コリアン・ネットワーク/コミュニティ

当センターがコメント「在外同胞の政治参加の権利が尊重されるように」を発表

 4月1日、今日から世界各地で第21代国会議員在外選挙投票が始まりました。しかしコロナ19によって在外選挙人171,959人のうち半分に過ぎない86,040人だけが投票に参加することができます。
 中央選挙管理委員会(以下中央選管委)は、コロナ19の状況の急速な悪化により在外選挙実施を憂慮する駐在国の公式立場表明があり、駐在国の規制措置強化で在外国民の安全が憂慮されるなど正常な在外選挙実施が難しいと判断される駐米国大使館など86カ所の在外公館(4月1日現在)の在外選挙事務を4月6日まで中止することに決めました。公職選挙法第218条29項の「天災地変または戦争・暴動、その外にやむを得ない事由」がその根拠として提示され、投票実施が不可能な地域が追加で生じることもありうる状況です。

 ここ日本の場合21,957人の在外有権者が登録されており、投票は予定通り実施されます。しかしながら米国とヨーロッパを中心に在外選挙事務が中止され、在ドイツ同胞が在外国民投票権保障リレーキャンペーンをおこなうなど、中央選管委の在外選挙投票中止決定に反対する動きが起きています。
 在外選挙有権者である私たちは、憲法第24条に明示された参政権を保障するために中央選管委が十分に実施努力を行ったのか疑問を持たざるを得ません。そして「在外国民投票を中断し、これに支出される予定の300億ウォンの財源を危機克服の財源として使うべき」と主張した李セジュン高陽市長の発言などに対しても深刻な憂慮を感じます。
大韓民国憲法が保障する権利は、大韓民国国内に居住中であれ、国外に居住中であれ、侵害されてはなりません。コロナ19という特殊な状況の発生を理由として参政権の中止は安易な発想でしかなく、このような状況であっても、いかに権利の保障が可能かを検討すべきであったと考えます。

 ましてや今回の国会議員在外選挙に合わせ各政党が発表した選挙公報物を見れば、各党候補者についての紹介以外に政策説明は極めて不十分です。特に海外同胞、在外国民のための公約を提示した党は一部を除いて、ほとんどないといっても過言ではありません。
 世界各国に居住する同胞数は190余ヶ国、750万人に達し、これは大韓民国人口5,000万人のうち約15%を占めています。ますます大きくなる大韓民国の国際的な役割とその地位にふさわしい海外同胞、在外国民に対する政策も不可避で、そのためにも政府省庁だけでなく各政党も在外同胞に対する政策を真剣に検討することが求められます。

 現在、在外同胞に対する政策は在外同胞政策委員会と在外同胞財団が、そして在外同胞民族教育は教育省が担当するなどそれぞれ複数の政府省庁で関連業務を所管していますが、在外同胞の歴史的経緯、居住国との関係は非常に多様で、直面している課題も千差万別です。グローバル化が進むなか在外同胞の多様な問題解決に臨みし、在外同胞と韓国社会の絆を強めることは、韓国と在外同胞居住国との関係発展及びネットワーク活性化のための重要な課題でもあります。
 コリアNGOセンターは2012年と2017年の大統領選挙実施の際、各候補者と政党に「在外同胞政策要望書」を提出し、その一つとして統合的な在外同胞政策推進のための専門部署設立を提案しました。今回の選挙で新しく構成される国会で、このような戦略的観点で「在外同胞庁」創設などが議論されることを強く期待するとともに、今回の在外選挙の一部中止という事態を契機に、郵便投票や電子投票など在外選挙のための多様な実施方式を検討し、関連法律などの改定が進められることを求めます。
 そして何よりも海外同胞と在外国民に大韓民国の憲法が平等に適用されて、在外同胞の政治参加権利が尊重されることを強く願うものです。

2020年4月1日
特定非営利活動法人
コリアNGOセンター
代表理事 林範夫 郭辰雄


코멘트 "재외동포의 정치 참여 권리가 존중되기를"

 4월 1일, 오늘부터 세계 각지에서는 제21대 국회의원 재외선거 투표가 시작되었습니다. 그러나 코로나19로 인해 재외선거인 171,959명 중 절반에 불과한 86,040명만이 투표에 참여할 수 있습니다.
중앙선거관리위원회(이하 중앙선관위)는, 코로나19 상황의 급속한 악화로 재외선거 실시를 우려하는 주재국의 공식입장 표명이 있었거나, 주재국의 제재조치 강화로 재외국민의 안전이 우려되는 등 정상적인 재외선거 실시가 어렵다고 판단되는 주미국대사관 등 86개 재외공관(4월 1일 현재)의 재외선거 사무를 4월 6일까지 중지하기로 결정했습니다. 공직선거법 제218조 29항의 '천재지변 또는 전쟁·폭동, 그 밖에 부득이한 사유'가 그 근거로 제시되었고, 투표 진행이 불가능한 지역이 추가로 발생할 수도 있는 상황입니다.

이곳 일본의 경우 21,957명의 재외 유권자가 등록되었고, 투표는 예정대로 진행 중입니다. 그렇지만 미국과 유럽을 중심으로 재외선거 사무가 중지되면서, 독일 교민들이 재외국민 투표권 보장 릴레이 캠페인을 벌이는 등 중앙선관위의 재외선거 투표 중지 결정에 반대하는 움직임이 일어나고 있습니다.
재외선거 유권자인 우리는, 헌법 제24조에 명시된 참정권을 보장하기 위해 중앙선관위가 충분한 노력을 기울였는지 의문을 가지지 않을 수 없습니다. 그리고 “재외국민 투표를 중단해 여기에 들어가는 300억원의 재원을 위기극복수당의 재원으로 사용해야 한다”고 주장한 이재준 고양시장의 발언 등에 대해서도 심각한 우려를 표할 수 밖에 없습니다.
대한민국 헌법이 보장하는 권리는, 대한민국 국내에 거주 중이건, 국외에 거주 중이건 그 적용에 차별이 있어서는 안될 것입니다. 코로나19라는 특수한 상황이 발생했으므로 참정권을 중지시킬 수 밖에 없다는 식의 편의적인 접근이 아니라, 이러한 상황에도 불구하고 어떻게 하면 권리를 보장할 수 있을까를 고민해야만 한다고 생각합니다.

아울러, 이번 국회의원 재외선거 용 각 정당의 선거공보물을 보면, 각 당 후보자에 대한 소개 이외에 정책 설명은 확인하기가 어렵습니다. 특히 해외동포, 재외국민을 위한 공약을 제시한 곳은 전무하다고 해도 과언이 아닙니다.
세계 각국에 거주하는 동포 수는 190여 개국, 750만 명에 이르며, 이는 대한민국 인구 5,000만 명 중 약 15%에 달하는 수치이기도 합니다. 점점 더 커져 가는 대한민국의 역량과 그 지위에 걸맞게 해외동포, 재외국민에 대한 정책 또한 바뀌어야 한다고 생각합니다. 정부 부처뿐만 아니라 각 정당들도 재외동포에 대한 정책을 진지하게 고민할 것을 요청하고 싶습니다.

