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■ 「人種主義とたたかい、外国人人権法と人種差別撤廃法の実現をめざす全国ワークショップ・2007」が開催される。

多民族・多文化時代の到来を踏まえ、差別を禁止し、生活・就労・教育に関わる在日外国人人権法制の整備について、NGO立場から提言する『在日外国人人権法連絡会』主催の「人種主義とたたかい、外国人人権法と人種差別撤廃法の実現をめざす全国ワークショップ・2007」が2月12日、外国人当事者、専門家、活動家など180名が参加する中大阪市立中央青年センターで開催された。

行事の前半、神奈川大学の阿部浩巳教授が、「国際人権法と日本の外国人制度ー911以降の世界と日本」と題して基調講演を行い、国際人権と国内の在日外国人法制の課題を総合的に分析、評価し、国と地方が人権法制の整備を急ぐことを提唱した。
後半では、「政府の労働力移入政策と日系人、研修制度」「改悪入管法の実施と外登法改悪案への対抗軸」「地域社会における反差別・人権保障のシステムを考える」「外国人の子どもの教育の権利をどのようにして守るか」の4つの分科会に分かれて、課題ごとに集中討議。法整備の各論部門についての課題と、今後の提言等について議論した。
集会終了時に、共同アピールが採択され、今後について行動提起がされた。 また、ワークショップの開催に先駆けて大阪市立大池中学校の保護者、教職員らで結成された「おやじバンド」が熱唱。会場を盛り上げた。


