コリアNGOセンター国際交流・協力/市民社会の発展

米国総領事館から領事ら来訪  韓日関係や参議院選などについて意見交換


 大阪・神戸米国総領事館のコリン・フィシャウィック政治経済担当領事が7月26日、コリアNGOセンターの事務所に来訪した。
 当センターと米国総領事館は、国務省が議会に提出する報告書に、ヘイトスピーチの実態をリポートするため、訪問を受けたのがきっかけで交流が始まり、以降不定期でさまざまな課題や社会情勢について意見交換を続けている。
 今回は、総領事館にインターンとして勤務するアンダーソン・ハナさんを帯同して来訪し、意見交換では、母親が日本人で長崎にルーツがあるというハナさんからの質問にも答えるかたちで懇談が進められた。
 フィシャウィック領事は最近の韓日関係や過日の参議院選の結果について興味を示し、私たちが選挙結果から自民党内のリベラル勢力の衰退と排外的な主張を繰り返す政治団体が比例から国政進出した事実に懸念を表明すると熱心にメモを取りながら聞いていた。
 一方、重度障害者や性的マイノリティであることを明らかにする議員が国政に増えたことにも注目したいと伝え、日本の議会もアメリカ議会のように多様な議員で構成されていくことに期待したいと説明した。
 韓日関係について、政治や既存メディアがこぞって韓国批判に躍起になっているが、若い世代から韓国のポップカルチャーが幅広い支持を集めていることや、それに同調するかのように経団連が日韓経済交流は引き続き深めていくと表明したことを高く評価したいと話した。
 日米交流の深化に当センターも役に立てるよう、今後とも在日米国公館の取り組みに協力していく考えだ。
 この日来訪したのは、コリン・フィシャウィック領事、アンダーソン・ハナ研修生に加え、日米交流の要を担う難波泰弘総領事館政治経済担当事務官が随行し、当センターから郭辰雄(クァクチヌン)代表理事、金光敏(キムクァンミン)事務局長が応対した。 (2019.07.27)

韓国から中学生たちが大阪市の学校を訪問  言葉わからずとも心で通じて

 韓国忠清南道の海美中学校から来た生徒ら15名が5月17日、大阪市立東中学校を訪問し、交流授業に取り組んだ。
 この交流は今回で4回目。韓国から来た生徒らの海外研修の機会として、日本文化の体験をテーマに続けられてきている。
 東中学校では歓迎セレモニーを準備し、4学級ある各クラスに韓国からの生徒を迎え入れて午前中の半日をともに授業、休み時間、ランチタイムで交流を深めた。
 例年のことながら、当初は緊張した様子だったが、身振り手振り、英語、中には韓国語の簡単会話で意思疎通をはかりながら、徐々になじんでいくと、しだいに笑顔が溢れ、優しく触れ合う姿となった。
 韓日関係が戦後最悪と言われるなか、それを超越するかのように深められていく生徒らのバイタリティには多くの大人たちが感銘させられた。当センターが橋渡し役となってコーディネーターを務めたが、こうした活動をこれからも地道に続けていきたいと考えている。 (2019.05.20)

African American history month アメリカ総領事公邸での記念イベントに出席

左から金光敏事務局長、林範夫代表理事、Karen Kelley総領事
加治木一彦大阪府議会議員、飯田健同志社大学准教授
 アメリカとカナダでは毎年2月をBlack history monthと定め、African diasporaの歴史における重要な人物や出来事について学んだり、振り替えるよう呼び掛けている。この取り組みは、1926年にアフリカ系アメリカ人の歴史家カーター・G・ウッドソン博士が宣言したことが始まり。黒人解放に尽力したエイブラハム・リンカーンとフレデリック・ダグラスの誕生日が2月にあることが由来だ。
 当初の目的は、学校教育でアフリカ系・アメリカ人の歴史を整理し、教えることを提唱したものだったが、この動きに呼応したさまざまな団体や個人、そしてメディア、自治体などにより全米へのキャンペーンへと広がった。1976年の建国200年祭に合わせ、フォード大統領は月間を承認、その宣言のなかで「われわれの歴史を通して、あまりにも軽視されてきたあらゆる分野におけるアフリカ系アメリカ人の業績をたたえる機会を得るように」と訴えている。
 このキャンペーンに合わせ、在大阪神戸アメリカ総領事館が2月26日、総領事官邸で記念レセプションを開催し、当センターから林範夫(イムボンム)代表理事と金光敏(キムクァンミン)事務局長が招待され、出席した。
 自らもアフリカ系であるKaren Kelley総領事は開会挨拶で総領事館主催でこの行事を持つことの趣旨を説明し、ともにアフリカ系アメリカ人の歴史に触れほしいと語った。レセプションは、大阪で活躍するSandi・Blairさんのジャズで始まり、素晴らしい歌声に招待客らは魅了された。後半はアメリカ合衆国の南部地域を中心にした料理が並ぶビュッフェを食べながらの懇親となった。
 当センターとアメリカ大使館、総領事館は、マイノリティの人権擁護などのテーマで連携がある。私たちも草の根日米交流に今後も貢献していきたいと考えている。 (2018.02.26)

アジアの社会リーダーとの対話 平和、人権の国境を超えるネットワークを

 アジア各国の社会リーダーを迎えた「アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム」が2か月にわたり日本国内で取り組まれている。このプログラムは、日本政府の外郭団体、国際文化会館と国際交流基金が共催し、アジアの多様な人材を日本国内に迎え入れ現地で研修を実施するというもの。今回は、中国、インド、インドネシア、タイ、ベトナム、日本、ASEANから研究者、政策企画者、ジャーナリストらが参加している。
 このプログラムの一環で9月28日に生野コリアタウンを一行が来訪した。当センターの金光敏事務局長が応対し、地域見学のほかに、在日コリアンの現状、多文化共生に向けた課題について説明をした。
 生野コリアタウンの見学では、地域を回りながら、市場や地域の在日コリアン集住地域に触れももらったほか、在日コリアンの食文化や衣装文化などについて解説した。
 また朝鮮学校にも立ち寄り、北朝鮮問題を理由に公的援助が遮断されている現状から、厳しい状況に置かれている在日コリアンの民族教育について話した。
 地域見学を終えて懇談会を開催。在日コリアンの国籍問題、社会保障、さらに多文化共生を進める上での課題について意見交換した。
 参加者からは、在日コリアンと北朝鮮との関係、金事務局長に日本国籍を取得しないのかなどの率直な質問があり、幅広い交流の機会となった。
 日本政府関連の海外人材の研修に、生野コリアタウンを訪問地に選んだことは意義深い。地域に根差しながら国境を超える発想をもち、さまざまな人々と対話し、社会を創造していくことの大切さを実感させた。さらに交流が広がることを期待したい。(2017.09.28)

