23)

外国人住民の権利を守るために、自治体だからこそできる役割

 在留外国人の新たな管理強化を図る改定入管法と、外国人も新たに加わることになった改定住基法が2012年7月9日に全面施行されてから2年が経つ。この間、みなし再入国許可の不適用、大学を通じた留学生の在籍状況把握の徹底化、在留資格を持たない子どもの公立学校就学拒否など、様々な問題が発生している。在留カード不携帯者に対する執拗な取調べ、指紋を採られたケースが複数報告されており、DNA情報採取までされたケースもある。まさに昔の指紋押捺が強制されていた外登証時代を髣髴させる。
 7月5日、東京・千代田区の在日本韓国YMCAで「研究集会 ~改定入管法施行から2年~自治体の外国人住民政策を考える」(主催、外国人人権法連絡会、移住連など)が開催された。
 まず、主催団体が実施した「改定住基法施行後の外国人施策に関するアンケート」の集計結果の中間報告が、鈴木江理子さん(国士舘大学准教授)からなされた。同種のアンケート実施は今回で3回目である。在留カードに記載される名前に関する問題や、外国人登録原票が全て法務省に移され外国籍住民の過去の身分事項の証明が非常に煩雑となったことなど、外国人住民と対面する自治体職員が感じている様々な課題が指摘されている。このアンケートの集計結果は後日あらためて最終報告としてまとめる予定だ。
 その後、自治体という現場の現況に関する報告が3つ続いた。横浜中華街があり、多くの中国人が生活する横浜市中区で国際サービス員を務めている廣野美賀子さんは、中国語による案内作成など職員独自の取組みを通じて、「区職員が、日本語ができない外国人を厄介者扱いせずに、少しでも何か相手の伝えようとしていることが理解できれば、何とかしてあげたいという気持ちが生まれてくる」と語り、いかに異文化の他者と理解し合えるのかについて具体的に紹介された。同じく横浜市鶴見区の国際サービス員を務め、ACO神奈川でカトリック労働者運動にたずさわる棚原恵子さんは、ラテンアメリカ出身者の状況やニーズについて触れながら、基本的スタンスとして「民主主義は数の問題ではない。良いことは、単に情報提供するだけでなく、きちんとシェアすべきだ」と強調した。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の戸田佑也さんは、同社が2012年に実施した「基礎自治体の外国人政策に関するアンケート調査」の結果(有効回答:535自治体)を報告された。同アンケート調査は各自治体の庁内体制や外国人住民の受け入れ方針、教育施策など様々な側面から自治体の外国人政策が分岐されており、たとえば外部団体との連携体制については、約6割が連携があると回答したが、外国人主体の市民団体・NPOとの連携があるのはわずか6.0%に留まっている。
 報告者4名が登壇する形での全体討論の時間では、参加者から多くの質問や意見が相次いだ。なかには、在留資格を持たない非正規滞在者に対する行政サービスが適用されていない実態も報告された。政府は入管法・住基法改定は行政サービスの適用に何も変更はないと明言しているが、実際はそうなっていない現実があり、それを決める鍵は自治体が握っている。自治体レベルでの取組みが非常に重要性を持つことが、この研究集会で再確認されたといえるだろう。 (2013.07.05)

フィリピン独立116周年を祝う記念式典 神戸で開催!

大使と懇談する生徒ら
挨拶するロペス
特命全権大使
 フィリピンが独立闘争の果てにスペインから自由を勝ち取った1899年6月12日から115年。116回目の独立記念式典が6月12日、在日フィリピンが多く暮らす関西圏でも開催された。6月12日はフィリピン共和国の国家記念日に指定されており、神戸市中央区で在大阪ー神戸フィリピン共和国総領事館が主催した。 マリアテレサL.タギャン総領事は「先人たちの歴史から学び、今日ある私たちが感謝の気持ちを持ち、引き続き社会の発展に努力しなければなりません。」「もうひとつのアジアの奇跡と言われるほどフィリピン経済は発展を遂げています。祖国の発展を通して在日フィリピン人コミュニティを励ましていきたい」と述べた。
 また、この行事のために駆けつけた在日本フィリピン共和国大使館のマヌエルM.ロペス特命全権大使は「昨年の大災害によりフィリピン国民は大きな悲しみに包まれました。一方、海外からの心温かな支援に多くの国民が励まされ勇気付けられました」「在日フィリピン人の存在は国の誇りです。皆さんも国が困難なときに多くの励ましの手を差し伸べてくれた。」と日本における同胞社会を労った。
 この式典には、在関西の在日フィリピン人社会のコミュニティリーダーをはじめ、井戸敏三兵庫県知事、久元喜造神戸市長、各国の公館の代表者、政財界人、文化人など多数駆けつけた。
 当センターから金光敏(キムクァンミン)事務局長も招待された。昨年、在日フィリピン人社会の支援事業を実施したことが契機となったほか、大阪府立の高校に在学するフィリピン生徒らが祖国の大災害に義援金を募った。その際、生徒らが総領事館を訪問し総領事に直接伝達する機会も設けられた。そのコーディネートも当センターが担当した。
 パーティーが始まると、生徒らはロペス大使やタギャン総領事を訪ね、懇談。活動の様子について語ったうえで、大使や総領事から励ましの言葉を受けた。生徒らは母の国フィリピンへの思いをさらに強くしたと興奮ぎみだった。
 フィリピン共和国総領事館は西日本全体をカバーしている。さまざまな困難に直面している同胞たちの支援にはあまりにも人手不足、資金不足だ。私たちが昨年行った支援事業は、領事館と地域で活動するNGOが連携し、より多くの相談受付や支援につなげるセミナーや相談会の開催に取り組んでいる。そこには在日コリアンの行政書士や社会保険労務士も無報酬で参加。在日コリアンと在日フィリピン人社会との協働が生まれればとの期待もある。さらに本国社会とのつながりを通して、外国人の子どもたちの自尊感情の高める機会をつくるなど、さらに今後とも連携を深めていきたい。(2014.06.13)

震災から4年目の仙台で、外国人/移住者について熱い議論が交わされる

2日目の全体討論
 去る6月7~8日の2日間にわたり、「第10回移住労働者と連帯する全国ワークショップ」(主催:移住連)が仙台市で開催された。移住者や支援団体従事者らが100名以上、全国から集まった。
 開会式には地元宮城選出の郡和子衆議院議員が出席、挨拶で激励の言葉を語った。続いて「東日本大震災から3年~被災地の移住者はいま」と題する特別報告が行なわれた。南三陸町で被災した後、地元の人たちと手を取り合い様々な復興支援活動をされてきた佐々木アメリアさん(フィリピン出身)は、「3年経った今も町民の心はまだ回復していない。つらさ、悲しさを飲み込んで耐えながら頑張っている」と、いまも復興から程遠い状況に置かれている現実を伝えた。
 その後、労働・技能実習、移住女性、入管法・住基法、外国につながる子どもたち、貧困、難民・収容、医療の7つの分科会に分かれて報告と議論がなされた。2020年東京オリンピックに向けた建設労働者の需要拡大にみこんで、日本政府は、本来「労働者」ではない技能実習生制度を利用した一時的な外国人労働者受け入れを図ろうとしている。そうした状況をふまえて今回のワークショップのテーマは「いま、ホントに議論しよう。移民について。(Honest Discussion Now, On Migrants)」とされ、とくに労働・技能実習の分科会には多くの参加者が集まり、非常に活発な議論が展開された。
 また初日夜には、昨年度よりイシュー化している「ヘイトスピーチ」の分科会が設けられた。夕食後の時間帯にかかわらず50名以上が参加し、関心の高さが伺われた。この分科会では人種差別撤廃条約にともなう国内法制定に向けた取組みなどが提起されるとともに、金朋央・当センター東京事務局長が東京におけるヘイトスピーチの現況を報告し今後の課題について提起した。
 2日目は、まず前日の各分科会の報告、及び議論を通じて抽出された政策提言が各分科会参加者から行なわれ、続いて「移民政策の今後と私たちの課題」について全体討論が行なわれた。全体討論ではとくに移住女性の参加者たちから各地の報告や積極的な提案が続いた。
 このワークショップは隔年ごとに開催されており、その間の隔年は「全国フォーラム」という形式で、もっと大規模な行事として開催される。来年2015年のフォーラムは6月に北九州で開催されることが決まっている。(2014.06.10)

『「ルポ京都朝鮮学校襲撃事件」<ヘイトクライム>に抗して』出版記念の集い 開催される


 今年7月にも大阪高裁で判決が出るとされている「京都朝鮮学校襲撃事件」(2009年12月)を追った『「ルポ朝鮮学校学校襲撃事件<ヘイトクライム>に抗して」』(岩波書店)の出版に合わせて、著者中村一成さんを招いた講演会が4月26日、大阪市北区のエルおおさかで開催された。
 この事件を企てた在特会のメンバーらの刑事裁判はすでに終了し、威力業務妨害等で実刑判決が出ている。現在進行中の裁判は民事訴訟で、2013年10月の京都地裁では原告らの主張を認め、在特会に対して朝鮮学校への接近禁止と1200万円を超える賠償命令が出た。被告らは控訴し、大阪高裁の判決を待つ状態だ。 この事件を詳細に追ったジャーナリストの中村一成さんが雑誌『世界』に連載した内容を大幅に加筆して出版した。
 講演会では中村さんの基調講演、そしてこの事件の弁護を担当する富増四季さんが裁判の現状を、海外の人種差別撤廃法制に詳しい弁護士の師岡康子さんが人種差別禁止法制定に向けた内外の動きなどを報告した。
 深刻なヘイトスピーチが繰り返される中、それに反対する市民の動きも活発化しつつある。その大きな弾みとなったのが京都地裁判決だと言っていい。この判決では人種差別撤廃条約の条文をほぼ直接適用したものとして注目を集めた。
 今後予定されている大阪高裁での判決は、一審とほぼ変わらないとの見方が優勢だ。また、国会でも超党派議員からなる議連が誕生し、差別禁止法制も含め日本国内の人種差別を認めない努力に期待が集まる。
 中村さんの著書はそうした動きの中で、差別の対象となった朝鮮学校関係者の受けた痛み、それに抗うことを決心した孤独、当事者の苦悩に目を向け、丁寧に聞き取りをしたことで他のヘイトスピーチ批判書ともちがいがある。力作と言っていい。貴重な闘いの記録でもある。多くの人々にぜひ読んでほしい。(2014.05.01)

差別禁止法も外国人の人権法もない日本の状況を変えていくためにはどうすべきか

4名のパネリストの方たち
 今年は7月に国連自由権規約委員会で、8月に人種差別撤廃委員会で日本の人権状況に関する審査が行なわれる。しかし日本政府から既に出されている報告書では、過去の審査で各委員会から出された懸念・勧告に対してはほぼ無回答の状態だ。たとえば人種差別撤廃委員会への報告書(2013年1月提出)では、処罰立法義務を定めた第4条(a)(b)を留保していることについて、「右留保を撤回し、人種差別思想の流布等に対し、正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の煽動が行われている状況にあるとは考えていない 」と述べている。既に2012年頃から新大久保や鶴橋でのヘイトスピーチが街頭で頻繁に行なわれていたにも関わらず、である。  こうした日本の外国人・民族的マイノリティの人権状況について、他国の状況との比較から捉えてみようという趣旨で、去る3月29日、東京・港区でシンポジウム「国際社会から見た日本の外国籍・民族的マイノリティの人権状況」(主催:外国人人権法連絡会、共催:人種差別撤廃NGOネットワーク)が開催された。
 まず宣元錫さん(中央大学)から韓国の状況、ステファニー・クープさん(青山学院大学)からオーストラリアの状況、金子マーティンさん(日本女子大学)からオーストラリアの状況、寺中誠さん(東京経済大学)から日本の状況について報告がなされた。オーストラリアでも人種差別問題は大きく、とくにアボリジニーに対する差別が最も深刻であるが、日本との違いは人種差別に関する法律があることだという指摘があった。また日本の私立大学が現在補助金を申請する際に、外国人教員(しかも日本国籍を取得した人も含む)のリスト及び各個人の研究業績等の資料提出が行なわれているという、驚くべき指摘もあった。
 その後のディスカッションでも、示唆に富む海外の事例やそれに対する評価など、非常に興味深いコメントが続いた。それらを通じて、外国人の人権や差別禁止について何ら特定の立法をしていない日本の特異さがいっそう浮かび上がったといえる。
 この日の資料として、外国人人権法連絡会が毎年発刊している「日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書2014」が参加者に配布された。またこのシンポジウムの前には同連絡会の総会が開かれ、2013年度活動報告と2014年度活動計画が提起、承認された。(2014.04.03)

