コリアNGOセンター民族教育確立事業

コリアにルーツのある子どもたちに寄り添う教育の担い手を探しています

民族教育人材バンクの開設

 当センターでは、公立学校に在籍するコリアにルーツのある子どもたちや民族学校に携わる民族教育の担い手を探しています。
 当センターは設立以来、民族的出自を肯定的に捉え、自尊感情を育む子どもたちの“育ち”を支援してきています。とくに、民族教育の制度化が不十分な公立学校に通う子どもたちの場合、コリア文化について知る機会は限られ、多くが出自を隠して学校生活を送っています。
 そうした子どもたちの人権としての教育を保障するために、当センターは民族学級の増設や実施に関わってきました。民族学級とは、公立学校に設けられたコリアにルーツのある子どもたちが、家族のルーツ、民族的素養について学ぶ課外学級です。現在、大阪の公立学校約180校(名称や形態は多様)に開設されています。
 当センターでは、民族学級の現場で子どもたちの“育ち”と“学び”を盛り上げてくれる民族講師を探しています。私たちが探す人材とは以下のような方々です。

  • 民族的出自を肯定的に捉え、自尊感情を育む民族教育の活動に理解のある方
  • 人権を尊重し、本名や民族名を大切にされている方
  • コリアにルーツのある方(国籍は問いません)
  • 教育現場が政治的・宗教的中立であるべきことを尊重できる方
  • 経歴や学歴は問いません。但し教員免許を保持されている方をなお歓迎

 当センターの民族教育人材バンクにご登録いただきますと、関係機関への紹介や、教育行政の行う民族講師公募の情報を提供し、採用試験のサポートをさせていただきます。ただ、ご登録いただければ自動的に職を紹介するものではありません。
 また、教員免許がおありの方については、民族学校での教員募集応募についてもサポートいたします。関心のある方は、当センターの事務局(TEL 06-6711-7601)までお問い合わせください。人材バンクの趣旨説明と、必要に応じて面談させていただきます。
 多民族・多文化時代を担う子どもたちの“育ち”と“学び”に寄り添う方々のアクセスをお待ちしています。(2019.11.26更新)


【東京事務所】 韓国の子どもたちのための“チャプチョ教室”、講師ボランティアを募集中

チャプチョ教室とは

 チャプチョ(ハングルで「雑草」)教室は、韓国にルーツを持つ子どもたちが安心して学べるようにサポートする場を望んでいた新宿区在住のオモニ(韓国出身のお母さん)たちと、教師や研究者、市民団体メンバーが協力して、2012年3月に開講した教室です。毎週水曜日の夕方に、当センター東京事務所がある新宿区大久保の「文化センターアリラン」で授業を開いています。
 参加している子どもたちは、小学生から大学受験生までにわたり、韓国生まれの子も日本生まれの子もいます。日本語がまだ十分でない子どものための日本語授業や、学校の勉強をサポートする教科授業を併せて行なっています。

講師ボランティア 募集案内

 チャプチョ教室を支える講師は全員ボランティアです。国際理解教育などを専攻する大学生・大学院生たちが多く関わって下さっています。
 ぜひ、ご協力お願いします。(2019.11.26更新)
  • 曜日:毎週水曜日 (お盆、年末年始の週以外は、ほぼ毎週教室を開いています)
  • 授業時間:17:30~18:20 / 18:30~19:20、の2時限
      ※このうち一つだけ担当することもできますし、隔週、毎月1回など、参加形態は多様です。
  • 科目:日本語(国語)、英語、数学の3教科が基本
      ※子どもによって社会や理科などを勉強する場合があります。
  • 交通費分として一日1000円をお支払いします。講師謝金は、ありません。
  • 資格や経歴・学歴は問いません。国籍や出自も関係ありません。
    子どもたちに寄りそって、子どもたちのための授業をつくる努力をしてくれる方を求めています

⇒お申込み、お問い合わせ:当センター東京事務局(TEL 03-3203-5655、tokyo@korea-ngo.org)まで


新宿区ニュー・カマーズチルドレンの日本語学級とトータル・ケア-の確立を求める要望書

新宿区区長 様
新宿区立教育委員会 様
2010年10月29日
新宿区ニュー・カマーズ チルドレンの日本語学級と
トータル・ケア-の確立を目指す会議

議長 内藤頼誼
認定NPO法人難民支援協会
新宿オモニの会
日本語学級研究会
多文化学校



新宿区が国際化の時代を迎える中で、私達は子どもたちのよりよい教育の実現に大きな関心を持ってきました。今、新宿区には「日本語を母語としない児童・生徒」が急増しております。私たちはこの子どもたちが現在肉体的にも、精神的にも極めて危機的な状況に追い込まれているとの認識を持っています。