フランス教育格差の実情報告  日本との比較でこれからの視座に

会場からも様々な質問が出された
ファビアン・トゥルオング教授
 「今年大領領選挙を控えているフランスもまた格差問題が教育に大きな影を落としている」。パリ第8大学からファビアン・トゥルオング教授を招いたインタビューが2月4日、大阪市北区で開催された「ワンワールドフェスティバル」の企画として実施され、当センターの金光敏事務局長が聞き役となった。
 インタビューでは、都市と地方の格差が広がり、経済的背景や差別の実態を考慮しないまま、個人の自己責任の範疇から教育が語られるフランス社会の現状について聞いた。
 ファビアン教授はもとは高校教員。自らが関わった高校現場の経験をもとに、拡大する教育格差の現実を分析し、「制度教育の大衆化が学びの均質化」を招来し、その目的に教育を通した共和主義の強化があったとし、地域の実情、貧富を考慮せずに推し進めれた大衆化によって格差の要因を生み出したと指摘した。
 「都市と地方の経済、社会接近方法への格差が顕著となり、疲弊した地方が、フランス社会の負担を拡大しているとの見方が強くなっている。しかし、地方にはフランスのかつての旧植民地出身者、労働力として便宜的に迎え入れた人々とその家族が暮らしており、地方への偏見は移民社会への差別意識がその要因となっている」と現状を説明。「階層の固定化が進む背景には競争主義の横行がある」とし、「日本国内にもそうした傾向があることは憂慮すべきこと」と警鐘を鳴らした。
 話題は、フランス大統領選挙についても及び、極右政党の台頭について「経済低迷、就職の難しさの中で、排外主義が力を持ち始めていることは深刻なこと」と述べた。これに関して金事務局長は、「社会党のアモン大統領候補が排外主義に対抗し、寛容の旗印を明確に立てたうえで、格差是正にベーシックインカム導入を提案するなど、興味深い動きもある」と質問した。ファビアン教授は「大統領選挙はとても重要な節目になる」と語り、アメリカの動きとも連動して有権者がどのような判断を下すか注目したいと語った。
 ファビアン教授はイギリスに在住し、パリまで毎日2時間かけて出勤しているのだという。ヨーロッパ人の国境を超える日常に、東北アジアとのちがいを感じるが、格差問題、その是正への試みは、今後国際社会の争点となっていくことがさらに予測される。 (2017.02.09)

アメリカ臨時大使公邸でレセプションにIVLP参加者がつどう、今年も在日コリアンが参加

開会にあたり挨拶するハイランド臨時大使

金光敏事務局長とハイランド臨時大使
 1月20日のバラク・オバマ大統領の退任を翌日に控えた19日、アメリカ臨時大使公邸でIVLP参加者らによる交流レセプションがあり、当センター金光敏事務局長が出席した。
 IVLP(International Visitor Leadership Program)はアメリカ国務省が主管する日米交流プログラムで、1952年から日本も加えられ、すでに約2500名が招待されている。昨年、当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が、在日外国人として初めてこのプログラムに招待された。約3週間に渡り移民コミュニティー支援をテーマに5都市を周り、連邦政府や州政府、シンクタンク、大学、支援活動に取り組むNGOなど、幅広い分野の人々と交流した。
 レセプションでは、役割を終えて離日したケネディ大使に代わり、ジェイソン・P・ハイランド臨時大使(首席公使)が主催者として挨拶し「人的交流が最も戦略的事項であり、プログラム参加者が日米の架け橋になることを期待する」と語った。
 今年のプログラムに招待されている参加予定者らとも懇談、金事務局長が訪米中に経験したことなどを語り、渡航準備のアドバイスなどを行った。
 移民コミュニティー支援をテーマとするプログラムは今年も実施される。また、在日コリアンの参加者が引き続き招待された。日米交流の担い手に在日コリアンも役割を果たせることはとても意義深いことだ。 (2017.01.26)

働きながら学ぶ国際交流 韓国ワーキングホリデー説明会に大学生らが集まる


 韓国が日本国籍を持つ若者を対象に活用を呼び掛けるワーキングホリデーの説明会が9月1日、駐大阪韓国総領事館で開催された。この日の説明会では大学生を中心に45名が参加、熱心にメモをとりながら、説明を聞いていた。
 韓国は20か国1地域との間で、1年間に限り働きながら生活体験ができるワーキングホリデーの協定を結んでいる。ワーキングホリデーに参加するためには、管轄する韓国公館で事前申請し、VISAの発給が必要。対象年齢は18歳から30歳までの日本国籍者。VISAの有効期間中は一部を除き就労に制限はなく、単身での渡航が前提だ。
 一方、韓国でアルバイト等の仕事を得るためには一定以上の韓国語能力が元められるため、事前に語学学習を十分にしていくか、渡航直後に語学研修を受けることを勧めている。語学研修機関の中には、ワーキングホリデー滞在者を対象に無料の語学研修コースもあるほか、大学が併設する韓国語研修所も各地にある。大学の併設機関はより専門的に学べるが有料になる。
 日本にもワーキングホリデーに参加する韓国の若者たちの姿を見かけることが増えている。もっとも文化的に近く、馴染みやすい言葉、安全性も高い日韓で若者交流がさらに進むことを期待したい。
 関心のある方は韓国大使館、韓国領事館に直接お問い合わせを。 (2016.09.01)

地域をボトムアップで盛り上げよう  生野区NPO連絡会設立

 生野区内に住所を置くNPO法人が集まり、互いに連携し、地域をボトムアップで支え盛り上げる「生野区NPO連絡会」が7月30日に設立された。
 この連絡会は、専門性のあるNPOが相互にアイデアを出し合い、地域課題の解決に協力して取り組むことを目的としている。集まったNPO多業種。障がい者や高齢者福祉、生涯学習、まちづくり、国際交流など。これまで2年間の準備議論を重ね、少子高齢時代を迎えた地域の草の根ネットワークの発足となった。
 この日の発足総会では、活動趣旨文、活動計画、役員人事などが議論され、すべて満場一致で承認。2年任期の最初の代表に聖公会生野センターの呉光現(オグァンヒョン)さんが、副代表に大阪市難聴者・中途失調者協会の宇田二三子さん、ILDプロジェクトの加藤佳津子さん、フィリスモンテの隅田耕史さんが就任した。その他の役員人事も決定し、当センターの金光敏事務局長も運営委員のひとりに加わった。
 設立総会後には、大阪NPOセンターの副代表理事で、生野区からNPO活動を開始した経験を持つ山田裕子さんの記念講演があった。
 生野区で20年や30年の活動実績のある団体をはじめ、最近区に事務所を構えた団体までほぼすべてを網羅している。パーソナルサポートから大きなまちづくりの課題まで、区民たちの自主的な活動を援助するネットワークとして期待される。
 ちなみに、区内のNPOが全網羅された連絡会の発足は大阪市内で初めてだ。 (2016.07.30)