「在日コリアンから学ぶ」早稲田大学の名物授業率いた岡村遼司の退任シンポジウム開催

 早稲田大学で12年間に渡り取り組まれてきた名物授業に「在日コリアンから学ぶ」という科目がある。この授業は早稲田大学大学院教育総合科学学術院の岡村遼司教授が企画運営を担当してきた。開講以来、500人以上の学生が履修し、他大学の学生らも噂を聞き付けて参加するほど、特色ある人気講座として知られている。
 この度、岡村教授の退任に伴う最後の授業としてシンポジウムが2月27日、早稲田大学小野記念講堂で開催された。
 このシンポジウムは早稲田大学オープン教育センター・コリア研究と、早稲田大学韓国学研究所の共催で、パネルディスカッションでは、ルポライターの姜誠(カンソン)さん、作家の川田文子さん、そして当センターの金光敏事務局長がパネリストを務めた。
 岡村先生はこの授業を始めた理由について、詩人の金時鐘(キム・シジョン)先生らの言葉から在日コリアンと日本人がいかに向き合うのかとの問いが影響を与えたと語り、学生たちと議論しながら作り上げてきたと振り返った。
 日本を代表する大学のひとつである早稲田大学に在日問題を切り口に人権や平和、多文化共生を論ずる授業があることはあまり知られていない。今回のシンポジウムを主催した早稲田大学の両機関では岡村教授の意志を継ぎ、授業を続けていくとしている。(2014.03.05)

ヘイトスピーチに対する法制度について一歩踏み込んだ議論を

当初定員を大幅に上回る人が集まった
 昨年12月に出版された岩波新書「ヘイト・スピーチとは何か」の著者、師岡康子さんを中心に、ヘイトスピーチの現状とそれに対する法規制について実質的な議論をしようという趣旨で、出版記念シンポジウムが岩波セミナールームで開催された。当日は約110名も参加し、ヘイトスピーチに対する現在の関心の高さを感じさせた。主催の実行委員会には当センター東京事務局長も参与した。
 一部のシンポジウムでは、師岡康子さん、東京造形大学教授の前田朗さん、一橋名誉教授の田中宏さん、弁護士の金哲敏(キム・チョルミン)さんによるパネルディスカッションが行なわれた。前田さんは「ヘイトスピーチの法規制は表現の自由を妨げるという論理は本末転倒。表現の自由を守るためにヘイトスピーチを処罰すべきだという考えがもっと定着しないといけない」と語った。金哲敏さんからは、昨年起きた排外主義デモへの対策に関わっている、ある在日コリアンの弁護士が家族の身の安全に及ぶ危険を恐れていると言ったエピソードを紹介し、当事者が置かれている苦悩、苦痛が伝えられた。
 二部では参加者からの質問や、ヘイトスピーチ問題に取り組む様々な参席者からの発言が続いた。まとめの挨拶で師岡さんは、ヘイトスピーチの本質は少数者を差別し、その人格ひいては生命までも奪おうとする暴力であることを強調された。最後に花束が贈呈され会が締め括られた。
 同書の出版記念行事は、2月23日(日)に大阪でも開催される予定だ。(2014.02.18)

多文化の街・大久保で、国際移住者デー記念イベントを開催!

ACEさん(左)とSTEAL-Iさん(右)
 1990年12月18日、国際連合総会で「すべての移住労働者およびその家族の権利の保護に関する国際条約」(移住者権利条約)が採択されたことを記念して。この日が“国際移住者デー(International Migrants Day)”という記念日とされている。しかし日本政府はいまだにこの国際条約に加入していない。
 日本で暮らす多様な移住者が主役となって国際移住者デーを迎えようという趣旨で、去る12月14日の土曜日に『多民族の多文化な祭典-国際移住者デー2013 in 新大久保』を、大久保通りに面する日本福音ルーテル東京教会1階フロアで開催した。実施に際しては、地元で活動する『OKUBOの寄り合い』から多大な協力を受けた。
 イベントのメインプログラムは、ドキュメンタリー映画『ハーフ』(HAFU)の上映。出自や国籍、境遇も様々な日本と外国のハーフの若者たちの日常の姿と思いがぎっしり詰まった、まさに国際移住者デーにふさわしい作品で、上映後、多くの来場者から好評価の声が主催側に伝えられた。またパフォーマンスタイムでは、ブラジル生まれ・新宿育ちのラッパーACEさんと、R&BシンガーソングライターのSTEAL-Iさんによるデュオが出演してくれ、そのほかにアジア・アフリカ出身者らによるダンスの披露があった。その後に続いて移住者の現状を伝える時間として、今年実施された新宿区を中心とした外国籍住民の防災と生活に関する意識調査報告もあった。
 フロア入口には、ネパール、ベトナム、トルコ、パキスタンの各種料理が楽しめる屋台が立ち並び、イベントを目的に来場した人だけでなく、この日偶然新大久保に来ていて、立ち寄った人の姿も見られた。会場は終始、祭典(フェスティバル)にふさわしいといえる活気に包まれていた。
 主催の「国際移住者デー実行委員会」には当センターも加わっており、来年以降も開催する方向で考えている。(2013.12.17)

大阪の秋の風物詩、四天王寺ワッソが開催!

白頭学院PTAがチヂミやキムチを販売
古代の人々に扮した行進
 倭と百済や新羅とのゆかりが今に伝わる大阪市中央区の難波の宮で11月4日、毎年恒例の秋の風物詩、「四天王寺ワッソ」が開催された。
 古代から現代にまでつながる日本と朝鮮半島の歴史的なつながりに着目し、相互理解を深める行事として親しまれている。古代史の登場人物などを再現した行列が有名で、今年も多くの見学者がかけつけた。
 四天王寺ワッソには、学校法人白頭学院や学校法人金剛学園をはじめ公立学校の子どもたちが演奏者やエキストラとして多数参加し、子どもたちの歴史学習や交流の機会にもなっている。(2013.11.06)

第18回東大阪国際交流フェスティバルが開催!

 東大阪に暮らすさまざまな外国人住民と交流し、誰もが差別されない社会をめざす東大阪国際交流フェスティバルが11月3日、近鉄布施駅前の三ノ瀬公園で開催された。草の根の市民交流をはじめ真の国際化を深めることを目的に、1995年から始まった行事。市内およびその周辺からさまざまな国の人々が集まり、相互交流を続けている。
 東大阪市立柏田小学校母国語学級の子どもたちをはじめ、東大阪朝鮮初級学校、大阪府立長吉高校の中国出身生徒たち。また、アフリカにルーツのあるグループによるアフリカンダンスやネパールの舞など、地域に生活者として暮らす外国人が出身国や祖父母から受け継ぐ文化を披露し、多様な民族の風習などについて知ってもらうプログラムが実施された。
 また、会場にはアジア、南米、アフリカなどの料理が楽しめるブースのほか、東日本大震災の支援物品の販売、地元の障がい者たちのつくった雑貨なども販売され、あいにく雨模様の中でも会場はもりあがった。
 フェスティバルには野田義和東大阪市長も応援にかけつけた。
 この行事は、韓国民団、朝鮮総連の支部代表者や中国人協会の代表者らが呼びかけ人になって毎年11月3日に開催されている。(2013.11.06)

讀賣テレビ番組での在日コリアンに対する差別助長・偏向発言に関する抗議文

讀賣テレビ放送株式会社
代表取締役社長 望月規夫 様

讀賣テレビ番組「たかじんのそこまで言って委員会」での
在日コリアンに対する差別助長・偏向発言に関する抗議文

 私たちコリアNGOセンターは、在日コリアンを中心に「人権」「平和」「共生」を理念として、活動をおこなっているNPO法人です。

 さる10月20日、讀賣テレビで午後1時30分より放映された「たかじんのそこまで言って委員会」において、出演者の竹田恒泰氏が在日コリアンに対する看過できない、偏見と差別に基づく発言をおこない、それを讀賣テレビが放映したことについて、断固として抗議するとともに、放送局としての責務として、差別を助長する偏見報道をおこなった事実を公に認め、再発防止を強く求めるものです。

 10月20日、放映された「たかじんのそこまで言って委員会」では、京都朝鮮第一初級学校に対する「在日特権を許さない市民の会」(以下在特会)らのヘイトスピーチが人種差別であるとして1226万円の賠償が認められた10月7日の京都地裁判決など、この間、日本各地で繰り広げられているヘイトスピーチを論点として取り上げました。番組では今年5月に安倍首相が国会でおこなったヘイトスピーチに対する批判的答弁も紹介されており、聞くに堪えない差別表現を繰り返す、彼らの行動、表現に対してコメンテーターからも問題視するコメントも多く出されました。

 しかし、それらの発言のなかで、出演者の一人である竹田恒泰氏は、以下のような発言をおこないました。

「(いろいろ批判もあり、表現の仕方は問題がありますが)在特会はいいこともしたんです。在特会が活動したおかげで在日の特権というものの問題が明らかになりました。たとえば通名というのがあって、日本人の名前に変えることによっていままでの犯罪歴から、金融関係の経歴を消すことができて、また新たな犯罪ができる、そういうことをかなり表現したんです。だから在特会の表現について評価は分かれるところでしょうが、在特会が問題提起したことはかなり重要なことが含まれています」

 この発言は、以下の点から到底看過すべきものではないと考えます。

(1) この発言は在日コリアンの通称名使用による「特権」として、犯罪歴や金融機関の取引記録の抹消などとしています。しかし在日コリアンをはじめとする在日外国人は、以前は外国人登録でしたが、現在は在留カード、特別永住者証明証などで、日常的に身分事項を厳格に管理される制度の下に置かれており、通称名の使用や変更によって過去の犯罪歴や経歴の抹消をおこなうことは到底できません。したがって竹田恒泰氏の発言は明らかに事実に反しており、こうした虚偽の事実を流布することは、偏見を助長するものであり、決して許されません。

(2) また、この発言は在日コリアンの歴史性を背景とする通称名問題を、きわめて歪曲、矮小化しています。そもそも旧植民地出身者としての在日コリアンは、植民地時代に創氏改名により実質的に日本名を名乗ることを強要されてきました。そして解放後も厳しい日本社会の差別の中で、民族名を名乗れない、すなわち自らの出自、アイデンティティを隠すことを余儀なくされる生活を強いられてきました。そうした歴史的事実を全く無視し、通称名を特権視することは、歴史の歪曲以外のなにものでもありません。そして、これを放送局が放送することは、在特会の主張する論理を肯定化し、それを拡散させ、誤った認識と差別意識を拡散させることになります。

(3) 同時に、通称名使用の「特権」なるものが犯罪や金融と結びつき、あたかも新たな犯罪行為を行うことができるかのように語るのは、在日コリアンが犯罪集団であり、危険な存在であるという歪んだ偏見を助長するものであり、私たちは到底許すことができません。

(4) 在特会のヘイトスピーチは、いまや政界、法曹界はもちろん、各界各層で、人種差別行為として批判されています。また朝鮮学校のみならず彼らが行ったヘイトスピーチが威力業務妨害や暴行などに問われ、関係者が逮捕される事態も相次いでいます。そうしたなかで、「いいことをした」と肯定することは、まさに人種差別を容認し、暴力的な排外行動を容認することにほかなりません。

 以上の理由から、私たちは発言をおこなった竹田恒泰氏に、同番組内にて差別と偏見の助長につながる誤った発言をおこなったことに対する謝罪と訂正を求めるものです。

 また、今回の放送は事前に収録された番組として、録画、編集されたものであり、讀賣テレビが事実ではない虚偽の内容にもとづく、在日コリアンに対する人権侵害、差別を助長する番組を放映したことの責任もきわめて大きいといえます。私たちは、こうした観点から放送法第4条にもとづく訂正放送を求めます。

 いま各地で広がるヘイトスピーチは、在日コリアンのみならず、良心ある日本の市民の方々も傷つけています。ぜひ読売テレビにおかれましては、社会の公器であるメディアの責務からも、適切な対処をおこなってくださいますようお願いする次第です。
2013年10月20日
特定非営利活動法人 コリアNGOセンター