子どもたちの置かれている深刻な事態は一刻の猶予老許しません。私たちは、本区での日本語を母語としない子どもたちの教育のよりよい充実化のために新宿区立中学校に「日本語学級」の来年度設置を強く要望すると共に、学校管理外の生活にも区の手厚い支援を受けられるようにご配慮をお願いします。


1. 設置に向けた子どもたちの現状報告

私たちは、近年新宿区に増加を続けている新しい外国人の子どもたちのために、彼らが通学する小学校、中学校に日本語学級を作ることと、彼らが学校外生活でも健全な社会教育、社会環境の中で成長できるためのトータル・ケア-の確立を目指しています。

新宿区には、近年ミヤンマー、ネパール、ベトナム、タイ、カンボジア、韓国、中国など多くの国々から移住してきている人々がおり、その傾向は増加の一途をたどっています。

その結果、新宿区で育っている子どもたちも多くなっています。その子どもたちは、本国で小・中学校に就学している途中で日本に来た子もあれば、日本語の良くわからない両親のもとに新宿に来てから生まれた子もいます。この子たちは、年齢や本国で受けた教育の段階に応じて新宿区の学校に通うことになります。

ところが、その子どもたちの多くが、学校に通っても日本語が判らないから先生の授業が理解できずに勉強に参加できない状態になり、その子自身も辛く無意味な通学を続けなければならないことになるうえに、子ども達の中で「異質」と見られる子はしばしば「いじめ」の対象にされています。

そのために、学校に通うことに耐えられなくなって、欠席を続け、公園で時間を費やしたり、そうした機会に誘われて飲酒、万引きなどの非行に陥る子どもたちも増えています。

その実情は、別紙に紹介しますが、こうした現状のままでは外国から来た子どもたちの大切な命と人生を害うと共に、新宿区の将来にとっても極めて憂うべき事態を招くことは必定でしょう。


2. 緊急の必要性―「日本語学級」設置

私たちは、この問題に直面し、その対策として、まず子どもたちの生活の基盤として、日本語を教えることから始めてそれぞれの学科の勉強ができる教育を行い、子どもたちの心の拠りどころともなるように、彼らが通学する学校には等しく「日本語学級」を作ることと、学校外生活の健全な援助と指導ができるトータル・ケア-のシステムの緊急の必要性に迫られています。

日本語の判らない児童・生徒が、それぞれの学年の日本の子と同じ授業を受けることは根本的に無理を強いていることで、教諭としてもこれらの子にも理解できる授業をすることは不可能です。その結果が、無意味な通学をさせるだけではなく、学校・クラスの中での孤立という苦痛を受けさせ、また意思の疎通ができないところから「いじめ」の対象になったり、不和とトラブルを生むことになっています。

さらに、そうした無理な学校生活に耐えられない子どもたちが長期欠席状態になって、街の中を徘徊したり公園で時間を過ごし、非行に誘われることになっています。こうした状態は、新宿では誰でも繁華街や公園を歩いてみれば目にすることで、既に区民だけではなく新宿を訪れた人たちが見ていることです。

新宿区民も新宿を訪れた人も、この状態を好ましく思うはずがありません。ところが、何の対策も採られない現状ではこうした子どもたちは増加の一途をたどっています。この子どもたちは、日本の子どもたちと同じように、尊く、純真な命を持っています。若しも祖国が平和で自由と平等が尊重されていたら、故郷の美しい山河に抱かれて育っているでしょう。みんな祖国や家庭の事情で日本に来て新宿で暮らしているのです。

この子たちの生活に、流す涙を持たない人や顰蹙の眼で見ている人も、自分が毎日判らない言葉の授業を聞くために学校に通い、おとなしく席に坐っていなければならない身に、また友達のいない学級で、「いじめ」を受けても何一つ話せない身になってみれば、この子等がどんなに無理な生活をさせられているか少しは判るでしょう。

全ての原因の発端は、「日本語の判らない子に通常の授業を受けさせる」ことに始まっているといって過言ではありません。

ところが、新宿区では、これらの子どもたちが増え続けているにもかかわらず、トータル・ケア-の発想のないことはもとより、小学校の日本語学級も大久保小学校にあるだけで、多くの子どもたちが日本語学級のない小学校に通学させられるのです。

もっと大きな問題は、中学校に至っては区立の中学校に日本語学級が一箇所もないという実情です。中学生の年代は、将来の進路を見定める大切な時期であると共に、思春期に入って精神的な人格を形成する重要な岐路に立つときです。

それはまた同時に非行の誘惑に陥りやすい最も危険な時期でもあります。小学校の高学年や中学校の年代で移住してきた子どもたちは、この大切な年代を「知的な空白時間」として暗中模索しなければならない状態になっているのです。この子どもたちも、それぞれかけがえのない尊い命を受け継いで、それぞれが才能を育てて生きていかなければならないのに、高校進学についても全く何の対策も採られていません。