アメリカ合衆国の独立記念日を祝う会が盛大に  当センターが招待される


 今年で240年の節目を迎えるアメリカ合衆国の独立を祝う駐大阪神戸アメリカ総領事館主催のパーティが7月1日にUSJであり、当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が招待された。
 アレン・グリーンバーグ総領事は、「アメリカ独立の節目の日を迎え、こうして盛大にパーティーを開催できることは極めて光栄なことであり、米日関係がさらに深まることを期待する」と述べた。
 会場には政財界、在関西の各国の総領事館、自衛隊関係者、自治体、学者などが多数かけつけた。多文化共生をめざすNPO従事者の出席者はほぼ当センターのみだった。
 来る8月6日の広島原爆投下の日に合わせ、今年もケネディ大使が広島を訪問し、記念式典に出席するとしている。一方、公務ですぐに帰京しないといけない大使に代わり、アレン・グリーンバーグ総領事が米国政府を代表して、韓国人被爆者慰霊式典への参加を調整していると総領事館の関係者が明かした。忘れられがちな歴史の断面に関心が集まるよい機会となることを期待したい。 (2016.07.01)

米国務省から担当者が来訪  人権問題など幅広い意見交換継続的な交流促進を話題に

奥にSandy Snidet-Pugh政策官と右隣が難波事務官
 米国務省東アジア太平洋局の担当者が6月17日、コリアNGOセンターの事務所を訪問し、ヘイトスピーチをめぐる情勢など幅広い課題について意見交換を行った。
 来訪したのはSandy Snidet-Pugh人権政策官と、駐大阪神戸米国総領事館の難波泰弘政治経済担当事務官。当センターからは弁護士の林範夫(イムボムブ)代表理事と金光敏(キムクァンミン)事務局長が応対し、最近のヘイトスピーチをめぐる情勢をはじめ日韓、日朝関係の現状やその評価について意見交換した。
 一方、米国務省のプログラム「IVLP」に当センターの金事務局長が招待を受け訪米していたことについても聞かれた。金事務局長が「米国の経験から日本が学ぶところは大きい」と答えると、「具体的にはどのようなところか」などとつっこんだ対話となった。
 事務所での懇談後、生野コリアタウンを案内、体験学習などで訪れた中学生や買い物客で活気のある商店街を見学してもらった。
 人権をテーマに米政府関係者との交流の機会が増えている。問題指摘型ではなく、課題分析、政策提案型の活動に一定の評価を得ているからではないかと考える。これからも民間レベルでの人権外交でもセンターの役割を高めたい。(2016.04.01)

韓国文化、特に食文化研究の第一人者 みんぱく朝倉敏夫先生が退官

祝賀会で挨拶される朝倉先生
 みんぱくで知られる国立民族学博物館の教授で韓国の食文化研究で大きな功績を残した朝倉敏夫先生が定年を迎えられ3月末で退官された。去る3月26日みんぱくにおいて、日韓の研究者をはじめ関係者が集まり、朝倉先生のこれまでを労い、そして前途を祝す会が開催された。
 朝倉先生は1970年代終わりに韓国に留学し、以降日韓の文化比較をはじめ日本の韓国研究の一線で活躍してきた。
 朝倉先生の功績としては、2002年にソウルのある家庭をそのままみんぱくに再現し、隣国の人々の暮らしを等身大に映し出した「ソウルスタイル」で話題を集めた。また、韓流ブームをより大衆的なレベルにまで引き上げた韓国大河ドラマ「チャングムの誓い」を監修、空前の大ヒットに導き出した。
 一方、在日コリアン問題にも理解が深く、国際学術討論会では在日を含むコリアンディアスポラ研究にも成果を残しておられる。
 朝倉先生は2016年度から立命館大学で教鞭をとられ、引き続き研究生活を送られる。日韓の文化人類学分野で高い評価と信頼を集めている朝倉敏夫先生の存在感はまだまだ薄れず、当センターとの縁は今後も続く。さらなるご活躍を期待したい。(2016.04.01)

難民の受け入れで地域活性化  Charlotte市、Mecklenburg郡の試み

International House
この会館には様々なマイノリティグループも入居している。

難民受け入れの相談に応じる弁護士。
昨年は相談件数700件を越えたという。

Mecklenburg郡議会のMatthew Ridenhour議員(左)
と金事務局長
 North Carolima州のSharlotteはBank of Americaの本社があるなど、New Yorkにならぶ金融都市。ここを含むMecklenburg郡が難民受け入れを積極的に進めている。ベトナム、エチオピアから独立したエリトリア、ミヤンマーなどの紛争地帯や、迫害の恐れがある人々が難民として受け入れられている。
 米国に到着し、難民として保護されると、街が招聘し、社会的支援プログラムを提供、自立のための環境が与えられる。すでにこれまで15000人に及ぶ人々が定着しているという。
 難民受け入れの入り口をサポートする機関としてInternational Houseがある。難民の定着支援に欠かせない英語教育や自立支援プログラムの実施機関としてCentral Peidmont Community Collegeがある。両機関を2月12日に当センターの金光敏事務局長が訪問した。また、ほか、Sharlotte市役所も訪ね、担当者から話を聞いた。
 まずInternational Houseでは年間600件から700件の相談に専属の弁護士が3人が応じ、入管行政との橋渡し役を担っている。その際の経費は一般費用の10分の1。市からの補助を受けて、難民受け入れの初期対応を担っていた。
 Community Collegeでは、行政から委託を受けて、英語はもちろん、自立支援のための技術教育、運転免許取得講習、計画的に暮らして行くための家計講座などのプログラムが実施され、難民の自立は最大90日以内で行うよう各種援助を進めているという。90日以内という短い期間で本当に可能かを聞いたところ、職を得るための実際の期間は90日もかからないとし、ニュースで報道された映像など見せながら、全体的にはうまくいっていると、関係機関の担当者らは説明した。
 就職斡旋について質問すると、ネットワークは広いと即答、雇われていくだけでなく、自分で事業を始める人も少なくないと解説した。その上で難民の定着による地域経済に貢献度は大きいとし、街はこの取り組みを今後も続けていく方針だと述べた。
 行く先々で難民受け入れに対する市民の理解についても質問。反対の声もあることを予測したが、誰からも市民の理解は好意的だと聞かされた。最近シリア難民の悲惨な状況が伝わったことで、より受け入れの声が高まっていると説明した。
 金光敏事務局長はMecklenburg郡議会のMatthew Ridenhour議員とも面談。難民受け入れについても意見交換した。移民問題に非寛容な共和党所属議員だが、難民受け入れに好意的意見を示した。
 アメリカの地方都市Sharlotte市やMecklenburg郡の難民受け入れの取り組みは、地域活性化策として進められている。安定した人口増加をはかり、多様性に富んだ地域社会をつくりあげ、経済に新しい潤滑油を差し込もうという試みだと言える。人道主義に立脚しつつ、地域社会の将来や自分たちのニーズも重ね、忌避しがちな難民問題をプラスに発想しようとの画期的な取り組みであった。こうした視点から多文化共生を語ることも重要だと言える。(2016.02.19)