현재, 재외동포에 대한 정책은 재외동포 정책위원회와 재외동포재단이, 그리고 재외동포 민족교육은 교육부가 담당하는 등 각기 다른 정부 부처에서 관련 업무를 추진하고 있습니다. 그런데 재외동포는 역사적 경위, 거주국과의 관계 등을 살펴보더라도 매우 다양할 뿐 아니라, 그들이 직면하고 있는 과제도 천차만별입니다. 세계화의 진전 속에서 재외동포의 다양한 문제 해결에 이바지하고 재외동포와 한국사회의 유대를 강화하는 것은, 한국과 재외동포 거주국과의 관계 발전 및 네트워크 활성화를 위한 중요한 과제이기도 합니다.
코리아NGO센터는 2012년과 2017년의 대통령선거를 앞두고, 각 후보자와 정당에게 ‘재외동포정책요망서’를 제출했고, 그 가운데 통합적 재외동포 정책 추진을 위한 전문 부처 설립을 제안했습니다. 새롭게 구성되는 국회에서, 이러한 거시적 관점에서 ‘재외동포청’ 창설 등이 논의될 수 있기를 바랍니다. 그리고 이번 재외선거 일부 중지 사태를 계기로, 우편투표나 전자투표 등 재외선거를 위한 다양한 방식을 고민하고 관련 법률 개정 또한 진전되기를 희망합니다. 무엇보다도 해외동포와 재외국민에게 대한민국의 헌법이 평등하게 적용되고, 재외동포의 정치 참여 권리가 존중되기를 바라 마지 않습니다.

2020년 4월 1일
특정비영리활동법인 코리아NGO센터
대표이사 임범부, 곽진웅


劇団トル代表きむきがんさんが来訪  12月13日に滋賀県で「キャラメル」上演


 きむきがんさんは、生野区出身の在日3世。いま在日演劇人としてもっとも注目を集めるひとりだ。きむきがんさんと私は地元生野区で子どもに関わる仕事についたことから社会活動のパートナーとしても古い関係です。演劇という手法にたどり着き、表現者としての自分に気づきはじめたのは彼女が10代の頃。その後、学童保育のスタッフなどを経て、済州島に渡り、民衆劇に取り組むグループで本格的に演劇人生を始動したと言います。

 彼女の代表作となっている「在日バイタルチェック」は、コミカルに、かつ大胆に、時代の中で翻弄されながらもたくましく生きた在日1世の記憶を演劇にしたもの。在日一世の記憶を持つ2世、3世はもちろん、日本人からも大きな反響を得ている作品です。私も彼女の作品に触れて、その演劇の質の高さと、作者としての研ぎ澄まされた感性に感嘆したものでした。
 彼女への評価はローカルではなく、韓国でも注目をされています。在日コリアンについて触れたこともない韓国の観客たちから高い評価を受け、それが広がり、賞をもらったり、韓国YTN制作の「在日ブルース」というドキュメンタリーでも取り上げられています。こちらはサイトからの視聴ができますので、ぜひご覧ください。
作品づくりについて私に話す きむきがんさん
 彼女が新作「キャラメル」で公演を行います。この作品は、慰安婦のハルモニをテーマにした作品です。架空の物語ですが、舞台は今里。そうです。私の地元です。実際に慰安婦だったハルモニが今里に住んでいたことからは発案した物語だと言います。
 すでに各地で招待上演がされていますが、来る12月13日金曜日に滋賀県栗東市の栗東芸術文化会館で上演されます。そのキャンペーンもあって10月7日、きむきがんさんが当センターの事務所に来てくれました。演劇人きむきがんさんの熱い思いと、作品にかける姿勢。あるいは作品づくりに寄せる視点、これまでの上演での経験談など、彼女の魅力あふれる話しぶりにすっかり事務所スタッフが魅了されました。
 この公演には、コリアNGOセンターも協力させてもらっています。ぜひこの機会に足を延ばされ、きむきがんワールドをご堪能ください。<金光敏>  (2019.10.09)

8年ごし在外国民教育支援法改定案今韓国国会でようやく採決へ

マイク前で発言するのは安敏錫議員
その右隣が禹元植共に民主党院内代表
左から金光敏事務局長
金相坤社会副総理兼教育部長官
白頭学院の高敬弼理事長
 在外韓国人学校への支援拡充を含む在外国民教育支援法改定案がようやく韓国国会で採択される見通しだ。在外国民教育支援法改定案は、世界16カ国33校の在外韓国人学校への支援拡充と法的処遇の改善を目的としている。現在、約6000人の子どもたちが学び、日本には大阪に2校、京都、東京の4校がある。
 この改定案は8年前に安敏錫(アンミンソク)議員が発議した。ただ、当時野党議員による発議法案であったことから採択かれないまま漂流してきた。今年に入り政権交代が実現し、与党議員の発議となり、採択の可能性が高まった。
 世界の韓国人学校が加盟する在外韓国人学校理事長協議会の総会が9月25日ソウルで開催され、当センターの金光敏事務局長も出席。世界各地から集まった15名の理事長らと各校の現況や、韓国政府への要望について協議した。とりわけ、支援法改定案の早期制定で一致し、国会でさっそく要請活動に取り組んだ。
 柳成葉(ユソンヨプ)委員長をはじめ国会教育体育文化観光委員会所属の議員らと午餐を持ち、法案採択の要請をしたほか、共に民主党の禹元植(ウウォンシク)院内代表を訪ね、与党として今国会での早期可決を求めた。
 与党の共に民主党と第二野党の国民の党所属の議員らから好意的な反応があり、おそらく野党の正義党も賛同すると見られ、法案成立の可能性は高いと見られる。
 その後、金相坤(キムサンゴン)社会副総理兼教育部長官とも懇談。金副総理兼教育部長官は、「在外同胞教育の重要性は認識しており、政府としてできることは取り組みたい」と述べ、さっそく来年度予算に在外国民教育支援センターの開設費を入れたとの説明があった。
 韓国国会で在外同胞の教育問題にもっとも熱心に取り組んできたのは安敏錫議員だ。安議員は、前政権の大型スキャンダル追及の急先鋒として注目を集めた。もとは体育教員出身で子どもや教育の分野で地道に政策立案活動に励んできた政治家。発案者の安議員の発想も含む韓国政府の在外同胞教育支援は、多文化社会を見越し、公教育の多様性を促進する模索の中で進められている。来年度発足の在外国民教育支援センターは、多文化主義、相互文化主義(韓国で使われる用語)を意識したものとなっている。在外同胞教育への拡充がめざす、ちがいに寛容な韓国の社会づくりにぜひ注目していただきたい。(2017.09.25)