京都朝鮮第一初級学校裁判での地裁判決についての声明

 10月7日、京都地方裁判所は、「在日特権を許さない市民の会」(以下、在特会)による京都朝鮮第一初級学校周辺での人種差別的なヘイト(憎悪)街宣活動による業務妨害などで、学校を運営する京都朝鮮学園(同市右京区)が在特会と関係者8人を相手取り、半径200メートル以内の街宣禁止と計3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、同範囲内の街宣禁止と1226万円の支払いを命じる判決を下した。
 私たちは、京都朝鮮学校に対する在特会のヘイト街宣を「人種差別」であるとし、「表現の自由」という彼らの主張を退けた今回の判決を心より歓迎するものである。
 在特会がおこなったヘイト街宣は、「スパイの子ども」「キムチくさい」「叩き出せ」など、聞くに堪えない暴言を、子どもたちが通う学校の前で長時間にわたっておこなわれた。その間、校舎にいた子どもたちは怯え、教員たちは悲しみ、怒りに体を震わせていた。しかもその行為が「表現の自由」であるとして、公然と繰り広げられたのである。
 今回の判決は、彼らの朝鮮学校に対する不当な妨害行為を認めると同時に、在特会のヘイト街宣での発言、暴言を「人種差別」と規定しながら、賠償額についても「人種差別撤廃条約の責務にもとづき、人種差別行為に対する効果的な保護および救済措置となるような額を定めなければならない」とし、国際人権基準に照らした判断をおこなっている。
 このことは、東京、大阪、神戸をはじめ日本各地でいまも繰り返しおこなっている在特会とその周辺団体のヘイト街宣を、「表現の自由」という論理でとらえることに大きな一石を投じているともいえる。
 京都朝鮮第一初級学校に対する街宣を皮切りに、全国に拡大しつつある在特会のヘイト街宣に対しては、心ある各界各層の人たちが反対の声をあげ、街頭に立ち、抗議の意思を示している。そしてその声は政界、法曹界など各界にも波及し、法規制の必要性に対する共感として広がりつつある。
 私たちは今回の判決を受けて、人種差別的な憎悪感情を煽る在特会らのヘイト街宣に対して、マイノリティの人権、多民族共生の視点からどのように規制するべきかという議論が日本社会の喫緊の課題として真摯に論議され、国際人権基準に合致する法制度の整備が図られるよう、期待するものである。
2013年10月7日
特定非営利活動法人 コリアNGOセンター


ヘイトスピーチとレイシズムの克服を目指す「のりこえネット」が発足

壇上で発言する共同代表たち
 激化するヘイトスピーチ、ヘイトデモを座視できないと立ち上がった日本の各界各層の人たちにより「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」(略称:のりこえネット)が結成された。そのキックオフ記者会見が、新宿区大久保のライブハウス会場で開かれ、多くの報道陣が集まった。
 21名いる共同代表のうち、記者会見には、元日弁連会長の宇都宮健児さん、評論家の佐高信さん、作家の中沢けいさんら12名が参席した。冒頭挨拶で共同代表の一人の辛淑玉(シン・スゴク)さんは、「今起きていることを無視することは、もはや許されない」と、ネットワークが立ち上がった背景を語った。また、村山富市・元首相がこの日、共同代表就任を承諾したことも紹介された。
 出席した共同代表からのスピーチのあと、記者からは、実際に行なわれるヘイトデモへの対応や、どういう主体・勢力との協力になるかなど、今後の活動に関する質問が相次いだ。のりこえネットは、現実に起こっているヘイトスピーチ、レイシズムに機動力もって対応すると同時に、差別・偏見を減らしていくための学習活動、広報活動に力を入れていく予定だ。思いを共にし行動するボランティアも募集している。
 「のりこえネット」の設立趣旨や共同代表、活動予定などの情報は、ウェブサイト http://www.norikoenet.org に掲載されている。(2013.09.27)

新宿で、あらゆる差別撤廃を訴えるデモ、約2000人が参加

さまざまな装いで差別反対を訴える
 今年に入り頻発していた新宿区大久保でのヘイトスピーチ(憎悪発言)を行なうデモが、約2ヶ月ぶりに9月8日に行なわれた。あらためて注目を集めるなか、9月22日の日曜日に、同じ新宿区で、人種・国籍・ジェンダーなどあらゆる差別に反対するパレード『差別撤廃東京大行進 The March on Tokyo for Freedom』(主催:People’s Front of Anti-Racism)が開かれた。集まった約2000人の参加者は、新宿中央公園・水の広場を出発し、新宿駅西口側と東口側を往復する形で、約2時間かけて歩き、差別反対を訴えた。
 最初に出発した第一梯団は、米国で50年前に行われたキング牧師の演説「I Have A Dream」で有名な「ワシントン大行進」をモチーフにした、スーツ姿のブラスバンドが行進した。それに続き、プラカードや横断幕、「仲良くしようぜ」と書かれたカラフルな風船、チマチョゴリやピエロ姿などのにぎやかな仮装の参加者もいて、沿道の通行者の目をひいていた。
 翌日23日にも、同じ新宿で「差別・排外主義にNO!9・23行動」と題する集会・デモがあり、ヘイトスピーチ反対を訴えている。このようなヘイトスピーチ、レイシズムに反対する市民サイドの動きが今後さらに大きくなっていくことを期待したい。(2013.09.27)

大阪・御堂筋で「反レイシズム」。仲良くしようぜパレードが行われる

約600人が参加
 在特会などのグループが街頭で人種差別や脅迫言動を繰り替えしていることが社会問題化する中、「反レイシズム」を掲げる市民パレードが7月14日、大阪のメインストリートの御堂筋で行われた。主催者が予想していたよりも大きく越える参加者が集まり、活気あふれるパレードとなった。
 パレードは、大阪中之島公園から難波までを約1時間半にわたって歩き、リズミカルなシュプレヒコールやサウンドパレード、多様性を表現する虹色の旗や鉢巻が沿道を盛り上げた。
 御堂筋では毎月のようにヘイトスピーチが繰り返されているが、そうした言動を容認しないとの姿勢を示そうと、市民たちが主体的に集まり、企画した。
 主催者の一人は、「在特会などの言動を聞き、ひどいと思う人々は多い。それを心の中でつぶやくだけでなく、表現し社会と問題意識を共有したかった」と語った。
 この日も、日章旗などを掲げたグループが沿道に立っていたが、少人数で、警察の警備も万全であったことから衝突などは起こらなかった。
 日本国内において人種差別問題が深刻化している事実を受け、今後ますます日本政府の対応に注目が集まる。(2013.07.17)

ETV特集で、在日コリアンがテーマとして取り上げられます

 ETV特集で取り組まれる「戦後史証言プロジェクト」で、7月27日(土)午後11時~12時半で、在日コリアンをテーマとした『猪飼野~在日コリアンの軌跡』が放送されます。この特集には、当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長も取材に加わっています。
 ぜひご覧ください。(2013.07.14)

 (ETV特集の公式サイトから)
2015年、日本は戦後70年を迎える。「戦後日本」は、今大きな試練の中にある。
震災・原発事故からの復興、低迷が続く経済、領土問題などで混迷する外交…。
私たちは、戦後何をめざしてきたのだろうか―。

政財界から一般市民まで、新たな証言を記録し、廃墟から立ち上がった日本人の姿を描く大型プロジェクト「戦後史証言プロジェクト」が7月にスタート。
Eテレの大型シリーズ「日本人は何をめざしてきたのか」を3年にわたって放送するほか、取材で得た貴重な証言を「戦後史証言アーカイブス」としてウェブでも公開、未来への遺産としていく。
http://www.nhk.or.jp/postwar/schedule/schedule.html

新たな在留管理制度スタートから1年 非正規滞在者が置かれている現状は?

小井土先生による報告
 昨年7月9日に改定入管法が全面施行され、在日外国人の在留管理制度が大きく変わった。そのなかでも、在留資格を持たない非正規滞在者は、新たに導入された「在留カード」は交付されず、また外国人も入ることになった住民基本台帳にも登録されないため、公的には全く見えない存在にさせられた。そのため支援団体などは、医療・教育等で保障されてきた最低限の行政サービスも受けられなくなることを強く懸念してきたが、実際に在留資格のない子どもが自治体から就学拒否をされるケースなどが相次いでいる。
 改定入管法施行から約1年となる7月6日、外国人人権法連絡会、移住連等の共催で「非正規滞在者:“Undocumented”を考える」と題する研究集会が、新宿NPO協働推進センターで開かれた。国士舘大学准教授鈴木江理子さんは、新たな在留管理制度が非正規滞在者は徹底的に排除した上で、「好ましくない」正規滞在者も恣意的に排除される構図について説明がなされた。「政府は今回の新制度を「不法滞在者」等を生まないためとしているが、実際に進行しつつあるのは、非正規滞在者をつくり出す社会の構築ではないか」という指摘がなされた。
 弁護士の難波満さんからは、入国管理機関と捜査機関の連携が強化され、入国管理関係の刑罰化が拡大していることについて説明がなされた。ここでも、非正規滞在者だけでなく、在留資格を持つ「偽装滞在者」の摘発が強まっている傾向について指摘された。
 最後に一橋大学の小井土彰宏教授から、米国における移民政策について、近年の移民規制強化とそれに対抗する社会運動、また2013年6月に上院を通過した移民法改正案など、映像を交えた豊富なコンテンツを用いながら、興味深い詳細な報告がなされた。全体ディスカッションの時間では、この米国の移民政策に対する質問が相次いだ。(2013.07.14)

差別言動を向けられてきた被害者らが、ヘイトスピーチを強く批判

先の記者会見を含めて約100名が参加
 今年2月9、10日に東京・新宿区で開かれた排外主義デモをきっかけに、ヘイトスピーチ(人種憎悪発言)が注目され始め、同じ新宿区で開かれた5月19日、6月16日のデモでは逮捕者が出るまでに至った。そこまで激化するヘイト・スピーチを止めるためには、何よりも攻撃の矛先を向けられた被害者の存在を尊重することが大切であり、人種差別を規制する責任を持つ国会議員にまずその存在をしっかり伝えようという趣旨から、84の民間団体で構成する“人種差別撤廃NGOネットワーク”主催による院内集会が6月20日、参議院議員会館で開催された。それまで国会議員による集会は2回開かれているが、市民団体によるヘイトスピーチに対する院内集会は今回が初めて。
 被差別部落出身者ということで連続大量差別葉書事件の被害者となった浦本誉至史さん、この間のヘイトスピーチが主ターゲットとしている在日韓国・朝鮮人の被害者として研究者の鄭暎惠さん、朝鮮学校の保護者から、昔から今に至るまで続いてきた被差別の苦しい経験と、それに対する憤りや絶望の思いが切々と語られた。
 人種差別撤廃NGOネットワークでは、5月下旬から6月中旬にかけて、全国会議員を対象にした緊急アンケートを実施しており、その報告も行なわれた。衆参合わせて全717議員中、回答を寄せたのは46名(6.4%)のみと、関心が非常に低い現実が露呈した。ただ、回答のほとんどが国会による対策の樹立が必要と回答し、また国会で差別に対する何らかの法規制について議論、検討をする必要があるかという質問には、全員が「はい」と回答している。
 院内集会前に開いた記者会見には20人近くの記者が集まり、マスコミ側の関心の高さが伺われた。また院内集会には、この間ヘイトスピーチの問題に精力に取り組んでいる有田芳生・参院議員ら5名の国会議員が出席した。
 またこの集会で、主催団体名による「ヘイト・スピーチ対策に関する国会に対する提言」を発表している。(2013.06.22)

移住者問題について話し合う全国フォーラムが神戸で開催

初日のシンポには約500名が参加
 移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)が2年に1回開いている全国フォーラムが、6月15~16日の2日間にわたり、神戸市にある甲南大学・岡本キャンパスで開催された。昨年、在阪の様々な団体によって実行委員会が結成され、神戸学生青年センターを中心を担った。当センターも同実行委員会に加わっている。
 初日のシンポジウム「私たちがつくる多民族・多文化社会」では、東日本大震災と外国人支援、改定入管法の現状、韓国における移民政策という3つの報告がなされた。韓国における移民政策については、韓国から、「外国人・移住労働者運動協議会」のソク・ウォンジョンさん、韓国移住女性人権センターのハン・グクヨムさんのお二人が来日・参加され、2007年以降の移住民政策について詳細な報告がなされた。
 その後に、14の分科会に分かれて討議を行なった。分科会「排外主義の広がりにどう対処するか」は、この間激化するヘイトスピーチ(憎悪発言)の行動に対する危機意識から急遽追加となったもので、とくに東京・新宿区と、大阪・生野区で繰り広げられている排外主義の動きに対する報告や、諸外国における人種差別禁止法などについて報告が行なわれ、その論議結果を基に分科会メンバーが作成したアピール文が、翌日の全体会で発表された。
 2日目のシンポジウムでは、「日本で暮らす多民族・多文化のルーツを持つ10人の声」と題するリレートークが行なわれ、様々な国・地域に出自を持つ人たちが思いを語った。金光敏・当センター事務局長も、現在の排外主義の強まりに対する警鐘、多文化教育の必要性を訴えた。(2013.06.22)

外国籍住民比率が全国トップの群馬県・大泉町で、フィールドワーク

日伯学園校舎に飾られていた絵
 自治体議員、研究者、市民活動従事者らで構成する「多文化共生・自治体政策研究会」主催で、外国人、とくに日系南米人が多く住む群馬県・大泉町の各所を廻るフィールドワークが去る5月27日に実施され、12名が参加した。
 1990年の入管法改定後、町は労働力として日系人を積極的に誘致した経緯があり、現在全人口の約15%が外国籍住民で、その比率は全国一位となっている。
 今回は外国人急増後20年を経た後の自治体政策の進捗状況や当事者の意識・生活の変化を聞くことを目的に、大泉町役場と、ブラジル学校の日伯学園を訪問し、関係者から話を聞いた。大泉町役場で多文化共生政策を担当する国際協働課から、同町における外国人人口の現状と推移とともに、「多文化共生コミュニティセンター」の設置や「文化の通訳」登録事業など、町が行なっている諸施策についてレクチャーを受けた。校長のまた日伯学園では、リーマンショック後の不景気でブラジル学校の学生数が減少し経営がいっそう難しくなっていること、「無認可校」扱いのため子どもたちの健康診断への補助も受けられないといった厳しい状況の一方で、卒業した学生が4年生大学を卒業して安定した職に就くケースも徐々に現れ、学校にとって希望となっていることについても語られた。
 またパンや牛肉、その他外国産の食材が豊富に揃った食品スーパー、ブラジリアンレストランにも立ち寄り、食の面での多文化化が定着している様子を確認することができた。(2013.06.01)