重要な政治課題と認識される移民政策、米政府をはじめシンクタンクから聞き取り

国土安全保障省の担当官らとの意見交換

ヘリテージ財団の担当者との意見交換
 国務省招待のIVLP(International Visitor Leadership Program)に参加訪米中の金光敏(キムクァンミン)当センター事務局長がWashingtonD.Cを訪問、政府機関やシンクタンク、調査機関と意見交換した。
 2月9日、国務省を訪ね、太平洋東アジア局と人権労働文化民主化局の担当者らと懇談。担当官らから国務省のこれまでの歴史的変遷と機能について説明を受けた。また、米政府の人権政策の決定過程とそれを外交政策にどのように生かしているかについて解説を受けた。
 意見交換では、国務省年次報告の中で日本国内の人権課題を取り上げてくれたことで日本政府の重い腰があがった成果を報告し、持続的な関心をお願いした。その一方、米政府が人権侵害を犯したり人権侵害を進める国家を支援した事案についても見解を聞いた。これについて担当者は、指摘はたくさん受けていると明かし、外交上制約があることは認識していると答えた。
 同じく9日、国土安全保障省を訪ね、移民政策及び市民権担当官らと米政府の移民政策について意見交換した。担当官らは移民を歓迎する立場であると言明した上で、移民者の社会統合支援や、コミュニティとの連携について説明した。
 在留外国人を治安管理の観点からのみ所管し、生活課題は自治体が担当する日本の出入国管理行政との違いが明らかとなり、国を開こうとするのか、閉じたままとするのかという基本姿勢の違いが印象付けられた。
 翌日の10日には民主党に比較的に近くリベラルを代表するアメリカ発展センター、また共和党に近く保守を代表するヘリテージ財団を訪問、担当者から移民問題をめぐる立場と、めざす政策の説明を受けた。
 特に、オバマ政権が進めた、親の都合で訪米したものの、非正規滞在状態となっている子ども救済法Dream Actについて、対照的な評価を聞いた。移民をめぐるアメリカ社会の葛藤をより詳しく知る機会となった。
 また同日、アメリカを代表する調査機関であるPew調査センターにおいて、移民をめぐる実態をに数値をもとに説明を受けた。
 そこでは全人口のうち4500万人が移民者であり、1100万人が非正規滞在であること。近い将来に白人が少数派になること。ヒスパニックが急激に増えており移民社会の人口1位を占めるが、送り出し国のメキシコへの帰還も進み、ここ数年の伸び率から今後中心がアジア出身者に移っていくことなどが報告された。
 一方、アメリカもまた移民を受け入れなければ人口を保ち、現行の経済力維持が難しいことなどを統計分析から明らかにし、大統領選挙で移民政策が政治争点化し、与野の駆け引きによる議論停滞に警鐘を鳴らした。移民問題に冷静な議論が求められていることを明らかにした。(2016.02.12)

アーユスNGO新人賞受賞  当センターの洪里奈事務局員

受賞挨拶をしている洪里奈事務局員
 宗派を超えた仏教徒のネットワークで、国際協力活動に取り組む(特活)アーユス仏教国際協力ネットワークが2月4日、2015年度のアーユスNGO新人賞を発表し、当センターの洪里奈(ホンリナ)事務局員が受賞した。
 平和、人道に取り組む国境を越えるNGOの活動を仏教寺院に伝え、宗教理念に基づいて仏教者が積極的に国際協力で役割を果たそうと取り組まれている全国組織だ。NGOとのより積極的な連帯と活動支援をめざして将来有望な新人を発掘することを目的に新人賞が設けられている。今年の受賞者は5名。そのうちの1人に当センターの洪里奈事務局員が選ばれた。
 洪里奈事務局員は2014年6月から大阪事務所で勤務。日韓の言葉を駆使して子ども、青少年交流分野で奔走している。4日の授賞式では、「評価してくだったことを励みにさらに努力し、平和人権文化の社会づくりに貢献したい」と挨拶した。
 アーユスNGO大賞は移住者と連帯する全国ネットワーク副代表理事等を務める渡辺英俊さんが受賞した。新人賞は洪里奈事務局員の他に、坂口志保さん(ACE 経理総務チーフ)、鶴木由美子さん(難民支援協会 教科定住支援部コーディネーター)、手島正之さん(パレスチナ子どものキャンペーン エルサレム事務所現地代表)、萩原宏子さん(シャンティ国際ボランティア会 カンボジア事務所調整員)の4名の方が受賞した。(2016.02.05)

大阪大学、京都大学の理工系学部に学ぶ韓国人留学生を迎えての交流会

 駐大阪大韓民国総領事館が主催して、大阪大学、京都大学の理工系学部に在籍する韓国人留学生らを迎えての交流会が12月22日、大阪市中央区のホテルで行われた。科学系のノーベル賞受賞者が連続で日本から出るなど科学振興への関心はいつになく高まりを見せている。将来の科学者を育て、韓日の両社会に役立つ人材育成を後押ししようと、理工系学部に学ぶ韓国人留学生たちの支援のつどいが開催された。
 韓国総領事館を代表して主催挨拶されたチョジェチョル副総領事は、韓日をまたにかけて研究生活に打ち込む韓国人留学生らにエールを送った。先が長い探求の道を歩む中で、ときに困難にも直面するだろうが、留学生どうしが支えあい、そしてよい日本人の友人たちとの出会いを通して学びを深め、韓日共同の科学技術の進歩で社会の発展に貢献してほしいと呼びかけた。
 この日は特別スピーカーに当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が招かれた。金事務局長は、在日コリアンの立場から韓日両社会を見つめてきたことで、他者が気がつかない社会の断面への気づき、発見が決して少なくなかったと語り、理工系学部に在籍する学生の皆さんが心血を注ぎ探求し、開発に取り組む技術とは、いったい誰に役立てたい科学振興であるかぜひイメージを膨らませてほしいと呼びかけた。その上で、取り組む研究が、疎外されている人々の救いとなり、人権尊重の社会づくりに活用され、平和文化の構築に役立てられていくことを期待すると語った。
 一方、金事務局長が実行委員長を務めるMinamiこども教室のボランティアにも参加し、子どもたちが苦手な算数や理科を教えてあげてほしいとも呼びかけた。
 この会には韓国人留学生をそばで支えてくれている在日同胞を含む日本側学生たちも参加し、ともに親交を深めた。駐大阪大韓民国総領事館が人材育成や人的ネットワークづくりに取り組む貴重な場であるとともに、日本国内の有名国立大学の理工系学部に韓国人留学生たちが多数学んでいることを知り、韓日交流の幅広さをあらためて実感する会となった。(2015.12.25)