“朴槿恵大統領罷免決定に対するコメント”を発表しました


 本日、韓国憲法裁判所は朴槿恵大統領に対して出されていた弾劾を8人の判事全員が認め、大統領職の罷免を決定した。今回の大統領罷免という結果については、たとえ国民による直接選挙で選ばれた大統領であったとしても、その職務遂行において看過できない不正や国民に対する背信があった場合、法律に則り断罪されるという韓国における民主主義が機能した結果であるとして歓迎したい。
 朴槿恵大統領が弾劾を受ける契機となった、いわゆる「崔順実ゲート事件」は、韓国の重要な政治的決定が大統領周辺の個人的な関係の中で、不透明なプロセスでおこなわれたことで韓国の政治が大きく歪められていることを明らかにした。のみならず、財閥との癒着による不当な利益の授受や不正腐敗、文化人ブラックリスト問題に見られる現政権に対して批判的な国民への不当な弾圧など、現在の韓国政治が朴槿恵大統領の父親である朴正煕大統領の独裁政権時代を髣髴とさせるような状況であることが白日の下にさらされ、国民の抗議と退陣を求める声が全土に広がった。
 昨年10月から全国に広がった崔順実ゲート事件に対する抗議と朴槿恵大統領退陣を求めるろうそくデモは、単に退陣を求めるだけではなく、政治における不正腐敗の根絶、政治プロセスの透明性の確保、検察・司法改革、財閥改革、格差の是正と生存権の保障など、多様な政治的イシューの改善を求める市民社会の声として広がっている。
 今回の弾劾をめぐって日本国内では、韓国社会を二分するかのような論調が見られるが、韓国ギャラップの3月3日に明らかにした世論調査でも77パーセントが弾劾・罷免を要求しており、国民の大多数が朴大統領の罷免とこれを契機とした政治刷新を求めていることが明らかになっている。
 今回の弾劾による大統領罷免によって、今年末に予定されていた大統領選挙が5月にも実施されることになるが、在日コリアンも有権者として政治刷新が求められる韓国政治に積極的に参加していくことが求められるだろう。

2017年 3月10日
特定非営利活動法人コリアNGOセンター
代表理事 林範夫
郭辰雄

大佛次郎賞受賞で記念講演 金時鐘先生にとって「言葉」を語る

 日本を代表する現代詩人のひとりで、在日社会の精神的支柱とも言える金時鐘(キムシジョン)先生の著書「朝鮮と日本に生きる」(岩波新書)が大佛次郎賞を受賞し、その祝う会が5月7日、大阪市北区のフェスティバルタワーで行われた。1960年代から金時鐘先生が講師を務める大阪文学学校と朝日新聞が主催した。
 祝う会で記念講演した金時鐘先生は、植民地時代を生きた幼少の記憶、その植民地の延長線上に生起した済州島4・3事件。生きながらえるために日本に送り出されて以来、60年余りを過ごした旧宗主国日本での今日までの日々を振り返りながら、ときに民衆に銃口を向けて強権をふるった祖国の政治体制と、加害の歴史の忘却をいとわない日本との狭間で、抗うように紡ぎ出してきた自らの言葉とはなにかを語った。
 この日かけつけた文学者の多くが、金時鐘先生の「言葉」を絶賛した。それら作品が心底から込み上げる独特の響きを持ち、ある人は「朝鮮語を日本語に置き換えた、他に真似できないもの」と評論した。これに金時鐘先生は、自らの作品「光州詩片」が光州事件30周年の結びに韓国訳された際、名だたる韓国の日本文学研究者により5年の歳月を要したエピソードを語り、「私の日本語をそう簡単に翻訳させるものか」と笑いを誘いながら、単なる二言語を置き換えたものではないことを証した。
 日本文学で一定の位置を得る在日朝鮮人作者たちの中において、金時鐘先生は別格と称される。本が読まれない時代の文学の彷徨にあって金時鐘先生の存在は、あたかもひとすじの鮮やかな光線がまっすぐに暗闇の空を指し示すようでもある。1929年生まれの金時鐘先生にいまだ語ることを委ねるかのような言質に、在日2世3世たちが自らのふがいなさを感じるところも少ない。在日朝鮮人一世の文学者による日本語のこの美しさにこの日も聴衆は感嘆していた。(2016.05.09)

韓国人連合会と意見交換 コリアNGOセンターの役割に評価、今後も連携で意気投合

 主に1980年代以降に来日し、すでに定住者としてビジネス、学術、文化活動の世界で活躍する韓国人の団体「在日関西韓国人連合会」とコリアNGOセンターとの意見交流会が1月22日に連合会の事務所で行われた。韓国人連合会は関東で先に結成され、関西では5年前に発足した。
 交流会の冒頭、郭辰雄(クァクチヌン)代表理事が講演し、これまでの在日コリアンの歴史経過とコリアNGOセンターの活動について説明、続いて金光敏事務局長から民族教育の現状について話した。その上で、多文化共生社会の実現に韓国人連合会の役割が大きいと期待を表明した。
 韓国人連合会の役員らからは私たちの活動領域の幅広さに関心を示し、センターと連携を強化したいとの意見が出された。
 ニューカマー外国人で韓国人連合会のような自主団体を運営しているのは決して多くはなく、広域にまたがる団体運営ではいまのところ他に例がない。外国人コミュニティの中で韓国人社会が先行したのは、やはり在日コリアンの社会基盤が促進していると言える。新渡日者が自治団体を築くためには、さまざまな労力、時間、そして経費がかかる。韓国人が比較的に日本で安定していることとも関わりがあるだろう。私たちのコリアンコミュニティがすべての外国人コミュニティにとっての先行事例となり、その経験の蓄積が生かされるようさらに努力することが求められる。特に、コリアNGOセンターの取り組みが、他の外国人住民の活動領域の拡大につながるよう多文化共生を牽引する役割を担って行きたい。(2016.01.26)

学校法人白頭学院を支えた金聖大前理事長に名誉経営学博士号授与

祝賀会
 来年開校70周年を迎える学校法人白頭学院建国幼小中高校の理事長を務め、校舎再建築に功績を残した金聖大(キムソンデ)現常任顧問が韓国忠清北道論山の健陽大学校から名誉経営博士号を授与され、その祝賀会が11月20日、大阪市内で開かれた。
 金聖大前理事長は学校法人白頭学院の理事、副理事長を歴任し、2010年に理事長に就任。それを契機に老朽化し、耐震性を高める必要のあった校舎を総額約15億円にのぼる再建築計画を立案、そして2015年春に完成に導いた。現在は、新しい校舎で子どもたちが学ぶ。現在は常任顧問を務め高敬弼(コウギョンピル)現理事長をサポートしている。
 これらの功績が評価され、健陽大学校より金聖大常任顧問に名誉経営学博士号を授与された。健陽大学校は開校25年の若い大学だが、眼科医で医学博士の金熺秀(キムヒス)理事長が私財を投じて開学した総合大学。医学部には全国から学生が集まってくる名門大学だ。
 去る9月に学位授与式が健陽大学校で盛大に行われたが、地元大阪でもぜひお披露目の会をと、祝賀会開催が企画された。呼びかけ人には当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長も名前を並べた。
 祝賀会には韓国から健陽大学校の金?秀総長もかけつけ、多くの祝賀会参席者の前であらためて学位書と記念品が手渡された。呼びかけ人を代表して祝辞を述べた高敬弼理事長は常任顧問の功績を称えると共に、本国においても在日の民族教育への理解が深まっての今回の名誉博士号は意味が大きいと述べた。(2015.11.30)