日弁連が人種差別扇動活動に対する批判声明を発表

 日本弁護士連合会が5月24日、昨今社会問題化する在日コリアンなどを標的としたヘイトスピーチについて反対する声明を発表した。
 全文は、以下の日弁連のウェブサイトに掲載されている。(2013.05.27)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130524_4.html

国連社会権規約委員会が日本政府の対応を不十分と指摘

 国際人権規約社会権規約委員会が4月30日に行った日本政府報告書に対する審査結果を発表した。
 社会権規約委員会とは国連に設けられた条約履行監視委員会で、概ね5年に1回批准国からの報告を受け、条約の趣旨が生かされ、違反行為がないかを評価する。
 5月17日に発表された委員会の最終所見は全部で36項目にわたり、履行状況の評価点と改善点が言及されている。そので現在注目を集める日本軍「慰安婦」問題についての見解が示され、委員会は「「慰安婦」が受けてきた搾取により、彼女たちによる経済的、社会的および文化的権利の享受ならびに彼女たちの賠償請求権に対する悪影響が永続していることを懸念する。」とした上で、「搾取の永続的影響に対応し、かつ「慰安婦」による経済的、社会的および文化的権利の享受を保障するため、締約国があらゆる必要な措置をとるよう」勧告した。また、「「慰安婦」にスティグマを付与するヘイトスピーチその他の示威行動を防止するため、締約国が「慰安婦」の搾取について公衆を教育するよう」求めている。(2013.05.26)

2013年は外国人にとって、どういう年になるのか~東京でシンポジウムが開催

韓国YMCAの2.8国際記念ホールにて
 2012年は「新しい在留管理制度」がスタートし、在日外国人に関わる法制度が抜本的に大きく変わった年となった。またその年末には再び政権交代がなされたが、前の民主党政権時に法案提出された国内人権機関、あるいは継続する朝鮮高校の無償化除外など、積み残しになっている人権課題が多くあり、新政権の下での動向が非常に注視されている。さらに2013年から2014年にかけて、国連の社会権規約委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会による日本の人権状況の本審査が行なわれる予定である。
 そこで、在日外国人にとって2013年はどういう年であるのかを総論的に取り扱い、情報共有と意見交換を活発に行なうことを目的に、シンポジウム“2013外国人の人権はいま”(主催:外国人人権法連絡会)が、東京・千代田区の在日本韓国YMCAで開催された。主催側の予想を超える約120名が集まり、会場は熱気に溢れていた。
 主催の上記連絡会は、毎年「日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書」を発行しているが、2013年度版が前日に完成し、この日の資料として参加者に配布された。その2013年度版白書を構成する9つの章が扱う主題について各々発言がなされえた。第1章の改定入管法問題については、自由人権協会の旗手明さんが昨年7月施行以降に続々起きている問題について解説され、さらに新たに導入された「みなし再入国許可」により永住資格を失ったミャンマー国籍の女性が本人の希望でこの日登壇され、自らの体験について切々と語った。そのほか、第2章「東日本大震災から2年-外国人被災者は」について、外国人被災者支援センターの佐藤信行さんから、被災地に生活する外国人、とくに女性たちが置かれている厳しい現実について報告がなされた。
 そのほか移住労働者の現況や、非正規滞在者に対する扱い、子どもの教育権、アジアに対する戦争責任、この間深刻化するゼノフォビア・ヘイトクライムや、国内人権機関などについて、それぞれ専門的立場からの発言が行なわれた。当センターの金朋央・東京事務局長も、第6章「国籍差別の撤廃を、権利としての国籍を」について発言し、定住外国人の地方参政権問題がこの間全く話題とされていないこと等を指摘した。また会場からの発言では、最近留学生に対する警察の職務質問が過度に行なわれているという指摘などがあった。
 「日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書2013」(頒価1000円)に関しては、当センターのウェブ(資料コーナー>書籍・出版物のページ)でも紹介している。(2013.04.24)

それぞれの「3月11日」を見つめなおす~「OKUBOの寄り合い2013春」が開かれる

第2部の座談会
 新宿区大久保・百人町地域を中心に、地域から多文化共生のまちづくりを目指す活動を行なう「共住懇」と、多様な人たちの相互理解を深めるために連続講座を開催してきた「多文化学校」が共催で、去る4月6日、大久保通りに面する日本福音ルーテル東京教会で、「OKUBOの寄り合い2013春」が開催された。今回のテーマは、「それぞれの『3月11日』を見つめなおす~子ども・学校・地域~」。
 第一部は、ドキュメンタリー映画「3月11日を生きて ~石巻・門脇小・人びと・ことば~」が上映された。これは、「多文化学校」校長の青池憲司さんが石巻に約1年間滞在し、制作したもの。石巻市立門脇小学校の児童、教職員、保護者らが当時の体験を切々と語る、そうした姿が何の装飾もなく繋げられているからこそ、多くのことを伝え感じさせる作品だ。上映後の挨拶で青池監督は、「最近久々に石巻を訪れて再会した人々と話をしていると、この2年間の不安は形の見える不安だったが、今は形に見えない不安でいっぱいだと一様に話していた。これがまさに被災地の現状を表しているのではないか」と語った。
 第二部は、新宿に居住、あるいは活動する5名のスピーカーによる座談会が行なわれた。2011年3月11日のときの体験から話が始まり、あらためてこの地域にとって必要な“防災”は何かについて、さまざまな角度からの発言が投げかけられた。そのなかでもとくに、地域に住む人々の間に日頃顔を合わせて安心できる関係ができていることの重要性が強調された。
 この「寄り合い」に関する報告は、共住懇が発行する多文化コミュニケーション情報誌「OKUBO」で紹介される予定だ。(2013.04.24)

映像を通じて多文化共生を表現する――新宿区で多文化共生フェスタが開催

ブラインドサッカーを体験する小学生ら
 昨年に引き続き、新宿区多文化共生連絡会と新宿区が主催するイベント『多文化共生フェスタ2013』が、3月30日午前10時より大久保公園で開催された。中山弘子・新宿区長も会場に来られ、来場者と言葉を交わす時間があった。
 昨年はK-POPを中心としたライブステージがメインだったが、今年は新宿区で活動する多文化共生関連団体のありのままの姿をもっと多くの人に知ってもらおうというコンセプトで企画された。韓人会やネパール新聞など、新宿区多文化共生連絡会に参加する5団体を紹介するPRビデオを主催側自ら制作し、地元の大久保通商店街や大久保小学校から提供された貴重な映像作品と合わせて、上映会を行なった。
 また公園内には、ブラインドサッカー協会による体験コーナーや、韓国・ミャンマー(ビルマ)・ネパールの飲食が並ぶ軽食コーナー、エントリー制で自己PRや物販ができる「多文化見本市」が設置された。当センターも見本市に出展し、立ち寄る人たちに活動紹介を行なった。さらに、新宿区が保有する地震体験車も出動。家族連れなど公園を訪れる人たちが震度6強の揺れを体験し、地震への備えの必要性を感じ取っていた。
 当日は前日とはうってかわって急に冷え込み、若干雨もちらつくあいにくの天候の影響もあり、客足はそれほど多くなかったのが残念だったが、外国人コミュニティや町会・商店街、NPOや区関連団体など、多様な主体が自主的に運営に参画・協力する形で、手づくり感のあるイベントとなった。こういうイベントが開けるのは、新宿区が日常的に取り組んでいる多文化共生のネットワーキングの成果によるものといえるだろう。(2013.04.02)

人種差別撤廃Dayに合わせ、あらゆる差別を禁止する市民集会が開催される

 国連が定めた人種差別撤廃Dayに合わせて、「レイシズム、あかん」集会が3月23日、大阪市内で開かれた。日本をはじめ国連加盟の170カ国以上が批准している「人種差別撤廃条約」の趣旨を国内の人権状況の改善に役立て、草の根の反差別運動と、国際的な人権行動との接点を模索する集会が行われた。
 集会では、ヨーロッパに暮らす被差別集団であるロマが、自らのルーツをたどってインドを訪ねて行く旅を追ってドキュメンタリー映画「ジプシースピリット・ハリシュトイカーの旅」が上映されたほか、反差別運動に取り組む団体からのアピールが行われた。
 国連人種差別撤廃委員会における日本政府報告書の審査が来年2月に予定されており、それに向けたNGO側からのカウンターレポートづくりが進められている。日本は1995年に批准したが、条約に規定された差別禁止の法政や独立した権限を持つ人権救済機関の発足が手付かずの常態だ。
 一方、差別発言が「表現の自由」を口実に堂々と語られている風潮があり、欧米社会ではありえBないことだと指摘されている。差別を刑事処罰を規定する国もあるなど、国際人権諸条約に趣旨に基づき、日本国内の人権政策全般の充実化が求められている。
 今年7月にも同様の集会が予定されている。(2013.03.23)

いまある日本のさまざまな人種・民族差別について、当事者らが報告

 2013年1月に、人種差別撤廃条約に基づいた日本政府の第7~9回政府報告が発表されているが、その内容は、前回08年8月に行なった第3~6回政府報告書とほぼ同様の内容で、人種差別撤廃委員会(CERD)からの勧告が反映されていない。日本の中で実際に起きている人種差別状況をきちんとCERDの審査委員らに情報提供しイシュー化させていくことが、NGOの役割としてますます強く求められている。
 そこで、在日コリアン、被差別部落、アイヌ、琉球、移住者などに対する差別の現況を当事者や、現場に関わる人たちが報告し、また法制度面での課題についても論議する集会(主催:人種差別撤廃NGOネットワーク、反差別国際運動日本委員会)が、3月21日、中央区で開催された。
 金朋央・当センター東京事務局が、この間新宿区大久保で続いている「韓国」「在日朝鮮人」に対するヘイトスピーチをめぐる状況について報告した。在日コリアンに関しては、高校無償化除外をはじめとする朝鮮学校に対する差別、在日無年金者が放置され続けている問題が報告された。またアイヌ民族差別に関して、北海道アイヌ協会副理事長の阿部ユポさんが北海道から参加され、「北海道アイヌ生活実態調査」において通常では考えられない数字の記載ミスがおき、それがしばらく放置されていたという問題について報告された。最後に主催者から、CERD審査に向けた今度の取組みの計画が提起され、幅広い参加が呼びかけられた。
 大阪では2日後の23日に、同様の集会が開催された(報告はコチラ)。(2013.03.23)

在日韓国人を理由に婚約破棄した宝塚市議の辞職勧告決議案、賛成多数で可決

 祖父が在日韓国人であるという理由から一方的に婚約が破棄されたとして大阪に暮らす女性が大阪地裁に損害賠償請求を求めていた件に関わり、婚約を破棄した佐藤基裕・宝塚市議を、議員の資質を欠くとして宝塚市議会に提出された辞職勧告決議案が3月19日の本会議で可決された。
 市議会に対する市民からの「人権感覚とモラル欠如の議員に対し厳正な対応を求める請願」を受け、基本的人権の尊重を誰も犯すことのできない永久の権利だとし、宝塚市が取り組む「人権尊重都市俊宣言」にも反するとしている。また、「一方的な思いこみで国籍や出自を理由として結婚前提の交際を解消しており、不当な人権侵害にあたる」とも指摘、解消の過程でも人格を踏みにじった態度で女性に精神的苦痛を与えたなどとしている。
 これに対して佐藤市議は「人権侵害にあたる言動はとった覚えがなく、公の議論をすべき議会で個人と個人の関係を正式に決をとったことを遺憾に思う」とマスコミの取材に応じている。
 決議に法的拘束力はないものの、議員の立場にある人が民族差別を犯したことは重大で、そのことを放置してはならないと請願した市民、今決議に賛成を投じた議員たちの姿勢は率直に評価したい。差別言動に対する社会的制御がきかなくなりつつある社会風潮の中で、許してはならないとの毅然たる態度で臨むべきだとするメッセージとして受け止めたい。ただ、今回の事件により決議が可決したとして人権侵害を受けた被害者のダメージは消え去ることはない。もっとも押しのけられやすい立場にいる人々にこそ寄り添うまなざしが今、日本社会に最も求められている。(2013.03.21)