生徒たちと語る韓国文化  公立高校で韓国語授業をより広げるために

たかつガーデンにて開催
 公立高校で韓国・朝鮮語授業をいかに充実化させていくかをテーマにしてセミナーを12月6日、当センターが大阪市天王寺区で開催した。すでに大阪の公立高校における韓国朝鮮語授業は30年以上の歳月を経、現在46校で開設、44校で授業が実施されている。大阪は在日コリアンの集住都市であることから国際化教育の推進において韓国語は多言語教育の柱になっていると言える。
 一方、韓国朝鮮語教育ほど社会の動向に左右される授業もなく、韓流ブーム時はあふれんばかりの受講生が集まったものの、日韓関係が悪化すると、授業選択者が少なくなるなどの影響を受ける。そうした社会状況はありながらも、大阪府立高校には韓国朝鮮語科目で教員が正式採用されており、常勤講師や非常勤講師の先生方も含めて日々研究活動にまい進されている。
 現場の努力に目を向け、授業の充実とともに大阪の公教育における多文化共生の裾野を広げていく重要な取り組みであることをアピールしようとセミナーを開催した。
 基調講演を行った神戸大学非常勤講師で文学博士の高正子(コウチョンジャ)さんは、戦前から今日までの日本国内における朝鮮語教育の歩みについて触れ、高校教育の現場で実施する韓国朝鮮語教育の役割と意義について述べた。
 シンポジウムでは、高校現場に携わる立場から左美和子(チァミファジャ)さんと川上知美さん、行政に携わる立場から大阪府教育委員会の池嶋信晃さん、広く日本社会の中で韓国への関心を持つことの意義を語る立場から著述家の中野葉子さんが韓国朝鮮語教育の現状と課題、そしてこれからの展望について語ってくれた。
 また会場から、学ぶ立場の現役の専門学校生、大学生、高校生が韓国語を学ぶことで広がった進路、またその希望について貴重な経験談を話してくれたほか、他の現場教員たちも意見を述べた。
 全国の公立高校における韓国語授業は300校以上。その1割強が大阪府立の高校だ。議論でも出てきたことだが、国際化=英語という意識が高まる中、あえてアジアの言語に意味をおき開設、開講に取り組んできた府立高校の教育理念は貴重。多言語教育を引っ張り、多文化共生を創造していく上でも、多様な民族的・文化的生徒の背景にも視野をおき、身近な国々を学校教育の中で幅広く理解する教育活動の推進に観点を持って今後とも取り組んでいくことが求められる。
 議論後、安聖民(アンソンミン)さんの短歌、パンソリの公演があり、そして駐大阪韓国総領事館の朴慶洙(パクキョンス)教育官が全体を締めくくる講評を行った。
 今回のセミナーは当センター主催し、大阪府教育委員会が協力、大阪韓国教育院が支援、そして駐大阪韓国総領事館が後援した。また外務省が推奨する日韓国交正常化50周年の記念ロゴが広報に用いられた。できれば定期的に開催していきたいテーマ。ぜひともその議論に注目してほしい。(2015.12.15)

外務省招聘の韓国記者ら来訪  在日コリアンの現状と日韓関係などについて懇談

韓国からの記者へのブリーフィング
 日本外務省の外国報道関係者招聘事業で招いた韓国記者6名と12月4日、当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が懇談し在日コリアン問題や日韓関係についてブリーフィングを行った。
 外務省によるこの事業は、最新の日本事情に関する取材機会を提供し、海外における正しい対日理解の増進、または日本に対する高感度の向上を図ることを目的に毎年実施されているもので、今回朝鮮日報、ソウル新聞、国際新聞、ヘラルド経済、文化放送、連合ニュースの各政治部記者たちが来訪した。
 懇談では、在日コリアンについて現状を説明した上で、韓国が率先して少数者の人権を擁護し東北アジア地域の平和共生を牽引することが求められると述べた。
 一方、日韓関係については、懸案となっている歴史問題や領土問題について、河野談話策定時に見せた当時の日韓首脳の意気込みや決意が、いま双方の政府に見えないと指摘し、両国の意識が「改善できなければ改善できないでいい」という冷笑主義に陥ってしまっているのではないかと懸念を表明した。さらに領土問題がナショナリズムを発火させやすい点を考慮し、先んじて冷静な対応を見せていくことが求められるのではないかと、あえて韓国側に注文をつけた。
 加えて成熟した日韓関係の創造にマスメディアの役割は大きいと伝え、これだけ日韓関係が悪化していても、韓国を知ろうとする日本社会の動きがあることを報道し、多様な日本社会の様子を発信することを提案した。
 懇談のあと、地域の公立小学校を訪問し、ちょうど発表会に向けて練習中の民族学級の子どもたちの様子を見学。発表会が迫り完成に近づいている練習風景に記者たちは感銘し、大きな拍手を送った。当該校の教職員を交えての意見交換では国際理解学習の取り組みや学校教育の中で共生教育をどのように進めているかについて記者たちと質疑応答、熱心に耳を傾けてメモをとっていた。今回の来訪には外務省大臣官房国際報道官室と韓国外交部東北アジア局の担当者が随行した。
 韓国の記者たちに金事務局長は問題提起を多角的に行った。日韓関係をめぐってときに強く韓国政府を批判し、また日本政府へも努力を求めた。日本と朝鮮半島の間に生きる立場であるがゆえに、双方の社会に物言う存在でありたいとも語った。(2015.12.09)

民間外交で現地交流と視察  米国のIVLPに当センターの金光敏事務局長が選抜

挨拶するジェフ・アドラー副文化交流担当官

IVLPに招待された方たち(左端が金光敏事務局長)
 米国国務省教育文化局が所管し、民間外交を通した世界の友好親善を深めるインターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラムに当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が選ばれた。
 このプログラムは毎年世界各地から約4400人が選抜され、米国を訪れ、現地で様々な研修を受けるプログラム。日本からの参加は1953年に始まり、これまでに約2000人が訪米している。
 訪米にあたっては、専門分野が考慮され、関わりのある米国の自治体や団体などの現地従事者との交流、活動現場の実際を視察する予定。金事務局長は移住外国人のコミュニティ支援分野に加わり、3週間のプログラムに参加する。
 このプログラムの興味深いところは、様々な分野の一線で活躍されている人々が選ばれ、日米の市民社会をさらに担っていくことが期待されている。何より当センターの活動が米国政府から注目されたことは光栄だ。
 IVLPの参加者が集まり、懇親するレセプションが9月29日、東京都港区で開催され、金事務局長も出席した。主催挨拶した米国大使館広報・文化交流部のジェフ・アドラー副文化交流担当官は「民間外交の役割について米国政府はとても大切にしている。皆さんがその役割を積極的に担ってくれることを期待したい」と述べた。在日コリアンの参加者が過去にいたのかは不明だが、日米友好親善のリーダーシッププログラムに在日の立場から参加できる意義は小さくない。研修の成果が今後の活動に生かされるよう努力したい。(2015.10.05)