2014 Korean Future Readers World Conference

今回の参加者一堂で記念撮影
 世界中に散らばって暮らすコリアンの次世代リーダーが集まり、コミュニティの発展、各専門分野での経験交流、共働関係の深化について議論する大会が11月4日から8日までソウルで開催された。
 日本、中国をはじめ北米、南米、東南アジア、CIS、ヨーロッパから約120名が集まり、活発な議論を交わした。
 朝鮮半島は植民地支配時期から周辺国へ様々な理由で移住者を排出し、分断後の韓国もまた世界各国に移民を送り出した。世界各地に暮らすコリアンネットワークを「コリアンディアスポラ」と呼び、経済、文化、政治のネットワークとして活用する議論が活発化している。今回の大会は20代から40代の一線で活動する青年層を中心に開催され、今年で17回目を迎える。
 集まった参加者は、法曹、芸術、医療、言論、教育、ビジネス、学術などの一線で活躍するメンバー。あらためてコリアンコミュニティの広がりを感じさせ、それぞれの国、地域で大きく寄与していることが確かめられた。
 2世、3世の参加者には韓国語ができない人もいることから、議論では通訳をつけての議論となった。一方、韓国語が重要な共通言語であることも強調され、あらためて次世代育成の重要性に意見が集まった。
 また、世界各地に暮らす在外コリアン社会の独自性を大事にし、ちがいを生かしあいながら、多様性を豊かさに変えられるコリアンコミュニティの創造にも関心が高まった。
 この大会は韓国政府の在外コリアン政策を統括する外交部傘下の在外同胞財団が主催し、在外韓人学会が企画した。当センターから金光敏(キムクァンミン)事務局長が招待された。(2014.11.13)

国際人権法学者でマイノリティの人権保障運動のリーダー 故金東勲先生を偲ぶ会

 龍谷大学名誉教授で、国際人権法学者として国内外で活躍された故金東勲(キムドンフン)先生の生前の姿を偲ぶ会が9月26日、大阪市内で開催されました。
 金東勲先生は韓国人としては初めて国際人権法で博士号を取得され、日韓はもちろん国連にも活動の場を広げられ、国際人権の趣旨の啓発に取り組まれた。その法論理は在日コリアンの人権保障運動の礎にもなり、マイノリティの人権保障運動のリーダーとしても大きな存在感を示されました。
 とりわけ、民族教育促進協議会(民促協)の発足以来10年間にわたり代表を務めたほか、(財)アジア太平洋人権情報センターの初代所長として要職を担われました。当コリアNGOセンターの発足にあたっても、顧問を引き受けてくださり、取り組みの今後に大きな関心を傾けてくださりました。
 今年5月に亡くなられた金東勲先生を偲んでの会では、幅広い人々が駆けつけ、生前の金先生の思い出話を花を咲かせながら、金先生の意志を継ぐことを語り合いました。(2014.09.27)

韓国重要無形文化財パンソリ名唱南海星先生と在日3世の安聖民さんの師弟公演


 韓国を代表する伝統芸能のひとつパンソリの名唱で、韓国重要無形文化財に指定されている南海星(ナムへソン)先生を招いての公演が9月14日と15日の二日にわたって開催された。
 今回の公演は、南海星先生の愛弟子で在日3世の安聖民(アンソンミン)さんが師匠を招いての公演。齢80に迫ろうとしている南海星先生の海外公演としては最後になるかもしれない、貴重な公演となった。 南海星先生は、パンソリの五大題目のひとつ「水宮歌」の継承者で、8歳で入門、70年の歳月をかけてこの道一筋に歩んでこられた。
 この芸にほれ込み、日本から単身渡韓し、安聖民さんが南一家の門下生となったのは今から14年前。日本に暮らす同胞たちが、韓国伝統芸能を継承することは難しいが、とりわけ、日本語を第一言語とする日本生まれの3世が、言葉、歌唱の比重が大変高いパンソリを身に着けることは至難の業。特に、成人してから弟子入りした安聖民さんにとっては、なおのことを困難な挑戦であった。
 「水宮歌」は竜宮城の竜王が病にふし、それに効くとするうさぎの肝を得るためすっぽんを陸上へ送るというストーリー。中国、朝鮮、日本に、それぞれの特色を出しながらも、今に伝わる伝来童話でもある。物語はユニークに富み、豊かな表現法で海の中を、陸の上を表し、生きることの悲哀を描く名作だ。
 今回の公演では、この名作が惜しみなく舞台で披露され、南海星先生はもちろん、重要無形文化財の称号を将来的には引き継いでいくことになる一線の弟子たちが、巧みなソリ(声)で両日ともに満杯となった観客を完全に魅了していた。
 安聖民さんは日本におけるパンソリ継承者の第一人者として活用領域を広げつつあるほか、韓国でもその実力が徐々に評価を受けつつある。来年には韓国文化庁が行う「履修者」の資格試験に臨む予定だ。「履修者」は重要無形文化財技能保有者になるために欠かせない国家ライセンス。在日3世の安聖民さんがパンソリで「履修者」の資格を得るとすれば画期的なことだ。南海星先生は安聖民さんに太鼓判を押している。
 14日の公演はエルシアター(大阪市中央区)で800席を埋めつくし、15日には国立民族学博物館の大講堂に450名を集めて公演は披露された。
 この公演の主催は実行委員会、共催に駐大阪韓国総領事館韓国文化院が名を連ねた。事務局はコリアNGOセンターにおかれた。
 これからの安聖民さんの活動に期待をしたい。(2014.09.26)

在日コリアンの人権運動の支柱、龍谷大学名誉教授の金東勲先生が逝去される

故・金東勲先生
 去る5月末に、龍谷大学名誉教授で国際法学者としても知られる金東勲(キムドンフン)先生がご逝去されていたとの報が伝えられた。享年79歳だった。すでに近親者で葬儀等は終えられている。  1934年に韓国の忠清北道に生まれた金東勲先生は、勉学を志して日本に渡られ、苦学して京都大学で学ばれた。1974年に法学博士を修めた後、大阪経済法科大学、そして龍谷大学で教授を務められた。
 日本国内における人権尊重の社会づくりに、国際人権法の理論が重要であることを早くから提唱され、人種差別撤廃条約の日本語訳を最初に試みられ、日本政府の批准に重要な役割を果たした。
 また、国際人権の視点を日本国内の人権教育や人権啓発に生かす専門機関として発足した(財)アジア太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)の初代所長を務め、研究者としての肩書きだけでなく、社会運動のリーダーとしても幅広い人々から厚い信頼を集めた。
 大学を定年で引退されたのち、韓国と日本の間を行き来しながら研究活動を続けておられたが、癌を発症し、晩年は主に韓国で療養生活を送られていた。臨終も韓国で迎えられた。
 金東勲先生は、(特活)コリアNGOセンターの発足時に顧問として参画してくださり、在日コリアンの後進の育成にも深い愛情を注がれ、とりわけ、民族教育の制度保障には格別の思いを傾けられた。
 金東勲先生の研究と実践は、日韓両国の人権保障のさまざまな分野で大きな礎となり、現在に引き継がれている。その功績は計り知れない。ここに金東勲先生の意志を継承し、さらにすべての人が人権尊重される社会の実現に向け努力していくとの堅い決意を固めたい。
 当センターのスタッフ一同、故金東勲先生のご冥福を心よりお祈りします。(2014.07.06)