過激化する人種差別表現に対する抗議の声が国会からも挙がる

会場は満席、立見の参加者も
 今年に入って、東京・新宿区大久保、大阪市生野区鶴橋でヘイトスピーチ集会・デモが繰り返され、そこで叫ばれる主張が「韓国人を殺せ」など、いっそう過激化している状況に対して、有田芳生参議院議員(民主党)ら11名の国会議員が呼びかけ人となって、「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会」が3月14日、参議院議員会館で開かれた。250名以上の参加者が集まり、この問題によせられる関心の高さが伺えた。
 著書「ネットと愛国」で在特会に集う人たちを深く取材したジャーナリストの安田浩一さんは、いま起きている現象はレイシズムそのもので看過できないと強く訴えた。また、2009年に襲撃事件が起きた京都朝鮮第一初級学校に子どもを通わせていた保護者でもある金尚均・龍谷大学教授は、「私が30年前に朝鮮人だとバカにされた差別の言葉が、21世紀になって自分の子どもに投げかけられているのを見て、愕然とした」とその時の心情を語った。また、右翼団体「一水会」の鈴木邦雄最高顧問と木村光浩代表、映画監督の森達也さんらも発言があり、いま起きている人種差別の動きに対する批判が投げかけられた。
 最後に「私たちはあらゆる排外主義と人種侮蔑行為に抗議する」と題する集会宣言が読み上げられ、有田議員は、「今日一回で終わらせるつもりは全くない。引き続き行動していくを約束する」と語った。(2013.03.18)

移住労働者によるアクション“マーチ・イン・マーチ2013”が開催される

パレードの先頭部隊
 日本で働く移住労働者がはじめて、その労働条件の向上と権利獲得を訴える春闘を闘ったのが1993年。それ以来、毎年3月に移住労働者たちがその時々において取り組む課題を掲げ、移住労働者から見た日本社会の現状を訴えてきた。そうした趣旨の“マーチ・イン・マーチ2013”が3月3日、日比谷公園・小音楽堂で開催され、移住労働者を中心に約200名が集まった。
 主催のマーチインマーチ2013実行委員会を構成する神奈川シティユニオン、全国一般労働組合東京南部、全統一労働組合、APFS労働組合の移住労働者組合員たちから、スピーチや歌、ダンスが相次いだ。また韓国からのゲストも参加し、予定にはなかったノレ(歌)も披露した。
 その後、サンバ隊率いるパレード(デモ)を行ない、銀座の大通りを通過しながら、移住労働者の労働権保障や差別禁止などを訴えた。(2013.03.05)

ふれ愛パンジー音楽祭2013開催される

“Cho-kai ban℃”
町内会の音楽好きが集まり結成
 大阪市東成区役所の1階に設けられたふれ愛パンジー(ひがしなり市民協働ステーション)を会場に『ふれ愛パンジー音楽祭2013』が2月17日開催された。区内在住、そして在職のアマチュア音楽家たちを招いた音楽イベントで、音楽で地域を元気に、とのスローガンが掲げられている。
 この日出演したグループは8組で、オリジナル曲やカバー曲、ポップにロック、クラシックなど盛りだくさん。観覧にかけつけた人々も手拍子などでともに参加した。最後には、出演者全員で「花」を合唱した。ふれ愛パンジー運営委員会には金光敏事務局長が加わっている。(2013.02.22)

ヘイトスピーチ対応、人種差別撤廃条約の政府報告書に関してNGOが外務省に申し入れ

 反差別国際運動(IMADR)をはじめ人種差別撤廃NGOネットワークに所属する諸団体が12月21日午前に外務省を訪れ、11月21日東京で、24日大阪で開かれたヘイトスピーチ(憎悪発言)に対する集会で討議され、まとめられたアピール文を伝達した。
 対応されたのは人権人道課。アピール文に掲げた日本政府に求める行動について説明し、実施を要請した。そして、人種差別撤廃委員会(CERD)への日本政府報告書が、期限の来年1月14日までに提出されるのかどうか、過去2回の日本報告書審査において勧告として指摘されているマイノリティ・コミュニティなど国内の人種差別の実態調査の実施状況などについて質問したが、明確な回答はなかった。また、この間判決が出ているヘイトスピーチにかかる裁判事例についても十分に把握されていない様子で、次回報告書に確実に盛り込むよう求めた。
 NGO側の行動として来年3月に東京と大阪で、提出予定のCERD日本政府政府報告書をテーマにした集会を開催する予定である。(2012.12.21)

大久保の街、アジアの縁台から「多文化」を見つめなおす

ナーグシク・ヨシミツさんの弾き語り
 外国籍住民が10%を超える新宿区において、「韓流の街」と言われる大久保、百人町(ひゃくにんちょう)はとくに外国人が集住し、また日本のみならず海外からの観光客も大勢訪れている地域だ。この多文化が交差する“OKUBO”で長年活動している「共住懇」と「多文化学校」の共同企画で、「OKUBOの寄り合い2012」と題するトークライブが大久保通りに面する日本福音ルーテル東京協会で開催された。
 第1部「映画とトークセッション」では、東日本大震災後に石巻に入り、1年以上かけて現場を撮り続けた青池憲司監督の記録映画『外国人の立場から東日本大震災をふりかえるin石巻』が上映され、続いて青池監督自身が進行役となり、移住労働者を支援する労働組合活動家や中国出身の被災者をパネリストとするトークがくりひろげられた
 第2部のトークセッションでは共住懇代表の山本重幸さんの進行で、新宿区で活動するNPOや教会関係者が「地域の居場所づくり」をテーマに意見を交わした。既に行なわれている多様な活動実践について報告がなされるとともに、誰もが居場所があるという目標の実現のためにはまだ多くの課題が山積していることも示唆された。第3部は「寿 kotobuki」のユニットで知られるのナーグシク・ヨシミツさんのソロライブがあり、琉球音楽の魅力とメッセージ性あふれる歌詞で会場参加者を惹きつけていた。
 この日に会場で配布された共住懇の情報誌「OKUBO」の最新号no.9には、先日行なわれた当センターのインタビュー記事が掲載されている。(2012.12.12)

外国籍者の権利と「国民」概念を考えるシンポジウムが開催

浦辺法穂・名誉教授がビデオ出演
 「外国籍者の公務就任権を中心とした民族的少数者の人権 -「国民」概念の再構築-」と題するシンポジウム(主催:東京弁護士会・憲法問題対策センター)が11月28日に弁護士会館で開かれた。  第1部の基調講演では、政治・社会思想史が専門で『変貌する民主主義』(ちくま新書、2008年)などの著書を持つ森政稔・東京大学教授が、国民主権と民主主義との関係の変遷と、その中で「外国人」がどのように取り扱われてきたかなどについて語られた。
 第2部では、東京都の保健師で管理職採用試験拒否訴訟原告であった鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さんと、在日コリアン弁護士協会(LAZAK)前会長の殷勇基(ウン・ヨンギ)さんがパネリストとして発言した。鄭香均さんからは、1948年兼子回答から始まって、ご自身の訴訟の2005年最高裁判決でも見られるように、日本が戦後一貫として「国民」を盾に外国人の人権を認めず、今も続いていることの問題性が指摘された。殷勇基さんは、国籍には国家の構成員資格という機能的な側面にとどまらず、国民統合としての機能作用などシンボリックなものがついてまわっている中で、在日コリアンにとっての国籍が単純なものではないことなど指摘した。
 また憲法学者で有名な浦部法穂・神戸大学名誉教授がビデオ出演し、日本では国民主権原理が先に立てられ、その後に国籍法で国民の範囲が決められたが、その際本来は主権を持つべき人に国籍を付与するように国籍法が定められるべきだった点を指摘し、「国民主権イコール日本国籍者が主権者で外国人は排除されて然るべき」という考えに対して明解な批判が述べられた。(2012.12.01)

深刻化するヘイトスピーチにどう向き合うか、大阪で集会を開催

 今年8月28日、人種差別撤廃委員会(CERD)は人種主義的なヘイトスピーチ(憎悪発言)に関するテーマ別討論を開催した。このヘイトスピーチの問題は世界各地で起きており、国際的にも重大な問題として認識されてきている。日本でも少数者に対するヘイトスピーチは深刻さを増してきているが、そういった発言を明確に規定し、規制・禁止する法律は制定されていない。
 そうした現実をふまえ、国際的な議論や各国におけるヘイトスピーチの対策について学ぶことを目的に、11月24日エルおおさかで「日本におけるヘイトスピーチ 私たちはどう立ち向かうか」と題する集会(主催:人種差別撤廃NGOネットワーク、反差別国際運動(IMADR))が開催され、約40人が集まった。
 IMADRジュネーブ事務所の白根大輔さんより、上記のCERDテーマ別討論を含め国連の関連人権機関で行なわれている討議について報告がなされた。ヘイトスピーチを規制する場合に最もイシュー化する表現の自由との関係については、ヘイトスピーチ規制と表現の自由の保障は両立するものだという点は共通認識となっているが、具体的な線引きについて課題はまだ大きく残っているとのことだ。続いて、外国人人権法連絡会の師岡康子さんからは、イギリスなど諸外国のヘイトスピーチ規制事例、日本における諸課題について報告があった。また、奈良の水平社博物館前の差別街宣や京都朝鮮第一初級学校への差別言動、この間の公人によるヘイトスピーチなど、実際に生じている事件に関しての報告も行なわれた。質疑応答でも、在日朝鮮人が集住する京都の宇治市ウトロでこの間ヘイトスピーチ行動が繰り返し行なわれていることや、有名人によるツィッターを通じた差別発言の問題など様々な事例も報告された。
 当センターから金朋央・東京事務局長が出席し、この集会の進行役の一人を務めた。東京でも20日に集会が開催されており、主催者側では今回の集会を通じて集まった意見を基にアピール文を作成し、日本政府や国連に対する要請項目をまとめる予定だ。(2012.11.28)

多様な人々が集い触れ合う、第20回東九条マダンが開催

シルム(朝鮮相撲)の準決勝

合同会社ハンギルも出店
 韓国・朝鮮人、日本人をはじめあらゆる民族の人々が共に主体的にまつりに参加し、自己会報と真の交流の場をつくることなどを目的とした『東九条マダン』(主催:同実行委員会、後援:京都市・京都市教育委員会)が11月3日、京都駅近くの元・陶化小学校の校庭で開催された。秋晴れの下、5000人を超える人々がおまつりを楽しんだ。今回で20回目を迎えた。
 パレード隊の入場によって、マダンがスタート。中央のステージでは、京都国際学園(旧・京都韓国学園)や京都朝鮮初級学校、地元の凌風学園の生徒たちによる演奏や舞踊、マダン劇、和太鼓とサムルノリ(朝鮮打楽器アンサンブル)のコラボなど多彩な演目が目白押しで、最後は在日コリアンでレゲエの実力派女性シンガーPHUSHIMのライブで締めくくられた。
 またステージを取り囲んで、いろんな料理・食材の屋台や、車いす試乗や夜間中学校の作文紹介などの体験・展示コーナーが設けられ、一通り見て廻るだけでもかなりの時間を要するほど。この日出店した韓国伝統料理研究家の羅順子さんは、「おこづかいの500円玉1枚握り締めた子どもが、2つ3つのお店で何か買うことができて楽しめるように屋台の値段設定がされるようになった。そういう優しさが、このマダンの好きなところ」と語った。
 当センターの物販部門を担当する合同会社ハンギルが今年も出店した。来た子どもたちは、見た目も楽しい韓国製の文具・雑貨などに興味を示していた。(2012.11.07)