米国独立記念日の式典に出席、ここでも戦後70年が話題に上る

左から、金光敏事務局長、
アレン・グリーンバーグ総領事、
加治木一彦大阪府議、
稲森功・石川博崇参議院議員秘書
 駐大阪神戸米国総領事館主催によるアメリカ合衆国独立239周年記念式典が7月2日、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)で開催され、政界、首長、財界、在関西の外国公館から多数駆けつけた。当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長も招待された。
 在日米国公館とは、ヘイトスピーチによる被害実態をはじめ在日コリアンなど在日外国人の人権状況について対話を重ねてきたことから招待された。
 今年で10回目を迎えるUSJでの開催に言及しながらアレン・グリーンバーグ総領事は、日米のますますの交流を呼びかけ、現在米国に海外旅行客を増やすキャンペーンを展開中だとし、積極的な訪問を呼びかけた。また、来賓挨拶した鳥取県の平井伸治知事は、初めて鳥取県に米国資本のスターバックスがオープンしたエピソードで笑いを誘いながらスピーチし、自治体外交で米国と交流することの重要性を表明した。
 在関西の外国公館主催の独立記念行事に当センターが招待されたのはフィリピン共和国に続き2度目。在日外国人の人権問題に取り組む立場から、こうした式典に招かれることは光栄なこと。このネットワークを生かし、普遍的人権の保障に向けた内外の世論づくりや、多民族・多文化共生を牽引する取り組みの推進にさらに努力していきたい。(2015.07.12)

国際高麗学会創立25周年記念国際シンポジウムが開催

パネル・ディスカッション
 朝鮮半島研究の国際的学術機関である国際高麗学会創立25周年を記念して国際シンポジウムが6月6日、大阪市立大学文化交流センターで開催された。当センターが共催した。
 シンポジストに元オランダ大使で京都産業大学の東郷和彦教授、権威ある中国研究の一人である東洋学園大学の朱建榮教授、また「竹島密約」(草思社)でアジア太平洋賞を受賞したローダニエルPeninsula Mpnitor Group,LLC代表を迎え、大阪市立大学大学院の朴一教授がモデレーターを務め討議が進められた。
 戦後70年、日韓国交正常化50年の歴史的節目を迎えているが、日韓関係は正常化以降最悪の状態であるといわれる。また日中間もギクシャクした状態は続いており、そうした東北アジアの不安定も理由に安保法制の議論が日本国内で行われている。日中韓の政治経済を研究する専門家らによる討議にいつになく注目が集まった。
 東郷元大使は日中韓の関係悪化について「国益の原則に立って交渉が始まっていくが、互いの国内事情、国際情勢なども加味しながら、双方譲歩して妥協点を模索するのが外交」と指摘した上で、「日中関係も、日韓関係も、双方が主張を貫徹すべしという姿勢から軟化し、妥協点を探し出す段階に来ているのではないか」と述べた。
 ローダニエル代表は、日韓双方のナショナリズムを分析し「70年前の歴史を理由にして双方がまるで熱病にかかったかのような議論を繰り返している。これは国際社会でも異常と言わざるを得ない」と指摘した上で、「メディアが煽るようにして現実政治に閉鎖的なナショナリズムが持ち込まれていることに問題意識を持つべきで、もう少し静かな対話が日韓には求められる」と述べた。
 朱建榮教授は「安倍内閣は戦略的観点で安保法制の議論に中国脅威論を活用し、領土問題が日中双方の外交政策の議論からはずれ、国内政治の論理で語られている」と警鐘を鳴らし、「中国の若者たちは日本の文化、ファッションに興味が強い。政治葛藤の論理に引きづられておらず、むしろ、市民交流に可能性が見出せる。日本人の若者たちの内向き思考が気になるところだが、青年交流を進めていくことは私たちの役割」と語った。
 進行担当の朴一教授は「テレビなどでコメンテーターを務める際、中国、韓国を悪者に仕立て上げる演出に苦心する。実例、統計をあげて公平な見方を論じようと発言の機会を求めるが、それは必要ありませんとやられる。学術の成果が封殺されるような風潮には強い憂慮を感じざるをえない」と述べた。(2015.06.07)

東京でも既に恒例になった、新年を祝うビルマのお祭り

お昼にはビルマ料理の屋台に
大勢の人が並んだ
メインステージ上での演奏
 春のうららかな陽気につつまれた4月13日(日)、東京・日比谷公園にて『ダジャン』(Thingyan、ビルマ(ミャンマー)語で「新年」の意味)が開かれた。これは新年をお祝いするお祭りで、心身を清めるために水をかけ合うことから「水かけ祭り」とも言われる。ビルマで一番盛大になされるお祭りであるとのことで、この日も在日ビルマ人をはじめ、多くの人でにぎわっていた。東京では今回が23回目と、恒例の行事となっている。
 会場には、ビルマ料理の屋台が10店舗以上並び、また織物や民芸品の販売、民族衣装の試着コーナーなど、ビルマの生活文化に触れられる多彩なコンテンツを来場者は楽しんでいた。またステージでは、ビルマの歌や踊りのライブもずっと続けられ、賑わいに彩を加えていた。(2014.04.15)

めったに聞けない落語、いかがですか? 朝鮮人が描かれた「代書」 玉造猫間川寄席

  • 日 時:2014年4月25日(金) 18:00開場、18:30開演
  • 場 所:さんくすホール(大阪府大阪市東成区中道3-14-17、JR「玉造」駅より徒歩3分)
  • 出 演:桂文我、桂小鯛、桂まん我、笑福亭たま、桂米平
  • 料 金:前売り1800円、当日2000円
  • お問い合わせ:06-6972-3942 (さんくすホール)

 当センター発足当初の事務所があった場所で、地域の文化活動の拠点でもある玉造・さんくすホールで、「玉造猫間川寄席 第百回記念」を催す。
 さんくすホールの大阪市東成区は多くの落語家が暮らしていた場所であり、落語をテーマとするまちづくりが盛んだ。玉造・さんくすホールにおいても、毎月1回の「玉造猫間川寄席」を開催、落語ファンはもちろん、幅広い人々に親しまれている。
 この度、記念すべき第百回を迎えて、上方落語、東京落語を通して唯一、朝鮮人が登場する古典ネタ「代書」がお目見えする。この寄席を主宰する桂文我師匠が、このネタをどう演じるか、見ものだ。
 「代書」をこしらえたのは、四代目桂米団治。人間国宝の桂米朝さんの師匠にあたる。落語家の傍ら、実際に営んでいた「代書屋」業の経験をモチーフにつくったとされ、また、「代書」事務所を構えていた場所が、猪飼野であったことから、日常的に朝鮮人との接点が多かった。落語に描かれている朝鮮人のリアルさが見所のひとつ。
 人権上、配慮を要するという理由からアレンジされ演じられることが多いネタ。この度、オリジナルのネタを「玉造猫間川寄席」に足を運んで、堪能してみませんか? (2014.03.29)