東北アジアの民族教育従事者、一堂に

中・ロ・日から民族教育従事者が出席
 中国、ロシア、日本に暮らす同胞(コリアン)たちの民族教育の活性化について議論するセミナーが1月21日と22日、韓国京畿道坡州市で行われた。
 このセミナーは京畿道教育庁が主催し、中国東北3省から朝鮮族が通う学校関係者、またロシア沿海州から高麗人(在ロシア同胞)教育の関係者らが参加し、日本からも白頭学院、コリア国際学園、そして民族学級従事者として当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が出席した。
 在日コリアンを代表して発表した金事務局長は、韓国が在外コリアンの民族教育に関心を持つことは大事なことと評価した上で、韓国が支援する民族教育が「韓国化」を前提とするものであってはならず、また、民族的アイデンティティの形成に多様性は不可欠で、それぞれの地域の歴史性や固有性を尊重した教育ネットワークの支援となるよう求めた。
 京畿道教育庁では3年前から東北アジア地域の民族教育支援に取り組んでおり、子どもたちとの交流事業や、教材の寄贈などを続けている。日本には昨年1月、道議会議員らが大阪を訪問、民族学級などの現場を視察し、関係者との交流を行なった。
 どの国や地域のコリアンコミュニティも教育問題が重視されており、次世代育成に力が注がれている。一方、緊張状態が続く東北アジアの各地に根を下ろして暮らすコリアンたちが、平和と人権の架け橋をめざすネットワークづくりはとても重要でそこに子どもや教育の視点は有効だ。
 当センターも発足以来、東北アジアのコリアンネットワークに取り組んでいる。南北コリアの統一を含めこうした草の根ネットワークが「平和」「協力」「和解」の時代を切り開く日をめざして、今後とも持続的な取り組みが必要だ。
 来年は中国でのセミナーが検討されることになった。(2014.01.27)

韓明淑元国務総理を囲んで懇談会が開催される

韓明淑・元国務総理
 慮武鉉(ノ・ムヒョン)政権で国務総理を務めた韓明淑(ハン・ミョンスク)国会議員が来阪し、当センター主催で懇談会が7月25日、大阪市都島区で行われた。
 韓元総理は、神学や女性学を学び大学講師として教職につきながら、社会団体のリーダーとして女性の権利擁護、社会正義の実現に取り組んできた。朴正煕政権時代(1960年から1979年まで)には軍事独裁体制に対抗して民主化運動に取り組んだことから、投獄された経験を持つ。
 金大中政権時代に初めて国会議員に選出され、慮政権で女性部長官、環境部長官を歴任し、第37代国務総理に任命された。
 現在も国会議員として野党勢力の人格的リーダーとして尊敬を集めている。韓元総理は「日本での極右勢力が在日同胞をねらって、示威行為を行っていることを韓国社会も憂慮している。私たちも韓国政府に現状をしっかり伝えたい」と述べた。また、「歴史問題で韓日関係が悪化している。日本政府はヨーロッパから学ぶことを期待したい」と語った。(2013.07.27)

ヤンの会新年会、宴が盛大に開かれる

宴を締め括る梁石日さんのスピーチ
 作家の梁石日さんを中心にした親睦会「ヤンの会」の新年会が1月28日、金守珍さん率いる新宿梁山泊の芝居砦・満天星で開かれ、100名近くの人が集まった。
 1980年代、文化人を中心に各方面で努力を傾ける新進気鋭の在日同胞2世たちが梁石日さんを慕って集まりできた自発的なネットワーク。梁石日さんが彼ら/彼女らの活動を文字通り支援したことが、いまその分野で確固たる地位を占めている数々の著名人を生み出してきた。そのヤンの会が、昨年梁石日さんの喜寿祝賀会を契機に10数年ぶりに復活した。
 この日は、韓国通で有名な女優の黒田福美さん、ミュージシャンで俳優としても人気の高い白竜さん、TVのコメンテーターで有名なコリアレポートの辺真一さん、映画プロデューサーの李鳳宇さんをはじめ、実に多数の有名人が出席し豪華な顔ぶれとなった。会の冒頭で、当センター代表理事でもある鄭甲寿・財団法人ワンコリアフェスティバル代表理事から、ヤンの会の経過報告と今年の計画について説明がなされた。
 余興として、新宿梁山泊の次回作「ロミオとジュリエット」の1シーンが披露されたり、パギやんこと趙博さんのミニライブ、さらに白竜さんも歌を2曲披露してくれ、会場の熱気は最高潮に達した。
 梁石日さんがこの日の宴を締め括る挨拶で「こういう時代だからこそ、在日がそれぞれ孤立するのではなく、集まり共に協力し合うことが大切だ。この会がそのための場となることを願う」と語った。ヤンの会は、次回4月に開かれる予定とのことだ。(2013.01.30)

朴一大阪市立大学大学院教授が韓国政府から国務総理褒章を叙勲

 当センターの前理事で、現在評議員を務める朴一(パクイル)大阪市立大学大学院教授が、韓国政府から2012年度の国務総理褒章を叙勲し、その祝賀会が12月8日、大阪市北区のホテル阪急インターナショナルで開催された。韓国政府による在日社会に対する褒章は、韓国民団などの団体従事者の功績が称えられて授与されることが多いが、朴一教授の多分野にまたがる活躍が認められての叙勲となった。この日の祝賀会には、朴一教授と親交のある約100名が集まった。
 祝賀の挨拶に立った作曲家で自らも日本レコード大賞功労賞の受賞が決まった中村泰士さんは「彼とは長い付き合いではないが、初めて会ったときから心触れ合うのを感じた。日本とアジアの関係が難しい時代であるがゆえに、私たち文化人が活発に交流する必要がある。そのときに朴さんにますます力を貸してほしい。」と語った。
 また、学生運動時代の先輩で開成教育セミナーの代表取締役でもある金明弘(キムミョンホン)さんは、「年代で言うと少し下にはなるものの、学生運動のリーダー的存在だった」と述べ「朴一さんが立派な方であるのは言うまでもないことだが、在日社会に大きな功績を遺した素晴らしいアボジのことも同時にお知りいただきたい。」と語った。
 朴一教授は参席者や家族への感謝の気持ちを述べながら、「韓日関係がいかによくなるべきかということに最も大きな思いを持って発信をしてきた。それは私のライフワークでもあり、その部分においては相手が誰であろうとしっかりと意見を述べて行きたい。今日の叙勲は驚きであり、もらっていいのだろうかと迷ったが、これがきっかけになり、論じ合っていける人々との関係ががさらに広がっていければと思う。」
 当センターからも代表理事3名と事務局長が出席した。祝賀会では、朴一教授の新書「日本人と韓国人「タテマエ」と「ホンネ」‐韓流知日を阻むもの」が参席者に送られた。(2012.12.15)