浜松で、日本・韓国・欧州の多文化自治体の首長・実務者らによるサミットが開催

首長サミット・セッション1で発言する
アレスレッブ・コペンハーゲン市長(左)
 外国人が多く住む自治体が独自に外国人施策を進める日本、2000年代中盤より中央政府が率先して移民・統合政策をとってきた韓国、長い移民の歴史を持ち多文化主義など政策論争と実践を多く積み重ねてきた欧州。それぞれ外国人・移民政策において特徴を持つ日韓欧の自治体が集まり、多文化政策について話し合う「日韓欧多文化共生都市サミット2012浜松」(主催:浜松市、国際交流基金、共催:欧州評議会、自治体国際化協会)が、アクトシティ浜松コングレスセンターにて10月25、26日の2日間にわたり開催された。
 今年1月に東京で、国際交流基金・欧州評議会主催による「多文化共生都市国際シンポジウム」が開催され、同様に日本・韓国・欧州の多文化自治体が集まったが、今回はその後続として浜松市が主導して開催したもの。日本からは浜松市のほか、東京・新宿区と大田区、東大阪市、美濃加茂市が参加し、韓国からも京畿道光明(クァンミョン)市、光州広域市光山(クァンサン)区、ソウル市九老(クロ)区、忠清南道天安(チョナン)市と4自治体が参加した。
 25日の国内実務者セミナーでは、「国内多文化共生年の連携促進に向けて」と「NPOや企業等との連携に向けて~外国人人材を生かしたまちづくり~」という2つのセッションが開かれた。前者のセッションでは、浜松市、新宿区、東大阪市の外国人施策担当部署の実務者から、各自治体における外国籍住民の構成や、特徴的な取組みが報告された。浜松市では2011年度より3カ年計画で「外国人の子どもの不就学ゼロ作戦事業」が進められており、その中間報告もなされた。討論を通じて、東大阪市などオールドカマーの在日コリアンが多く住む関西では担当が人権に関連する部署が担う自治体が多いのに対して、80年代以降に外国人住民が増加することとなった関東では国際関連の部署が担うといった違いが指摘されるなど、それぞれ特徴ある自治体を比較することにより興味深い意見交換がなされていた。モデレーターの山脇啓造・明治大学教授は、「リーマンショック以降、多文化共生ではなくて、日本人を優先すべきだという考えが広がっている。それに対して、多文化共生が持つポジティブな面をアピールしていくべきだ」と語りセッションを締め括った。
 翌日の首長サミットでは、各自治体の首長・副首長から、地域の名産や伝統のPRとともに、外国人住民の現況や自治体施策について報告がなされた。韓国の自治体からは、多文化家庭支援センターなど多文化家族の支援施策についての報告が多かった。光明市では、3年以上韓国に居住するが母国を訪問できていない家庭に対して航空運賃を支援する「多文化家族実家訪問事業」を行ない、今年8~10月で中国、フィリピンの計4家族が利用したとのことだ。
 欧州からはデンマーク・コペンハーゲン市、オランダ・ロッテルダム市、アイルランド・ダブリン市が参加した。欧州評議会では2008年にインターカルチュラル・シティ・プログラム(ICC)が立ち上がり、20箇所以上の都市がその趣旨に賛同し参加しているという。このICCのプロジェクト・マネージャも本サミットに参加し、ディスカッションのモデレーターを担っていた。会の最後に「浜松宣言」が朗読・採択された。
 韓国でも多文化政策に関わる初の自治体間ネットワークとして、来る11月7日に「全国多文化都市協議会」が発足する予定だ。(2012.10.28)

中学生が大久保・百人町を歩いて「多文化マップづくり」を体験

チームごとに調査結果を発表
 昨年に引き続き、練馬区立開進第二中学校の中学2年生9名が9月13日に新宿区大久保で多文化体験学習を行ない、当センター東京事務所がコーディネートを担当した。
 今年は、大久保通りの大久保1・2丁目側(チームA)と、職安通りと通称「イケメン通り」などの小道(チームB)、大久保通り百人町側(チームC)、の3区域に分かれて、どの国・地域のどういうショップ・施設があるかを歩きながら調査する「多文化マップづくり」を行なった。残暑が厳しい中、午前中に1時間半ほどかけて調査を行ない、午後に調査結果をまとめて、拡大印刷した住宅地図に国・地域ごとに色分けしたシールを貼って「多文化マップ」を完成させた。
 チームAが歩いた区域は、調査した75ヵ所中74ヵ所が「韓国・朝鮮」で、うち約半数が食堂・レストランだった。チームBが歩いた区域も、76ヵ所中75ヵ所が「韓国・朝鮮」とほぼ同じ結果になったが、チームCの調査結果は39ヵ所中「韓国・朝鮮」が19ヵ所で、続いて「中国」8ヵ所、「タイ」4ヵ所、「その他アジアの国」が8ヵ所と、大久保と百人町の違いが明確に表れた。最後に模造紙に街の特徴と感想をまとめたときも、チームAが「楽しいコリアタウン」、チームBが「大久保=韓国だね」とタイトルをつけたのに対して、チームCはとくに印象に残った「イスラム教の人でも安心の『HALAL』」(ハラールフード:イスラム教の律法にのっとった食べ物)と表現した。
 開進二中では、2年生全員がこの日いろんなNPOや機関を訪問して、ボランティア活動や体験学習を行なっている。今回実施した体験学習は、来年2月に開催されるボランティアフォーラム2013(主催:東京ボランティア・市民活動センター)において、「中学生の発信力」分科会で、開進二中の学生自ら報告を行なう予定だ。(2012.9.13)

亡くなった移住労働者の労災被害の責任を追及し、二度とこんな悲劇は起こさせない

学芸大学駅前で署名活動
 一人の移住労働者が過酷な労働環境のなか労災に遭ったことを会社が認めず、補償を受けられないまま本人が急死した事件に対して、移住労働者の労働問題に取り組むAPFS(Asian People's Friendship Society)労働組合が9月8日、東急東横線・学芸大学駅前で署名活動を行なった。
 インド出身のショポン・クマル・チョードリーさんは、東京薪市場という会社で薪の配送業務に従事していたが、去る3月に左足踵を骨折するほどの労災事故にあったにも関わらず、会社側はそれを無視し、さらに解雇にまで及んだ。ショポンさんが救済を求めてAPFS労働組合を訪れた時には、左足は一部壊死しすぐに緊急手術を行なうこととなった。会社側は一貫して雇用関係を認めていないが、労働基準監督署が去る8月1日に就労事実を認定したが、その直後の7日にショポンさんの容体が急変し、翌日帰らぬ人となった。
 APFS労働組合は、東京薪市場社長が真正な謝罪を行なうことを求めて、8月31日に渋谷労働基準監督署に同社長を告発している。この惨い事件の存在が正しく周知され「社会的包囲網」をつくることが問題解決を促進することとして、この日東京薪市場本社の最寄駅となる学芸大学駅前に約15名が集まり、チラシ配布と署名活動を行なった。
 あわせてAPFS労働組合ではショボンさんのご遺族を探しており、親戚や知人など少しでも関連する情報があれば寄せていただきたいとのことだ。(2012.9.11)
 *さらなる詳細情報や、情報提供先については、
   APFS労働組合のホームページ http://magon.sanpal.co.jp/apfs-union/ をご参照ください。

新宿区多文化共生まちづくり会議がスタート!

 住民の約1割が外国籍者が占める新宿区において、多文化共生のまちづくりを総合的・効果的に進めるという目的で、区長の附属機関として新たに設置された「新宿区多文化共生まちづくり会議」の第1回目の会議が9月7日、新宿区庁舎にて開催された。この会議は、現在の中山弘子・新宿区長がマニフェストに「外国人と日本人の相互理解を促進し、区政参加を進めるため『(仮称)新宿多文化共生推進会議』を設置」するとしたことがきっかけで、今年6月に同会議条例が区議会を通過した。この種の会議が条例で設置されるケースは他に川崎市、浜松市に見られる程度で数少ない。
 中山区長は冒頭の挨拶で、「新宿区として、外国人が多く生活していることをプラスメッセージとして積極的に発信できるように、多文化共生に取り組んでいきたい。そのためには様々な課題を解決する必要がある。この会議には時間が許す限り毎回出席して、直接委員たちの意見を伺いたい」と語った。その後、会長・副会長の選出があり、会長には毛受敏浩・(財)日本国際交流センター・チーフプログラムオフィサーが就任した。副会長に就任した李承珉在日本韓国人連合会理事長は、「将来は東京都で、さらには日本全体で1割が外国人住民となる時代がやってくる可能性がある。新宿が先行して良いモデルを提示できるように、この会議が大きな役割を担えれば」と語った。
 その後、区長からの諮問で、会議内に「外国にルーツを持つ子どもの教育環境の向上」「災害時における外国人支援の仕組みづくり」という二つの部会が置かれることが確認された。
 メンバーの任期は2年。第1期メンバーは、外国出身15名、日本人16名の計31名。当センターの金朋央・東京事務局長が外国人区民委員の一人として加わっている。(2012.9.7)

外国人が急増する韓国、自治体の多文化政策を視察するスタディツアーを実施

ソウルでは「ソウル市グローバルセンター」を視察
 韓国で外国人が100万人を超えたのが2007年8月。それからわずか5年で146万人(2012年6月時点の人数)を数えるほど、韓国は依然として急速に多民族多文化社会化が進んでいる。法制度面でも、2007年に在韓外国人処遇基本法、翌年に多文化家族支援法が制定され、また永住する外国人の地方参政権も2005年に認めるなど、日本にはない様々な施策が行なわれている。
 そうした韓国の多文化政策は、中央政府のみならず、地方自治体においても多様に取り組まれるようになった。その現況の視察を目的とした「韓国多文化政策スタディツアー」が、 多文化共生・自治体政策研究会の主催で行なわれ、神奈川県、埼玉県下の自治体議員7名や研究者ら計10名が参加した。当センターからは、金朋央・東京事務局長が参加した。8月21日から24日にかけて、ソウル市、京畿道の安山市と富川市の多文化関連施設や団体事務所を訪問した。
 安山市で訪問した「安山市外国人住民センター」では、韓国における外国人(移住者)の全体概況とともに、外国人労働者が非常に多く住む安山市の施策について詳細なレクチャーがなされた。このセンターには、相談室や多文化図書館、歯医者や漢方処方所、子どもたちの学習スペースなど多様な機能を持っており、月に約2万人が利用しているという。
 富川市の多文化家族支援センターでは、多文化家庭(韓国人と外国人が結婚した家庭)の親や子どもへの韓国語教室とは別に、移住者の出身国の言語を子どもたちに教える“二重言語教育”を行なうクラスがあることも紹介された。センター長のイ・ランジュさんは、外国人労働者が置かれている状況にも触れ、「現在韓国で実施されている“雇用許可制”は、労働者側の職業選択の自由がない、非常に問題のある制度だ。労働者一人ひとりの人権が保障される“労働許可制”に変更されるべき」と語った。
 そのほかオプショナルコースとして仁川市を訪れ、駅前で整備されたチャイナタウンや、在米コリアンを中心に韓国から諸外国への移民の歴史を展示する“移民史博物館”なども見学した。(2012.9.4)

あらためて改定入管法による管理強化にNO!市民集会が東京で開催

第一部・改定法の「現在」を検証する
 2012年7月9日に外国人登録法が廃止され、2009年改定入管法が全面施行し、「新たな在留管理制度」がスタートした。報道によると、7月9日に早速、今回新たに導入された「在留カード」の発行でトラブルが発生、来日外国人が空港で長時間待たされる事態になったという。
 外国人当事者や支援団体・NGOらは、2009年に法案が国会に上程される前から、新制度が外国人の管理強化ばかりを志向し、とくに移住女性や非正規滞在者など既に生存が脅かされている外国籍者がいっそう窮地に追い込まれる危険性などを指摘、外国人の人権を守り多民族多文化共生社会を志向する立場から、同制度の問題点をずっと訴え続けてきた。
 しかし政府・関係省庁は、改定法の公布から最終施行日まで3年の準備期間があったにもかかわらず、人権保障やセーフティネットにはほとんど関心を示さず、外国籍当事者への周知すら本腰を入れなかったといわざるを得ない。
 法施行を2日後に控えた7月7日、あらためて今回の改定入管法による管理強化に反対し、日本人と外国人がともに生きる社会を市民自らがつくり出すことを宣言する市民集会(主催:外国人人権法連絡会、移住連、外キ協)が、東京・水道橋の在日本韓国YMCAで開かれた。集まった約150名の中には外国籍当事者も少なくなく、関心(危機感)の高さが窺い知れた。  第一部『改定法の「現在」を検証する』では、今回の新制度が持つ問題点を、総論と各論~ 移住女性、労働者、留学生、特別永住者、難民申請者、非正規滞在者、自治体~からあらためて捉え整理した。
 第二部『ともに生きる私たちは、主張する』では、多様な国籍を持つ外国籍住民から、今回の制度に対する疑問、憤りの声が挙がった。永住資格を持つ外国籍者は、「永住者も住所変更届をちゃんとしないと永住資格が取消しになるのはおかしい。今回の制度では、非正規滞在者の人たちがどうなってしまうのかが一番心配だ。」と語った。
 また、3月に発表した「ともに生きる一万人宣言」に対する賛同署名が前日時点で600名強集まったことが報告された。同宣言の賛同署名は引き続き行なっている。(署名文やオンライン署名は、http://www.repacp.org/aacp/tomoni/に。) (2012.7.11)