台風被害に苦しむ祖国に使って、フィリピン生徒ら義援金を伝達

訪問した生徒から総領事に募金を伝達
 大阪府立長吉高校のフィリピン出身の生徒らが12月19日、大阪市中央区の在大阪―神戸フィリピン共和国総領事館を訪問し、11月8日の大型台風によって大きな被害を受けた現地支援のための義援金を伝達した。
 長吉高校には43名のフィリピンルーツの生徒が在籍し、府内の高校でもっとも多い。生徒らは祖国の現状を知り何か役に立ちたいと募金活動を2日間実施、また、現地の被災状況を知ってもらうために被災地の写真などを張り出した。
 学内の多くの生徒たちが募金に応じ、5万円余りが集まった。
 この日、フィリピン人生徒5名が領事館を訪問、マリア・ テレサ・L・タギャン総領事と面談した。2年生の工藤アンジェリーさんは「フィリピンに帰ってボランティアをしたかった。でも、今できることは祈ることとお金を送ること。フィリピン人はどんなことがあってもどんな壁にぶつかっても絶対にあきらめず、立ち上がれる強さを持っている。だからきっと乗り越えられる」と気持ちを述べた。2年生のサイソン・キーファー君は「私たちの心にはいつもフィリピンがあり、フィリピンとつながっている。このつながりが私たちの元気と笑顔の素になっている。フィリピン領事館と協力して、継続的に支援していきたい。ぜひ私たちの熱い思いを被災地に届けてください」と語った。
 生徒たちの言葉を聞いたタギャン総領事は「日本に暮らす若い同胞の皆さんの気持ちは現地の人々の励ましになるはず。集めてくれた金額は大きなものではないかもしれないが、大きな思いがよく伝わってきた。いただいた大事な義援金を現地に届け、必ず現地復興に役立てたい。」と謝意を述べた。
 今回の訪問にあたり、当センターがコーディネートをし、金光敏(キムクァンミン)事務局長が同行した。当センターは来年2月と3月にフィリピン領事館と協力し、フィリピンコミュニティ支援のためのセミナーと生活相談会の開催を準備している。(2013.12.20)

重要無形文化財『固城五廣大(コソン オグァンデ)』に子どもたちが歓喜!

 韓国の重要無形文化財第7号に指定されている慶尚南道固城郡に伝わる「固城五廣大」が11月29日、大阪市立御幸森小学校で公演した。
 朝鮮時代に活発に演じられてきた伝統仮面劇で、朝鮮半島北部に伝わるものをタルチュム、中部に伝わるものを「山大(サンデ)ノリ」、そして南部に伝わるものを「五廣大(オグァンデ)」と言う。固城郡に伝わる「固城五廣大」は、日本統治時代に継承が途絶えかけていた伝統仮面劇の中でも、もっとも原型をとどめている作品だと言われている。
 今回の日本公演は、「固城五廣大」の研究者で当センターの高正子(コウチョンジャ)理事がコーディネートとしたもので、29日午前に大阪市立御幸森小学校、夕方に大阪市立東生野中学校夜間学級、そして30日には京都の在日コリアン集住地区「東九条」で、また12月1日には豊中市の「(公財)とよなか国際交流協会」の20周年行事で公演を行った。
 29日午前の公演では、御幸森小学校、そして隣接する大阪朝鮮第四初級学校の全児童が参加する中、ユーモラスな仮面劇に、迫力あるサムルノリなどが披露された。初めて体験する演舞にも関わらず、子どもたちは真剣なまなざしで観覧し、ときおり大きな歓声が響き渡った。(2013.11.30)

京畿道烏山(オサン)市から地域のスポーツ振興で大阪に現地視察団来訪


 地域におけるスポーツ振興とともに、地域コミュニティ活性化の新しい総合型地域スポーツクラブの現状を知るため11月24日から26日にかけて韓国京畿道烏山市のスポーツ振興の官民の担い手らが関西各地の現場視察を行なった。
 2000年から文部科学省の推奨で始まった総合型地域スポーツクラブは、スポーツアスリート養成、住民の健康増進に加え、少子高齢社会を迎えた地域社会の共同体活性化を目的に計画化されている。これを参考に韓国でも試験的に導入が始まり、来年からさらに事業委託団体を広げる予定だという。
 それにあわせて、事業受託を検討している京畿道烏山市のスポーツ振興に携る官民のグループが現地の先行事例について学んだ。
 25日に訪れたのは、岸和田市に本拠地を置く(特活)FC岸和田。サッカークラブから始まったこの団体は、大阪府内でも先頭を行く総合型地域スポーツクラブで、現在はサッカーだけでなく、ダンスや柔道、バドミントンなど幅広い分野のスポーツ振興に取り組んでいる。一行は車座になりながら、FC岸和田の経験談、また(公財)大阪体育協会の担当者らと活発な意見交換を行なった。また、FC岸和田の小学生らのサッカーチームとの交流なども行なわれ、岸和田市と烏山市がスポーツを通した姉妹都市を提携しては、などの意見も出た。今回の視察団は烏山市を選挙区に持つ安敏錫(アンミンソク)国会議員が団長を務めた。(2013.11.30)

24時間電話相談〝よりそいホットライン”が、イーハトーブ奨励賞を受賞

約100名が参席した
 どんな相談でも受け付けるワンストップ型電話相談“よりそいホットライン”を運営する一般社団法人社会的包摂サポートセンターが、宮沢賢治の名において顕彰されるにふさわしい実践的な活動を行った個人または団体に送られる「イーハトーブ賞」(主催:花巻市、選考:宮沢賢治学会イーハトーブセンター)の奨励賞を今年受賞した。その受賞祝賀会が11月11日、東京・千代田区で開催され、同社団法人の理事や国会議員、政府関係者、研究者、様々な機関・団体の従事者らが全国各地から集まった。
 “よりそいホットライン”は、「どんなひとの、どんな悩みにも、寄り添って、一緒に解決する方法を探します」をモットーに、毎日24時間、全国どこからでも通話料無料のフリーダイヤルで電話相談窓口を開いている。2011年10月に被災地を対象に始まり、厚生労働省の補助金を受けて2012年4月から全国へと適用範囲を拡げた。一般ラインのほかに、性暴力・DV、外国語/外国人、セクシャルマイノリティ(性的少数者)、自殺予防の4つの専門ラインがある。
 授賞式の冒頭、医師で前宮古市長の熊坂義裕代表理事が主催者を代表して挨拶に立ち、昨年度で1000万件、1日約4万件の電話がかかっている実態があり、このホットラインがいかに必要とされる現実があるかについて語った。その後の記念講演で望月善次・岩手大学名誉教授が、宮沢賢治の生涯と照らし合わせながら「日本社会におけるsocial inclusionの意味」について興味深い見解を披露した。
 今年度から被災3県だけラインが独立し、岩手・宮城・福島の3県からは0120-279-226に、その他の44都道府県からは0120-279-338の番号にかければ“よりそいホットライン”につながる。外国人向けの外国語専門ラインもあり、現在英語・ポルトガル語・スペイン語・タガログ語・タイ語・中国語・韓国朝鮮語の7言語に対応している。(2013.11.20)
 社会的包摂サポートセンターのホームページ: http://279338.jp