現場の声に耳を傾けて、在日次世代リーダーとの韓国国会議員が懇談

懇談会で基調講演する李明洙議員
 フォーラム開催のために来日した平和問題研究所のメンバーと韓国国会議員による在日の現場活動家との懇談会が11月16日、大阪市中央区で開催された。研究所が主催するフォーラムの開催にあたり、セヌリ党の李明洙(イミョンス)国会議員も同行来日していた。滞在期間中、現場活動に従事する在日同胞の次世代リーダーたちと懇談したいとの提案を受け、約20名が懇談会に集まった。
 懇談会では、在日同胞社会の福祉、教育、青年交流の立場から現場での苦労や展望などを出し合い、李議員をはじめ研究所の役員たちと意見交換した。李議員は「現場の声を聞かせていただき、刺激を受けた。聞いた内容をぜひ議会活動の中で生かしたい」と述べた。
 また、研究所の申榮錫(シンヨンソク)副理事長は「聞かせてもらったすべての課題や要望、そのひとつひとつが重要だとの認識を持った。ただ、いっきに解決することは難しいので、持続的に関心を持ってみなさんと交流していきたい」と語った。
 この懇談会は当センターがコーディネートした。(2012.11.18)

韓国朝鮮専門書販売『ソウル書林』30周年で安淑善さんが熱唱

安淑善さんによるパンソリ
 韓国朝鮮問題の専門書のみを扱った書店『ソウル書林』が2012年10月28日、創設30周年を迎え記念公演会を大阪市東成区で開催した。
 ソウル書林は、1965年の韓日条約に反対し、韓国で民主化運動に携わった李慈勲社長が、朴正煕政権による政治的弾圧から逃れるために渡日し、生計を立てるために始めた書店。当時としては入手が難しかった韓国朝鮮問題の関係書のみを扱い、日本国内の韓国朝鮮問題研究家を支え、在日同胞の民族意識の涵養に大きな役割を果たした。
 記念公演では、パンソリ唱者として絶大なる人気と評価を受ける韓国の安淑善さんを招き、つめかけた500人を魅了した。李社長は、韓日問題の研究促進に引き続き役割を果たしながら、在日同胞社会の活性化に寄与したいと語っている。(2012.11.07)

関西に暮らす在日中国朝鮮族同胞たちが交流運動会!

 関西地域の中国出身の朝鮮族同胞たちの交流親睦団体である在日本中国朝鮮族関西友好会が10月7日、大阪市生野区の今里新地公園で運動会を開催した。
 現在、日本に中国出身の朝鮮族が5万人から6万人いるといわれている。関西地方にも留学や商用をはじめ、すでに日本での定着をめざす人々などが各分野に進出し活躍している。これまで中国朝鮮族同胞たちによる自主団体は結成されていなかったが、ウェブサイトを使った交流は活発に行われていて、7日の運動会もインターネットを通して呼びかけられ、100人あまりが集まった。
 運動会は今年で3回目の開催。過去2回の成果をもとに、昨年11月に親睦交流をめざす友好会を発足させ、今回から友好会が主催した。
 在日する中国出身朝鮮族同胞たちの多くが、中朝日の3ヶ国語を使い、今後東北アジア地域の文化、経済を牽引していく重要な役割を果たして行くと見られる。
 友好会理事長のソンウンファさんは運動会の開会式で、「3回目をこうして開催できることをうれしく思います。協力してくださった関係団体に感謝を述べながら、普段、忙しくてあまり交流できない在日朝鮮族同胞が互いに出会い、助け合える関係づくりを進めましょう。」と呼びかけた。
 この運動会には、在日コリアン団体では唯一当センターが協力団体として関わった。挨拶に立った金光敏(キムクァンミン)事務局長は「在日コリアンと朝鮮族同胞たちが今後活発に交流し、豊かなコリアンコミュニティの形成に努力し、東北アジア地域の平和づくりに協力していきましょう」とエールを送った。
 当センターでは中国出身朝鮮族同胞社会との積極的な交流を進めていく考えだ。(2012.10.13)

在外コリアンの国政選挙に関するセミナーが開かれる

玉造の「さんくすホール」にて開催
 今年から韓国国籍を持つ在外コリアンの国政参政権が認められ、4月の国会議員選挙では実際の投票もおこなわれた。2012年12月には大統領選挙も予定されるなか、4月の総選挙を振り返りながら、改めて在日コリアンと国政選挙権について議論を深める場として、7月21日、大阪市内でセミナーが開催され、約40人が参加した。
 このセミナーは、在日韓国人本国参政権連絡会議、在日コリアン青年連合、コリアNGOセンターの三者が主催し、講師には在日コリアンで韓国・弘益大学で政治史を教えている金雄基助教授をお招きした。
 講演で金雄基さんは、「在日コリアン社会の中では、複雑な制度の問題や、情報不足もあって、積極的にどう活用するかの論議が不十分だと言わざるをえないが、国政選挙権の実現は在日にとっては、本国における『無権利状態』から初めて脱却できる、いわばパラダイム・シフトと捉えるべき」とその意義を強調した。またこれまでの国政参政権実現の経緯を振り返りながら、「在日コリアンが問題提起し、海外・国内の同胞たちと連帯して実現してきたもの」と語った。
 そして、4月の選挙の投票結果について「全体の投票者が56,456人のうち、米国は10,293人、日本は9,793人、中国は7,876人で、日本での投票動向が全体のうちで決して低いわけではない」と分析した。また大陸別では、アジアが28,218人、米州が17,053人、欧州が7,642人となり、今後の在外コリアン政策にとって、アジアが極めて重要な地域となっていることが強調された。
 最後に、大統領選挙をひかえ、在日コリアン社会でも、どのような政策を期待し、実現したいのかを韓国社会に直接伝え、その実現のための機会として積極的に活用していくべきと訴えた。 (2012.7.25)

2012ハンマダン in大阪-楽しもう韓日文化-が快晴の中、開催される

NANTAも来阪、出演した
 韓日の文化交流を進めるイベント「2012ハンマダンin大阪」が5月27日、大阪城公園太陽の広場で開催された。今年は、世界各国で高い評価を集めている韓国のパフォーマンス集団のNANTA、新人韓流アイドルグループ、学校法人白頭学院建国中高校の伝統芸術部による公演などが開催され、名実にともに韓国文化を満喫できるイベントとなった。また、伝統和太鼓の公演なども披露され、在日コリアンが多く暮らす大阪らしい韓日文化が花咲く行事となった。
 この行事は韓国民団をはじめとした実行委員会が主催し、駐大阪韓国総領事館、大阪府などが後援した。(2012.5.29)