7月9日施行の改定入管法、外国人被災者の現況などについて活発に議論

2日目の全体会1「震災と外国籍住民」
 去る6月23・24日の2日間にかけて『第9回移住労働者と連帯する全国ワークショップ』(主催:同実行委員会、実行委員長:横山陽子・新潟ヘルプの会代表、共催:移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連))が、新潟国際情報大学で開かれ、NGO従事者、研究者、自治体職員、メディア関係者、外国籍当事者ら約150名が全国から集まった。
 今回のワークショップでは、7月9日から本格施行される改定入管法が持つ問題性が全体を貫くテーマとなった。開会挨拶後の全体講演会で改定入管法の概要について説明した旗手明さん(自由人権協会)は、「監視はマージナルな人を追い詰めるもの。すなわち今回の法改定は、中長期在留者の管理を徹底的に厳しくすることで、非正規滞在者があぶり出され徹底的に排除が進められる」と語った。その後に10個のテーマに分かれた分科会が開かれた。「入管法・在留管理」の分科会では、自治体に対して要請すべき項目を列挙した要請書案が提案され、また各自治体が行なった仮住民票記載事項通知書の送付状況や、外国人登録がなくなる際の外国籍者の公的証明書類の扱い、法施行後に非正規滞在者の取締りがどう変わるかなど、多様なテーマについて活発な意見が交わされた。
 2日目の全体会では、まず「震災と外国籍住民」というテーマで、東日本大震災の被災地で研究者や教会関係者が共同で、昨年より続けている外国人被災者への聞き取り調査の中間報告があった。また阪神淡路大震災と新潟中越地震の時に外国人被災者に対して行なわれた諸活動の経験についても報告がなされた。続いて「7.9改定入管法施行」のテーマで、前日から引き続き同問題に対する各地からの報告や意見が交わされ、外国籍当事者から切実な質問も投げかけられた。
 移住連では、今回のようなワークショップと、より大きな規模で開かれる「フォーラム」を交互に毎年開催している。来年は神戸でフォーラムを開催することが決まっており、閉会時に、既に立ち上がっている神戸実行委員会のメンバーの紹介も行なわれた。
 当センターからは、郭辰雄(カクチヌン)代表理事が「包括的移民政策」の分科会で韓国における移住者政策について発題し、また金朋央(キムプンアン)東京事務局長が「入管法・在留管理」の分科会の進行役を担った。(2012.06.27)   (2012.6.27)

2011年度の外国人研修生、技能実習生の死亡者が発表される

 日本の生産現場の重要な労働力として活用されながら、労働法規上の権利が十分に守られていない「外国人研修生」「外国人技能実習生」に関わり、その受入れ・斡旋を担う厚生労働省所管の外郭団体が6月20日、外国人研修生・技能実習生の死亡者数を発表した。現在、「研修」「技能実習」などの在留資格で生産現場に従事する外国人は約14万人に達している。近年の経済不況や東日本大震災によって減少傾向にはあるが、国内の重要な「働き手」になっていることはちがいない。
 2011年度に外国人研修生・技能実習生の死亡者数は20名に達し、もっとも多いのが脳・心疾患で6名、作業中の事故が5人、また自殺者が2名いることがわかった。脳・心疾患による死亡には労働現場におけるストレスが原因ではないかとの見方を専門家が指摘する。作業中の事故は危険な場所に外国人研修生や技能実習生が容易に配置されているのではないかと問題点をあげている。
 日本政府は、これら研修生や技能実習生について環境改善に取り組んできたというが、現場では「あまり変化はない」と言いきる。本来の趣旨である「開発途上国への技術移転」とはかけ離れ、極端な低賃金、賃金没収(雇用者が管理する貯金口座に振り込まれる)、賃金不払い、職場や住居からの外出制限、またレイプを含む暴力が日常化しているなどの実態も報告されている。移住者の人権に関するホルへ・ブスタマンテ国連特別報告者が現地調査を経て国連人権理事会で行った報告では、制度の状況を監視し、「研修生」「技能実習生」の権利を擁護するシステムが働いていないとし、奴隷制度または人身売買と考えられる相当深刻な実態も見受けられるとして指摘、日本政府に早急な改善を求める勧告を出した。
 外国人移住者を単なる労働力とだけみなし、生活者や住民としての権利擁護はおざなりにする。研修生、技能実習生のおかれている実態から見えてくる人権侵害の現実は放置できない問題である。 (2012.6.21)

新しい在留管理制度、子どもたちの人権に与える影響は?研修会開催される

講師を務める早崎直美さん
 ヒューライツ大阪(アジア太平洋人権情報センター)が主催する新しい在留管理制度に関する学習会が6月9日、大阪市西区のヒューライツ大阪の事務所で開催された。
 この日、講師を務めたのはRINK事務局長の早崎直美さん。法律施行まで約1ヶ月を控え、外国人の子どもの人権や教育権保障への影響などについて説明した。教員や市民活動家たち約40名が集まった。早崎さんは「在留管理が厳しくなる中で、子どもの人権に対する影響に注意する必要がある」と語り、「もっとも影響があると思われるのは、在留資格のない状態で暮らす外国人の子どもたちの教育権。ただ、文部科学省は在留資格の有無に関わらず、公立学校への就学はこれまでどおり可能だと説明している。」と述べた。
 また、外国人登録証については移行期間と定められた先3年間は有効で、在留カードの発給については必ずしも急ぐ必要はないと説明、外国人家庭が正しく理解するための支援の必要性を強調した。
 新しい在留管理がこれまで以上に厳格化する中、在日外国人の権利擁護法制の確立がさらに求められる。地方自治体の対応に格差があるなどの問題も含め、多文化共生政策についての議論の活発化に期待が高まっている。 (2012.6.18)

国連を国内の人権状況の改善に活用しよう!

白根さん(中央)によるレクチャー
 国連の公式協議資格を持つNGOあるIMADR(反差別国際連帯)のジュネーブ事務所に滞在する白根大介さんを招いたワークショップが5月10日、大阪市阿倍野区の市民学習センターで開催された。
 白根さんがジュネーブから一時帰国するのにあわせて、国連の人権理事会や各種人権条約履行監視機関、そして国連NGOの役割について議論してみようとワークショップが開催された。
 この日は、白根さんが国連ジュネーブ本部で繰り広げられている国連NGOのロビー活動の様子を報告し、どのような提起のし方がもっとも効果的かなどについてプレゼンテーションした。国連の存在があまりに遠いために国連を活用するという発想が湧かないという声が少なくないが、実際には国連による各国への人権状況審査でNGOが果たす役割が大きく、そこからあがってくる現場の情報を重視する各種委員はかなりいる。適切に、そして簡潔にデータ化して委員にレクチャーすれば、国連から日本政府に改善が勧告されることは珍しいことではないと白根さんは語った。
 この日は、外国人の子どもたちの人権課題の改善、外国籍教員の国籍による処遇停滞などについても意見交換がされた。 (2012.5.15)

在日外国人の人権を考える書籍2巻が発刊される

クリックで「資料コーナー」のページに
「30の方法」

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「人権白書2012」
 移住労働者やその家族の人権保障の活動に取り組む移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)が、日本に暮らす多様な国籍、民族的背景を持つ人々の人権保障をテーマに、どのような社会をめざすべきかをまとめた書籍『移住者が暮らしやすい社会に変えていく30の方法』を発刊した。
 この書籍のねらいは、日本はすでに移民受入れ国になっているとの捉えなおしをもとに、地域や課題別に、在日外国人の人権問題や法律的処遇を考える啓発書となっている。
 外国人支援に携わる様々な団体の人々が実際に経験した、具体的な事例などを入り口にして、わかりやすさ、共感などに力点をおいた基礎理解本で、読み物教材などでも使えそうだ。また、大震災での被災や研修生の処遇、非正規滞在者、難民問題、もちろん在日コリアンの課題など、取り上げているテーマは多岐にわたり、全体を総覧すれば、多民族・多文化共生の現状が見えてくる。
 「第2章 日本社会のなかで「移民」はどう変わったか」では、当センター金光敏(キムクァンミン)事務局長も執筆している。定価1400円+税、出版元は合同出版から。
 一方、在日外国人の人権法制に取り組む「外国人人権法連絡会」が毎年まとめている『外国人・民族的マイノリティ人権白書2012』が発刊された。1年単位の人権状況の報告書スタイルとなっており、実際の人権侵害事例や外国人に関わる法制を考察し、その評価、提言がまとめられている。『白書』には当センターの金光敏事務局長と、金朋央(キムプンアン)東京事務局長が執筆している。定価は1000円。問い合わせは当センター事務局まで。(当ホームページの「資料コーナー>書籍・出版物」でも紹介している。) (2012.4.3)

7月本格施行の改定入管法にNO!外国籍当事者たちが怒りの声

外国籍当事者によるリレートーク
 2009年に改定・公布された出入国管理及び難民認定法(入管法)、入管特例法、住民基本台帳法の本格的な施行が7月9日に控えている。これまでの外国人登録証に変わり、特別永住者には「特別永住者証明書」が、その他の在留資格を持つ外国籍者には「在留カード」が交付されることになる。
 その改定内容が、外国人管理を「点から線へ」と強化することで、外国人の人権保障がほとんど意図されていないことに、外国籍当事者やNGOは、法案が上程される前からずっと強い懸念を示してきた。同法の附則や国会での附帯決議でも、外国人の人権が侵害されることがないよう「広範な検討」や「万全の配慮」、「運用には慎重」といった項目がいくつも挙げられたが、昨年末に発表された政省令発表では、それら最低限の「宿題」にも全く答えていない内容であった。このことに対して、外国籍当事者やNGOが、今回の改定法がこのまま実施されることに対して反対の意志表示を行うための集会(「在留カードにNO!東京集会」)が、3月4日、在日本韓国YMCAにて開催され、約150名が参加した。
 この集会に先立ち、改定住基法の実施現場となる自治体に対してどのような準備を行なっているか等を尋ねたアンケートが2月に実施されており、その結果報告が鈴木江理子さん(大学教員)からなされた。教育を受ける権利に関しては、公立小・中学校への就学を希望する子どもは在留資格にかかわらず無償で受け入れるものとするという政府見解があるにもかかわらず、今度住民登録ができない非正規滞在者の子どもたちを「受け入れない」と回答した自治体が6%あり、「慎重に判断」あるいは「検討中」と答えた自治体も16%に上った。そのほかの回答結果も含めて見ると、自治体では今後ますます混乱状況が増大することが懸念される。
 続いて、ビルマ、タイ、フィリピン、コリア、中国といった多様な国籍、出身地を持つ外国籍当事者からのリレートークが行なわれ、さまざまな切り口から今回の改定法への不安と憤りを語った。
 また、この日から施行日直前の7月7日まで、1万人の賛同者を集める「ともに生きる1万人宣言運動」を行なうことが発表された。(詳細は、aacpのホームページ http://www.repacp.org/aacp/を参照) (2012.3.11)

「ちゃんとした国内人権機関」を求めて、市民団体が院内集会を開催

福島瑞穂・社民党党首も参席
 国内人権機関と選択議定書を実現する共同行動、アムネスティ・インターナショナル日本、石原都知事の女性差別発言を許さず公人による性差別をなくす会、レインボー・アクション、スペースアライズの5団体で構成される実行委員会が主催となって、2月2日参議院議員会館にて、「こんな人権委員会は要らないーわたしたちが使える人権機関を!」と題する院内集会が開催され、約80名の参加者が集まった。
 昨年12月15日に法務省から「人権委員会の設置等に関する検討中の法案の概要」が発表されたが、▼前に発表された基本方針に掲げられていた目的から「人権侵害の防止・人権救済」が削除されている、▼人権委員会を法務省外局とし、地方事務は地方法務局長に委任するなど独立性に大きな疑問がつく、▼委員の資格に「当然の法理」を適用して外国人が排除されている、など様々な問題点を指摘せざるを得ない内容となっている。
 集会では、前半で、障がい者、外国人、性的マイノリティ、婚外子など、さまざまな社会的マイノリティが抱えている人権課題が赤裸々に報告された。後半は、寺中誠・東京経済大学客員教授から、今回の法案の概要の問題点について解説がなされた。国会議員からも数名の出席があった。
 前日には、同実行委員会が文京区民センターで「市民集会」を開催している。(2012.2.8)

滋賀県愛荘町が多文化共生推進プラン策定向け、有識者らから答申を受け取る

村西町長に答申を伝達
 県内でも外国籍住民が多い滋賀県愛荘町の多文化共生推進プランを議論してきた策定懇話会(会長 河かおる滋賀県立大学講師)が11月2日、村西作雄町長に議論結果をまとめた答申を伝達、町として「プラン」をまとめ、多文化共生のまちづくりに取り組むことを要請した。
 「多文化共生推進プラン」は町が定めた総合計画に基づくもので、1年前に策定懇話会が発足、有識者や専門家、外国籍住民を住民の代表者らが10回にわたって議論を重ねてきた。
 愛荘町は県内でも多くの在日ブラジル人が暮らす自治体で、町内にはブラジル学校「コレジオサンタナ」がある。また、公立学校にも外国人児童生徒が多いほか、町内の企業でも外国人が多く働いている。そうした地域性を考慮して町の総合計画で、多文化共生推進プランの必要性が提起された。策定懇話会は町長の諮問機関として発足した。
 答申では、地域の多言語化や学校教育における多文化教育など、今後取り組むべき課題などについての方向性や政策を提言し、住民主体の取り組みや県や国への要請なども提案した。
 滋賀県内の町としては初めての試みで、今後役場内で議論されるプランの取りまとめに注目があつまる。なお、村西俊雄町長は、元米原町長で、日本で初めて外国人住民にも投票権を認める住民投票条例を推進したことで知られる。策定懇話会には当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が委員として参加し、副会長を務めた。町では、年内に推進プランをまとめるとしている。(2011.11.14)