子どもが健全に育ち、人が希望を育てて困難を乗り越えて進むには、心の拠りどころとしての故郷が必要です。この子たちの母国は余りにも遠く、新宿が新しい故郷となるのです。この子等の心の故郷になれる学校が必要であり、日本語学級はその拠点としての役割りを果せるでしょう。


3. トータル・ケア- システムの必要性

学校教育だけでは、彼らが日本の、新宿の社会で健全に育つには足りないものが多多あります。

これまでにも、日本語学級を作ってその先生たちが彼らに日本の生活になじめるように努力を重ねても、放課後に一歩学校を出ると「見知らぬ世界」の中に迷い出て、非行の仲間に入れられたり、命を失った例もあります。

この子等は、街の中でも、何処がどのような商業の地域なのか判らないし、子どもはどのような事や人に気をつけなければならないか、ということも判りません。極端に言えば、危険が判らないし、危険を感じても「助け」を呼ぶことも判らないことさえあります。このために、せっかく日本語学級の先生が努力していても、放課後の時間に街に出て非行の付き合いに誘惑されることも珍しくないのです。日本の子にとっては、「常識」として知っていることや、家庭で教わっていることが全く「白紙」の状態だと考えなければならないのです。この子等の家庭では、親が日本のことを知らないのですから、日本の生活や新宿の街の生活の常識、近寄ってよい地域や付き合ってよい人かどうかも家庭で教えることはできません。

そうした指導は、学校の中で抽象的に教えられることではなく、「街の生活」の中で教えなければ子どもには判りません。更に、文化的な楽しみと教養の問題があります。学校の教育では、日本語学級を作っても、学科の勉強を中心に進めなければならないことになります。

日本の子どもたちは、現状として過大な学習に追われている嘆かわしい状態に置かれていますが、それでも育っているうちに知らず知らずに日本の文化の中で、その音楽、絵画などの芸術やいろいろのスポーツ知識を持ち、これらを楽しんで、そうしたことが常識と教養となって育っています。

ところがこの子等は、自分の身のまわりにあるせっかくの日本が古来から受け継いできた文化、外来で日本に定着した文化知識がないのでこれらを楽しむこともできないのです。例えば、健全な趣味と教養の涵養のためには、彼らに日本文化に親しめるように、新宿の歴史遺産を参観する機会を作ったり、健康な子どもなら「相撲クラブ」や「剣道クラブ」「弓道クラブ」「柔道クラブ」も良いでしょうし、「書道クラブ」、「日本の昔話」などよいでしょう。国際的に共通するものとして「野球」「ソフトボール」「テニス」「サッカー」などのスポーツ、音楽や絵画などの芸術、また彼らが危険から身を守るために警察の少年・防犯関係部門との指導、連携、生活相談など有意義なことは枚挙に暇はありません。

これらのことは、それぞれの文化・スポーツ活動を行っている団体と協力すれば決して困難なことではありません。この子等もそうした才能を伸ばす機会が得られるし、また優れた才能を発揮する人が生まれてくることもあります。更に、彼らは何時祖国に帰る日が来るかは判りませんが、苦しい中でも親子の絆を強く保ち、親しい同胞を失わないことは、それぞれ人として自信と誇りを持って進むことに欠かすことのできない大切な必要条件です。そのために、母国と母国の文化、同胞との絆を育てる教育や機会が必要です。これまでの日本の外来者に対しての教育は、「無理やりに『日本人化する』という過ちを重ねてきましたが、これを繰り返しては進歩がありません。


4. 要望内容

日本も「国際化時代」といわれるようになって久しくなります。「国際化」を、商品の流通が国際的ならよいと思う人はもういないでしょう。国際的に人々が交流し、いろいろな国から来た人々が一緒に楽しみ、一緒に活動できる社会を作らなくてはならないのに、日本の首都の東京の中心になっている新宿区は、何処よりも国際的に子どもが健全に育って行ける環境でなければならないし、私たちはこの新宿区がそうした街でありたいと願っています。

国連が作った「子どもの権利条約(政府訳―児童の権利に関する条約)は、「全ての子どもが、健全に育つことができる」ように保障することを、保護者だけではなく、この条約に参加したその子どもが育っている国とその自治体、地域のみんなに責任を持たせています。日本もこの条約に参加して、国会も批准しています。   日本の首都は東京であり、東京の都心は都庁のある新宿です。その新宿区に、日本語学級のある中学校が一校もなく、この子たちの生活をケア-するシステムが全くありません。むしろ私たちの新宿区こそ、この子等の生活と勉学に名誉ある地位を築きたいものです。

別紙に実情の概要をご報告致しますから、これを読んでいただいて、是非新しく新宿区に仲間入りした子どもたちの通う小中学校に、日本語学級を設置することと、学校教育だけでは彼らが健全に育つことに足りない対策を確立することを要望いたします。


●要請書への賛同署名用紙 get pdf (14KB