南北朝鮮と在外同胞・コリアンディアスポラの生活文化に見る共通性とは

第一部「コリアン生活文化の比較分析」
 去る5月19日、韓国・建国大学校で「疎通・治癒・統合の統一人文学 第9回国際学術シンポジウム -コリアンの生活文化の共通性と生活文化の統一」が開催され、パネリストとして当センターの金朋央・東京事務局長が発題した。
 主催となる同大学・統一人文学研究団は、“理念と制度のみの統一を超えて、価値や情緒、文化を合わせた人間の統一”を掲げて、2008年に結成された。2010年より進めている「民族共通性プロジェクト」では、海外に散在するコリアン・ディアスポラのうち在日、在中、在ロ同胞に対して、さらに現在南に住む北出身の同胞(「北朝鮮離脱住民」)にも、政治や経済、民族文化等に関するアンケート調査を実施、その回答の分析を行なった。当センターは、在日同胞に対するアンケート回答を集める現地協力者としての役割を担った。その分析結果を発表する場として、今年3月と4月にそれぞれシンポジウムを開いており、今回はその締めくくりとして開かれたもの。今回の主テーマは生活文化についてで、言語や風習、民族教育の現況についてそれぞれ報告がなされた。
 第二部のラウンドテーブルでは、当センター東京事務局長のほか、中国延辺、ロシア沿海州から招請した研究者から、各々の同胞社会における生活文化について報告があった。とくに延辺から参加した許永吉・延辺博物館近現代史研究部主任は「中国朝鮮族にとって、言語(韓国語/朝鮮語)は必須な要素だ」と語り、ロシア沿海州高麗人民族文化自治会の金バレリア氏も強く同意を示した。
 第三部では、ドイツ統一後の東独のアイデンティティに関する報告がなされ、朝鮮半島における南北の生活文化の現実と統合方向について議論を行なった。
 今回のアンケート結果を基にした研究論文集(計4巻)が、5月末に発刊するとのことだ。(2012.5.23)

21年前の世界卓球選手権の感動を再現~韓国映画「KOREA」の試写会が千葉で開催

舞台挨拶する主演のハ・ジウォンさん(右から3人目)、右隣がペ・ドゥナさん
 1991年千葉県幕張で開催された世界卓球選手権に、史上初めて南北朝鮮の単一チームが出場し、優勝した実話をもとにした映画「KOREA」(ムン・ヒョンソン監督)の特別試写会が4月20日、千葉市民会館大ホールで開催された。
 映画は実話にもとづき、分断という現実から生じるさまざまな葛藤や制約の中で、南と北の選手たちの間に生じた友情を描いたもの。この試写会は、映画製作の話を聞いた在日コリアンの有志が企画し、千葉市からの大きな後援・協力を得られる形で実現した。この日は、ムン監督のほか、主演のハ・ジウォンさん、ペ・ドゥナさんらが来日し舞台挨拶するとあって、千葉市民や在日コリアンらで1000人収容の会場がほぼ埋め尽くされた。熊谷俊人・千葉市長も出席し、挨拶。上映中は、前半は笑い声が、後半は涙をぬぐう音がたえなかった。
 “元祖韓国通”と自己紹介された女優の黒田福美さんが司会をつとめ、当時統一チームの選手として出場し、韓国のヒョン・ジョンファ選手も舞台挨拶に登場した。そのヒョン・ジョンファ選手役を演じたハ・ジウォンさんは、挨拶で感極まり言葉を詰まらせるシーンもあった。南側監督役をつとめたパク・チョルミンさんは、コミカルな動きとユーモアたっぷりのコメントで会場の爆笑を誘いながら、最後は「私たちみんなにとって共通していることは、ワンコリアだということ」と締めくくった。
 この映画は、先立ってソウルで試写会が行なわれ、5月3日から韓国で公開される。(2012.4.25)

韓国国会議員選挙、初めての在外投票!

 来る4月11日に実施される韓国国会議員総選挙で初めて導入される在外国民投票が2日、海外の各公館で締めくくられた。
 韓国中央選挙管理委員会によると、法律で設けれた在外国民選挙期間は、3月28日から4月2日まで。世界107か国158の在外公館に12万3571人が有権者登録を行った。一方、登録有権者のうち実際に投票したのは、暫定投票率で44.83%と低調で、50%を下回ったことが明らかに。
 国別の投票率を見ると、日本が52.57%と世界で最も高く、アメリカ42.57%、中国32.88%と続いている。全体の投票者数は、約5万5000人で、在外国民の投票が可能な有権者は223万人、その2.48%に過ぎなかった。
 今回の在外国民投票では投票先が大使館、領事館に限られていること、さらに選挙のたびに選挙人登録が必要なことなど、その方法をめぐっては在外コリアン社会の生活実態からかけ離れているとの指摘が多数寄せられている。また、投票に必要な各政党などの公約についてもほとんど広報されておらず、関心が広がらないまま、国会議員選挙の在外国民投票は終了した。新しく構成される国会において関係法の改正が争点のひとつになりそうだ。 (2012.4.3)

韓流を詩で紐解く『金希姃さんと詩で学ぶハナ韓国語』出版記念会が開催される

『詩で学ぶハナ韓国語』
テグム演奏(左が著者の金希姃さん)
 ワンコリアフェスティバル実行副委員長で、ハナ文化交流センター代表の金希姃(キムヒジョン)さんが、『詩で学ぶハナ韓国語』を出版した。金さんは韓国の在外同胞文学賞詩部門で優秀賞を受賞し、韓日のはざまに生きる自らの体験などを情感を込めた独特の視点で歌い上げた作品で評価をあびている。それら作品を初詩集『あなたに愛を問う』にまとめ文壇デビューも果たしている。
 韓流ブームが巻き起こる中、大衆芸能文化ばかりではなく、韓国の情緒を幅広く知ってもらい、韓国語学習にも役立てて欲しいと出版された『詩で学ぶハナ韓国語』では、韓国で広く愛される尹東柱(ユンドンジュ)詩人や都鐘煥(トジョンファン)詩人などの作品を紹介しながら、韓国語学習に取り組む人々にもわかりやすく言葉、文法の解説などを加えている。
 去る3月31日に、その出版記念会が大阪市北区の大阪韓国文化院で開催され、約100名の人々がかけつけ、金希姃さんによる朗読などが行われた。また、テグム奏者のイ・チャンソンさんが素晴らしい演奏と伝統芸術家ヨヨンファ先生らが舞踊で場を盛り上げた。
 『詩で学ぶハナ韓国語』は定価1000円。在庫が少なくなり、増刷を検討しているという。(2012.4.3)

『朝鮮半島とコリアン・ディアスポラ』研究に関連するアンケート調査に、ご協力ください!