●宣言文
 人種主義とたたかい、外国人人権法と人種差別撤廃法の実現をめざす全国ワークショップ・2007共同アピール  昨年5月17日、改悪入管法が成立した。これは、特別永住者や外交官などを除く、16歳以上のすべての外国人に対して、上陸審査時に指紋と顔写真の個人識別情報の提供を義務づけ(US-VISIT日本版)、かつ長期にわたってこの個人情報を管理し、治安警察目的などに利用しようとするものである。これはまた、在日コリアンをはじめとする20年間にわたる闘いによって2000年4月に全廃された「外国人指紋制度」を復活させるものであり、今年11月までに実施に移されようとしている。
  さらに今年の通常国会には、外国人雇用状況報告を義務づける雇用対策法・雇用保険法改定案の提出が予定されている。これは、特別永住者以外の外国人を雇用するすべての事業主に対して、就職時・離職時に「氏名、生年月日、性別、国籍、在留資格、在留期限」を公共職業安定所に報告する義務を罰則付きで課すもので、外国人の就労状況を個別に、継続的に最新の情報として把握しようというものである。
  そして2008年には、「IC在留カード」の導入を柱とする外登法の全面的改悪が目論まれている。そこでは、現行の外登法が対象としている「外国人」を、「特別永住者」/それ以外の「正規の在留資格を持つ外国人」/「正規の在留資格を持たない外国人」という三つのカテゴリーに区分して、「特別永住者」には従前の外国人登録制度を続ける一方で、それ以外の外国人を「外国人登録制度の対象から除外し、法務大臣による入国管理制度に一元化する」ものである。これらは、いずれも外国人を選別・分断し管理するものである。 すなわち、入国・再入国のゲートで「指紋」という究極の個人識別情報を登録させ、かつ居住・労働など日常生活の隅々まで監視し、また「正規の在留資格を持たない外国人」を徹底的に排除しようとするものである。こうした、外国人の基本的人権を踏みにじる改悪に対して、私たちは断固として反対する。
  21世紀日本社会が少子・高齢化による人口減少化時代を迎えることから、政府や経済界から「外国人労働者の受け入れ」に関する政策提言・施策指針が出されている。しかし、これらの提言・指針内容は、「労働力」の導入という狭隘な国益や経済利益からの観点から主張されており、「外国人の人権保障」というもっとも基本的な観点は皆無である。すなわちこれら提言・指針においては、外国人に対する現行の法制度を「自明の前提」として、法目的と運用上との齟齬や、各制度間の表面的矛盾を是正すべきだと指摘しているに過ぎず、この法制度のもとで現在、外国人がいかに差別され、人間としての尊厳を奪われているかということに対してはいっさい言及していない。
  しかも、こうした「外国人政策の転換」論議が、教育基本法の改悪に始まり 、「共謀罪」の新設や平和憲法の改悪へと進む軍事主義・国権主義的政策と並行してなされているところに、これらの論者たち、官僚たちの底意は明らかである。  また、こうした政策論議にしろ、入管法・外登法改悪をめぐる国会審議にしろ、その当事者である在日外国人の意思をいっさい聞くことなく、論議され決定されていくこと自体、根本的な誤りである。これでは、「民主主義」とはとうてい言えない。
  昨年1月24日、国連人権委員会から「現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に関する特別報告者」として任命されたドゥドゥ・ディエン氏による、「日本公式訪問報告書」が国連に提出された。この報告書は、日本における人種差別に関する初めての包括的な国連文書である。彼はその中で、「特別報告者は、日本には人種差別と外国人嫌悪が存在し、それが3種類の被差別集団に影響を及ぼしているとの結論に達した。その被差別集団とは、部落の人びと、アイヌ民族および沖縄の人びとのようなナショナル・マイノリティ、朝鮮半島出身者・中国人を含む旧日本植民地出身者およびその子孫、ならびにその他のアジア諸国および世界各地からやってきた外国人・移住者である」と指摘し、それぞれの差別状況を政治的・社会的文脈および文化的・歴史的文脈において詳細に分析して、最後に24項目にわたる是正勧告をしている。
  その中で、法務省が2004年2月から実施している「外国人不法滞在者の密告制度」に対して、彼はこう言及している。 「法務省入国管理局のウェブサイト上において導入された、 不法滞在者の疑いがある者の情報を匿名で通報するよう市民に要請する制度は、人種主義・人種差別・外国人嫌悪の煽動である。この制度は、本質的に外国人を犯罪者扱いする発想に基づくものであり、外国人への疑念と拒絶の風潮を助長する。したがって、この通報制度はすぐに廃止されなければならない」 この国連特別報告者が指摘するように、人種主義に基づく日本の法制度は根本的に是正されなければならないのであり、入居拒否や入店拒否、就職差別など日本社会に蔓延する人種差別・外国人嫌悪は克服されなければならない。
  しかも、この匿名の市民による 「外国人密告」制度は、かつての「闇の時代」を予感させるに十分である。すなわち、「テロの未然防止」「犯罪の抑止」などを名目にした「外国人」監視政策は、止めどない広がりを持たざるをえず 、結局のところ、外国人にとどまらず「全市民」管理・監視の強化に帰着するからである。
  日本人と外国人との「共に生き共に生かし合う社会」の実現を阻むものは、こうした外登法であり入管法である。そして、外国人の生活のすみずみに張りめぐらされた「国籍条項」であり、根深い排外主義・人種主義である。私たちはこの間、その厚い壁の隙間を一つ一つこじあけながら、その不条理を明らかにしてきた。さらに私たちは、在日外国人一人ひとりの生と尊厳、存在そのものまで奪う法制度に対して、「市民法案」「市民提言」を作成し、日本社会に提起してきた。これらはいずれも、このような過酷な現実を根本的に転換して未来を構想しようとする、私たちの切実な願いから生まれたものである。  私たちは、強まる差別・排外 主義、外国人嫌悪、治安監視社会化に対峙して、「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定、 「政府から独立した国内人権機関」の設立をめざす。それ が、多民族・多文化共生社会の第一歩だと確信するからである。  そのためには、日本人と外国人・民族的マイノリティとの「共同の闘い」、在日コリアンなど旧植民地出身者と、移住労働者・移住者・難民との「連帯」が必要である。  
 私たちは各地のそれぞれの闘いをつなぎ、一人ひとりの声を合わせて、以下のことを、私たちの「共同の意思」として、政府、国会、自治体、そして日本社会に向けて表明する。 1 私たちは、政府に対して、今秋に予定されている「外国人指紋制度」(US-VISIT日本版)の実施を即刻中止するよう求める。 2 私たちは、政府および国会に対して、「外国人雇用状況報告」の義務化および「在留カード」の導入の立法化を中止するよう求める。 3 私たちは国会に対して、外国人・民族的マイノリティに関する問題について当事者の意見が制度的に立法過程に十分、反映されるよう求める。 4 私たちは、政府および国会に対して、国際人権法に基づく「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」を制定し、「政府から独立した国内人権機関」を実現するよう求める。 5 私たちは、地方自治体に対して、「外国人・民族的マイノリティ人権条例」と「人種差別撤廃条例」「多民族・多文化共生教育条例」を制定するよう求める。

2007年2月12日
「人種主義とたたかい、外国人人権法と人種差別撤廃法の実現をめざす全国ワークショップ・2007」
参加者一同 外国人人権法連絡会

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