来年施行の新入管法に、外国籍当事者から不安と疑問の声

パネリストによるディスカッション
 ICチップ付「在留カード」の導入など、2009年に大幅に改定された入管法が、来年7月に本格的に施行される(いくつかの条文は既に施行されている)。法の条文にはない、実際的な運用を細かく定める施行令や施行規則が明らかになりつつある時期に、同法が実際に適用された場合にどのような問題が生じるのか、当事者の視点と専門家の視点からあらためて考えることを目的に、シンポジウム「多文化社会と新入管法」(主催:多文化共生・自治体政策研究会、外国人人権法連絡会、移住労働者と連帯する全国ネットワーク)が10月15日、在日本韓国YMCAで開催された。会場には、100名を超える人が集まった。
 「在留カード導入をめぐる一考察」というテーマで基調講演を行なった元東京入管局長の水上洋一郎さんは、「在留カード導入に関する論議の過程で、入管内で専ら使われていた「在留管理」という単語が公式に流布され始めた」と語り、管理ばかりが強調されていると語り、また在留カードや住民基本台帳から非正規滞在者や難民申請者が対象外となっていることに対して「「みえない人間」をつくるべきでない」と指摘した。
 後半では、外国籍当事者や、外国人とつながりが深い職場・現場に関わっている人たちによるパネルディスカッションが行なわれ、留学生、移住女性、難民など、多様な外国人それぞれにとって改定法がどんな変化をもたらすかについて、質疑応答という形で討論が進んだ。来場者、とくに外国籍当事者たちも討論に積極的に参加し、さまざまな質問や意見が投じられた。
 討論を通じて共通していたのは、改定入管法の中身はおろか、入管法が変わること自体、外国籍当事者には十分に知らされていないという点であった。それに対しては、現在、当センターを含むNGOが共同で「外国人のための改定入管法Q&A」というパンフレットを多言語で作成しており、このシンポの会場では英語版が初めて披露された。(2011.10.19)
(※同パンフレットについては、「資料コーナー」を参照)

区と市民がつくるお祭り、多文化共生フェスタしんじゅく2011が開催

ステージには大勢の観客が集まった
 新宿区に住む地域住民や同区で活動する団体等で構成する「新宿区多文化共生連絡会」と新宿区が主催で、「多文化共生フェスタしんじゅく2011」が9月17日、大久保公園及びしんじゅく多文化共生プラザで開催された。このイベントは、食や音楽などを通じて日本人と外国人がお互いに理解と交流を深めることを目的として、当初3月20日開催の予定であったが、直前に東日本大震災が起こったため延期となっていた。
 大久保公園内には、韓国・朝鮮、中国、ミャンマー(ビルマ)、タイ、メキシコなどの各国料理や食材を販売する出店が並び、また被災地で栽培された野菜・果物の販売ブースもあった。メインのステージでは、韓国やミャンマーの伝統芸能などが披露されたが、一番注目を集めたのは、大久保発のK-POPグループ「SOS」と「SEED」。朝早くからK-POPファンらが大勢駆けつけた。
 その他にも、目隠しをして行なう「ブラインドサッカー」のプレー体験スペースや、国際交流こども絵画展の展示など、多彩なプログラムが提供されていた。外国人が多く生活する新宿区で、住民と行政の協働による多文化共生を掲げるお祭りは今回初めてであり、今後より活発になることが期待される。
 当センターは、新宿区多文化共生連絡会に参加しており、このイベントにも当日運営で協力した。(2011.9.21)

新宿区大久保で中学生が、まち発見・まちづくりを体験

チームごとに調査結果を発表
 練馬区立開進第二中学校の中学2年生9名が、9月8日大久保を訪れ、『多文化の街大久保を発見/デザインしよう』をテーマにした体験学習を行なった。
 中学生たちが、大久保の街の多文化状況を実態に見聞きし、この街がもっとよりよい街になるにはどうしたらよいかを“まちづくり”と“多文化共生”の観点から考えることがこの体験学習のねらい。複数チームに分かれて、エスニックショップの店員さんへのインタビューや、外国語で書かれた看板など街路にある多文化コンテンツ探しなどの調査活動を行なった。
 生徒たちからは、「韓国の食堂がとても多い」「でも、韓国以外のお店も実はたくさんあることを発見した」「外国語の看板が多く、逆に日本語がない看板もあった」「雰囲気が明るくて活気がある」など、さまざまな意見が出された。大久保の街のイメージを尋ねると、「多文化」「多国籍」「面白い」「飽きない」「にぎやかな」「明るい」「優しい」といった単語があがった。
 現在、開進二中は東京都の人権尊重教育推進校となっており、総合学習のテーマを、地域との交流を重視した「共生」に置いている。2年生は「他者理解=ボランティア学習」をサブテーマに、子育て、障がい者支援、老人介護、人権擁護、医療などさまざまな活動を行なっている施設や団体を訪問してボランティアを体験する。
 当センターは、このボランティア体験のコーディネートを担当するNPO法人VCAS(ブイカス)から、多様な外国人が生活する大久保において多文化理解につながる体験学習の企画依頼を受け、今回の実施に至った。(2011.9.12)

公演 『朝鮮半島の文化への誘い コリアの躍動と美』 開催

 当センター主催で、崔俊植・梨花女性大学大学院教授と(社)韓国文化表現団を招請して、カヤグム(琴)やパンソリ(口承文芸)など多彩なコリア文化の公演を開きます。
 貴重な機会ですので、ぜひ多くの方に、コリアの伝統と現在が交差する芸術を楽しんでいただきたいです。どうぞおこしください。

  • 日時:2011年7月15日(金) 開場18:30、開演19:00
  • 場所:東成区民センター 大ホール (大阪市東成区大今里西3-2-17)
  • 入場料:大人 1,000円、高校生以下 500円
  • 主催:コリアNGOセンター
  • 助成:大阪国際交流センター
  • 後援:大阪市、大阪市教育委員会、東成区人権啓発推進委員会




「多文化で紡ぐ いのちの環」-新大久保で東日本大震災チャリティイベントが開催される

多民族パネリストによるトーク
 3月26日(土)新宿区の大久保通りに面するルーテル東京教会にて、「東日本大震災被害者応援チャリティOKUBOの集い」が開催され、近辺の地域住民や、首都圏で生活するさまざまな民族・国籍の人たちが集まった。
 主催は、大久保地域で活動する市民団体や個人らで構成する『OKUBOアジアの祭』運営委員会。首都圏に住む外国籍住民との協働のコミュニティづくりを目的に、2004年から毎年『OKUBOアジアの祭』しており、昨年は「多文化で紡ぐ いのちの環」をテーマに、民族の歌と踊り、「大地震に備える多民族トーク」などを行なった。
 奇しくも東日本大震災が3月11日に発生したことを受け、その趣旨を受け継いで被災者を支援する行動を開始するために、今回のチャリティイベントが企画された。
 被災地に住む外国籍住民の現状報告に続き、バングラデシュ、ビルマ、エチオピア、韓国の多民族パネリストによるトークが行なわれた。来場者からもさまざまな質問・意見が投げかけられ、言葉の理解度からくる情報アクセスへの困難さという問題、災害に対処できるネットワークを日常から築いていくことの重要さなどが指摘された。その後、NPO法人“国境なき楽団”などによる歌・音楽演奏が披露された。
 在日本韓国人連合会(韓人会)の朴栽世会長も出席し、韓人会でも既に募金を始めており、義援金を呼びかける共通のポスターと募金箱を、新大久保にある韓国の飲食店・ショップに設置していくと語った。
 会場内に設置した募金箱には118,900円が集まり(主催者のブログによる)、日本赤十字社を通じて被災者に送られる。 (2011.3.28)

帰国の手段を奪われた外国人がビザ延長申請、入管柔軟対応へ

 大震災の影響で交通手段の確保が混乱を重ねる中、東京入管管理局は関係機関に対し、余震や原発事故の放射能汚染等から逃れ、一時帰国を急ぐ外国人が再入国許可を求めて殺到したことや、在留期限を超過してしまう外国人がいることに考慮して、事情を聞いた上で申請の特別受理の可否を判断するとする通知を出した。
 すでに東日本地域の入管では、申請希望者が数時間に渡り待機し、廊下やホール、階段にまで列が及んでおり、一部庁外にも続いた模様だ。さらに交通機関の麻痺などにより来庁できず在留期限を超過してしまう外国人も少なくないと見られ、東京入国管理局では、日本行政書士連合会に対して安全に来庁できるようになったときに、事情を聞いた上で、特別受理の可否判断を行うことを表明した。
 ただし、行政書士がこうした申請を取り次ぐ際、事前に審査管理部門に連絡を行うことを求めている。また、申請時には担当の審査部門での特別受理に関する承認を得る必要があるとしている。承認を要するので、注意が必要である。(2011.3.16)

「在日コリアン辞典」出版記念シンポジウムが東京で開催される

4名のパネリストによるディスカッション
 2010年11月30日明石書店より発刊された「在日コリアン辞典」の出版記念会が3月8日、東京麻布台セミナーハウスで開催された。この辞典は、コリアに関連した社会科学、自然科学の研究促進を目的とする「国際高麗学会」の日本支部(代表:朴一・大阪市立大学教授)が2005年から出版に向けて編集委員会を立ち上げ、準備してきたもの。歴史・経済・社会・文化など幅広い分野において在日コリアンに関わる事柄・事件、あるいは人物を取り上げ、最終的に100名を超える執筆者によって860項目に関する説明がもりこまれている。
(参考:明石書店サイト http://www.akashi.co.jp/book/b68016.html
 既に大阪では昨年11月に出版記念シンポジウム及びパーティが開催されており、それに続く今回の東京での開催には約40名が集まった。文京洙・立命館大学教授の司会で進行し、朴一代表の挨拶の後、「在日コリアン辞典をどう読むか」という主題を掲げた討論が行なわれた。討論は外村大・東京大学准教授がコーディネーターを担い、李宇海氏(弁護士)、姜誠氏(ジャーナリスト)、田中宏氏(一橋大名誉教授)、裴光雄氏(大阪教育大准教授)の4名がパネリストとして発言、その後来場者も加わった意見交換がなされた。項目の選定をはじめとした制作過程における苦労や、今回の記載内容に対する改善点などについて様々な意見が出されたが、今回の辞典発刊は従来なかった新しいチャレンジで、実現したこと自体の価値が非常に大きいという認識は共有されており、今回の初版にとどまらず、内容をより充実させた改訂版の出版を望む意見も少なくなかった。当センターの鄭甲寿・代表理事も出席し、今後の活用のされ方に対する期待などについて発言した。
 この辞典には、当センターからも郭辰雄・代表理事、金光敏・事務局長が執筆者に加わっている。(2011.3.15)

東京経済大学の学生が関西の在日縁の地をフィールドワーク

太平寺中学夜間学級を訪問
 東京経済大学の学生ら18名が2月21日、22日、京都、大阪の在日コリアン縁の地を訪問し、在日コリアン問題への理解を深めた。今回、関西を訪問したのは東京経済大学の徐敬植(ソギョンシク)教授のゼミ生と田中景准教授のゼミ生たちだ。学生らは、京都の在日コリアン福祉支援センターエルファや京都市宇治市のウトロ、大阪では東大阪市立太平寺中学校夜間学級の訪問、在日コリアン青年連合との交流会、そしてコリアタウンを訪問した。学生の一人は、「初めて知ることばかりで整理がつかないことも多いが、今後の研究活動にしっかり生かしたい」と語った。
 今回の訪問は当センターがコーディネートした。(2011.3.4)

東成区を音楽の力で元気に!

“CHO-KAI☆BAN℃”の演奏
 東成区役所一階に設けられている市民協働ステーション『ふれ愛パンジー』で2月11日、地域で活動する音楽家たちを発掘して、音楽で地域を元気にする「ひがしなりアマチュアミュージックフェスタ」が開催された。このイベントには、区内在住、在勤など東成区にかかわりのあるミュージシャンたち8組が出演し、さまざまなジャンルの音楽、演奏が繰り広げられ、応援や鑑賞にかけつけた区民など100名が心休まるひとときを過ごした。
 マンション単位の振興町会に属し、いつも飲み友達だというCHO-KAI☆BAN℃は、マンドリンにギター、お琴の異色グループ、また、仲良し音楽グループで結成されたディキシー・ダック・ショウはギター、ベースにバイオリンを駆使し、マリヨンはウッドベースに音楽のこぎりが加わるなど、地域の中に埋もれているあふれる才能の持ち主たちに2時間はあっと言う間に過ぎた。主催者側は、想像する以上に盛り上がりを見せたイベントとなったことで成功を喜んだ。
 また、東京を中心にロックやカントリーミュージックなど幅広い音楽で根強い人気を博すThe Ma’amが音楽講評を担当。The Ma'amのリーダーで東成区出身の森山公一さんは、「地元でこうしたイベントが行われたことはとても嬉しく、私たちもお手伝いできて光栄です」と語った。
 このイベントを主催したふれ愛パンジー運営委員会には、当センターからも参加している。 (2011.2.14)