設問調査(アンケート)の概要

 韓国の建国大学校にある「統一人文学研究団」という研究グループが現在、在日同胞を対象にしたアンケート調査活動を行なっています。同研究団から当センターに依頼があり、日本での実務担当を当センターが担うことになりました。
 本設問用紙にある設問項目は全て統一人文学研究団が作成し、日本語に翻訳したものとなります。日本における回答収集に関して、(特活)コリアNGOセンターが協力を行なっております。
 対象は、いわゆるオールドカマーの在日同胞の方となります。年齢、国籍(韓国、朝鮮、日本、その他)は問いません。
 300名の方からの回答を集める予定です。居住地や年齢、性別など、できるだけ幅広い方からの回答を集めたいと考えています。
 何卒ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。 (2011.11.11)

ご協力下さる方へ

*アンケートの募集は終了しました。おかげさまで300部以上のご回答を頂きました。ご協力下さった皆さま、ありがとうございました。

統一人文学研究団の紹介

 「統一人文学研究団」は2008年、建国大学校の文科学部内にできました。同研究団が説明するには、既存の統一問題関連学科と異なる点として、
1)従来の統一問題研究が政治的、経済的制度統合を中心に進められたのに対して、統一人文学研究団はその研究成果に基盤を置きながら「人間の統一」、すなわち価値観、情緒、生活文化の違いや共通性に関する研究を進めることを重視する、
2)民族統一が、朝鮮半島の南北が一つになる過程として理解するのではなく、朝鮮半島に住む者と世界各地に散在するコリアン・ディアスポラと共に考え行動する未来志向的過程として捉えている、
の2点を挙げています。
 そういう目的意識を持ちながら、2010年秋より『民族共通性プロジェクト』を開始しており、その一環として、中国、ロシア、そして日本に住むコリアン・ディアスポラを対象にした設問調査活動を行なうことになりました。



在日中国朝鮮族の交流活発に向けて第二回関西地域中国朝鮮族運動大会が開催

この運動大会は今年で2回目
 留学、就労、結婚など日本に滞在する在日中国朝鮮族たちが、交流を活発化することを目的とする第二回関西地域中国朝鮮族運動大会が10月8日、大阪市生野区の今里公園で開催され、約80名が集まった。
 現在、約7万人いるとされる在日中国朝鮮族だが、彼らの独自のコミュニティ形成は始まったばかり。日本で生活を送る中、住宅や子育てなどさまざまな問題に直面している。その支えあう関係は断片的なものにとどまっており、そうしたことを少しでも改善していくきっかけづくりをめざして、主には関西地域の中国朝鮮族を対象に昨年から開催されてきた。
 当日は、バレーボールやリレーなどの競技が行われたほか、昼食をまじえて相互に自己紹介するなどの交流も図られた。この運動大会を企画し運営する大阪府立大学大学院生の金花芬(キムファブン)さんは、「在日中国朝鮮族の実態調査に取り組んだ際、生活に多くの課題を抱えている同胞たちの姿を知りました。そうした人々の支えあう関係づくりにつながればと考えいます。また、こうした取り組みを通して日本人や在日コリアンとの交流も深まることを期待しています。」と述べた。当センターも協力団体として名を連ね、運動器具などの提供を行っている。(2011.10.11)

在日経済人らも韓国の在外国民投票に関心!

 在日コリアン経済人や法律家などの異業種交流の会であるNPO法人「UGビジネスクラブ」が9月8日、定例会を大阪市中央区で開催し、当センターの代表理事の林範夫(イムボンブ)弁護士を講師に招き、来年から始まる韓国の在外国民選挙について勉強会を行なった。
 林弁護士は、来年4月に予定されている韓国の総選挙、そして12月に予定されている大統領選挙に関わり、在外国民が投票に参加できるにいたった経過などを説明し、ビジネスクラブの会員も、できるだけ積極的に参加することをよびかけた。(2011.9.12)

KEY結成20周年、新しいこれからの歩みに期待

当日『KEY20周年宣言』が発表された
 在日コリアン青年連合(KEY)が結成から20年の節目を向かえ、これまでの活動を振り返るとともに、これからの10年を展望する記念行事を7月17日に開催した。大阪市中央区のエル大阪で行われた記念行事では、記念シンポジウム、記念式典、そして記念パーティーが開催された。記念シンポジウムでは、KEYの役員のコーディネーターに、尹健次(ユン・コンチャ)神奈川大学教授、金宣吉(キム・ソンギル)神戸定住外国人支援センター理事長、韓東賢(ハン・ドンヒョン)日本映画学校准教授、当センターの金光敏(キム・クァンミン)事務局長がパネリストとして登壇した。
 記念式典では、KEYが在日韓国青年連合として発足した1991年からの写真を映像とナレーションで語る映像上映や、関係機関からの応援挨拶、また、20周年を向かえての宣言文の読み上げなどが行われた。
 会場には、青年団体らしく20代30代の青年らが埋め尽くし、発足20周年を迎えてさらに躍動的に活動を繰り広げるKEYの勢いを感じさせる集会となった。(2011.7.25)

在外国民投票をめぐって韓国で議論加速化

韓国国会議員会館にてセミナーが開催
 2012年の総選挙から海外選挙が可能になった韓国で、在外同胞政策が国政の中心に浮上しはじめている。6月13日午前、韓国の国会議員会館において在米コリアンなどが主導する在外同胞政策フォーラムが「在外国民、投票参与が力だ」と題するセミナーを開催した。
 討論では、いまだ確定していない在外投票方式について活発に議論が展開された。選挙管理委員会は公平公正を優先することを方式確定の中心に据えているが、投票所となる海外公館の数に限りがあるため、投票者が飛行機に乗って投票所に赴かないといけないなどのケースもあることから、出席者からは投票者の利便性を優先し、巡回型投票所設置を求める声が出た。また、在外二世、三世たちのために投票資料の現地語翻訳が必要だとの意見も出された。
 2012年4月に総選挙、同年12月に大統領選挙が実施され、在外コリアン(韓国国籍を有する人々)も投票できることになる。 (2011.6.22)

民族団体も被災地に支援グループを派遣

 朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」によれば、朝鮮青年同盟の会員らが16日、福島市や仙台市の朝鮮学校に入り支援物資を手渡したほか、北海道本部も支援物資を海路と陸路で岩手に届けた。また、兵庫県本部からも支援隊が17日朝に出発し、本格支援に乗り出す。
 一方、韓国の緊急救助隊102名が14日に現地入りし、救援活動に取り組んでいるが、救助隊が現地に入るための車両提供を民団山形本部が確保したほか、民団中央本部は、支援ボランティアを募り、体制が整い次第現地に派遣するとしている。
 両団体ともに、中央本部に対策本部が設置され、広く義援金を募っている。(2011.3.18)

被災地域におけるコリアン住民の安否も難航

 韓国KBSの報道によると、茨城県の工事現場で働いていた韓国人男性1人と朝鮮籍の在日男性1人の死亡が確認されたと報道した。今回の地震でコリアンの死亡確認はこれが最初だ。駐広島韓国総領事館によると、2人は広島の建設会社職員で、地震発生当日の11日、茨城県の火力発電所建設現場で煙突の増設工事中だったという。二人は他の職員らと墜落死したと見られている。
 東北地方の韓国民団や韓国商工会議所も韓国人の安否に懸命だ。福島韓国商工会議所は14日、連合ニュースのインタビューに答え、「福島県には、朝鮮籍を含め在日韓国人が3000人居住している。死亡者はまだ未確認だが、行方不明者は50人にのぼっている」と述べた。また宮城韓国商工会議所は、「津波が押し寄せた地域に住む韓国人住民70世帯のうち、60世帯200人の安否ががいまだ不明だ」と答え、在日本大韓民国民団岩手県本部も「岩手県には1100人の韓国人が居住しており、安否確認に全力をあげている。」と話した。在日コリアンの中には日本名を名乗る人が少なくないため、警察発表だけでは韓国人かどうかの確認は難しく、消息不明者の所在確認は難航している模様だ。(2011.3.16)