京畿道烏山市の体育科教員らが大阪の学校現場訪問

今宮高校の校長先生に贈物を手渡す
 韓国の体育科教員らが7月10日から13日まで滞在し、大阪の学校訪問などを行なった。
 今回訪問したのは京畿道烏山(オサン)市内の小中高校の体育科教員ら20名。スポーツ教育を活用して、地域社会と学校教育が連携し、市民の健康増進にいかに役立てるかという課題について、日本の事例を知るために来阪した。12日、大阪府立今宮高校を訪問し、府立高校の現状や今宮高校が取り組む事例について、糀校長から説明を受けた。今宮高校の生徒の約80%がクラブ活動に加わっていることや、総合学科における体育科の選択科目などに関心が集まり、重点的な質疑応答が行われた。また、実際の体育の授業などを見学し、生徒たちと直接意見を交す場面もあった。
 今回の訪問は烏山市選出の安敏錫(アンミンソク)国会議員の提案によるもので、安議員はスポーツ社会学の博士号を米国で取得している。スポーツと教育、市民生活と体育との関係について先進的な取り組みをめざしている。
 この期間中、ほかにも大阪市立大和川中学校や学校法人白頭学院建国幼小中高校などを訪問した。(2013.7.14)

韓国・大邱市教育庁一行が豊中市の中学校を訪問

豊中11中の校長、教師らと意見懇談会
 韓国・大邱(テグ)市教育庁の一行9名が5月20日、豊中市立第十一中学校を訪問し、大阪の教育実践について学んだ。大邱市教育庁の一行は、職業体験学習を導入するにあたって、日本における先行事例を調査するために来訪、訪問団には教育庁の担当者をはじめ現場の教職員らで構成されていた。
 意見懇談会では、豊中十一中で13年前から職業体験学習に取り組んでいる経験について、資料などをもとに富田校長が説明した。後半の質疑応答では、数々の質問が寄せられ、時間が足らないほどだった。学校制度がよく似ている韓国の教育関係者の日本視察研修は活発だ。共通の課題を見つけ、実践的交流に取り組むことは意義深い。今回の来訪にあたって、当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長も同席し、討論に加わった。(2013.5.21)

“中学生の発信力”~NPOを通じて自ら体験した学習、ボランティア活動を報告

当センターでの体験学習の報告
 去る2月10日に東京・飯田橋で開催された「市民社会をつくるボランタリーフォーラムTOKYO2013」(主催:東京ボランティア・市民活動センター)で、練馬区立開進第二中学校の2年生たちが昨年9月に行なったボランティア活動を報告する分科会「中学生の発信力」が開かれ、開進二中の生徒、先生、保護者をはじめ、100名を超える人が参加した。当センター東京事務局がコーディネートした体験学習(⇒体験学習(2012年9月13日)の報告記事)も報告され、金朋央・東京事務局長もコメンテーターとして参加した。
 この「ボランタリーフォーラム」は今年で9回目を迎え、多様なフィールドで活動する団体が実行委員会を構成して、企画・運営が行なわれている。今回のフォーラムは“試される市民力(わたしたちのちから)”をテーマに、「つながり」「生活・くらし」「若者の市民力」「ボランタリズム」という4つのカテゴリーを設け、2日間にわたって30以上のプログラムが実施された。
 開進二中の2年生は、総合学習の時間として、約20団体・NPOの協力を得て「福祉とボランティア」をテーマにした学習と体験活動に取り組んだ。上記分科会「中学生の発信力」では、そのうち4団体~当センターのほかに、練馬区聴覚障害者協会、セカンドハーベストジャパン、ブレイブサークル運営委員会~を訪問した取組みが参加した生徒たちから報告された。
 また、開進二中にある難聴学級の紹介もなされた。朝礼や学年集会では難聴の生徒に対して担当教師が筆談で伝えたり、パソコン文字通訳をしている様子がスライドで報告され、この報告自体もパソコン文字通訳がされていた。
 この分科会は、開進二中の体験学習の全体コーディネートを担当している特定非営利活動法人VCAS(Volunteer Citizenship Activity Support)が企画・運営したものだ。参加していた開進二中の宮田校長先生は「これだけ多くの訪問先を見つけることは学校単独では非常に難しい。NPOが間に入ってくれたおかげで、学校が地域団体や市民活動とつながりやすくなった」と語った。(2013.2.13)

日韓保育交流20周年 記念行事が開催される

分科会での一こま。日韓の伝来遊びで会場は盛り上がった
 保育の理念や技術を切磋琢磨してきた日韓保育交流が節目の20周年を迎え、11月11日大阪市生野区で記念行事が開催された。日韓保育交流は、大阪市生野区などの人権保育や民族保育に取り組んできた民間保育園5園が韓国の保育施設と始めた事業で、1992年から続いている。交流は毎年交代で双方に保育士を派遣し、現場体験や歴史、文化についての研修が取り組まれてきた。20周年の記念行事の開催にあたり、この間に韓国側が参加してきた約50名が来日し、記念行事に加わった。
 記念行事では、記念講演をはじめ三分科会に別れての実践交流や技能研修が行われた。技能研修の分科会では、日韓の伝来遊びを紹介、参加者全体で体験する講座が開かれた。
 また記念レセプションでは、日韓保育交流の意義や今後の方向性について確かめ合った。複数の保育施設が参加する常設型の日韓保育士交流としては日本で最も歴史が長い。子どものひとりひとりを大事に、をテーマに保育士が学びあう交流が持続的に続けられてる意義は大きいと言える。(2012.11.18)

韓国保育士たちが日本の保育現場を視察

蛍池保育所を視察する韓国の保育士ら
 韓国の保育士たちが2012年11月5日、豊中市立蛍池保育所を訪問、人権保育や多文化共生保育の実践現場を視察した。この研修会を主催したのは、日韓保育士研修協議会。1992年以来、相互訪問を繰り返し、日韓保育士の交流研修に取り組んでいる。今回の研修訪問は、大阪を中心に、10月末から11月10日にかけて実施され、現場訪問のほか、大阪市内の5園にわかれ3日間の実地研修も受けた。
 日韓保育士研修協議会は、保育士の保育理念や技能の向上をめざすことを目的に始まり、持続的な日韓の保育士交流としてはもっとも歴史のふるい取り組みだ。
 この日の視察では、障害児保育について活発な意見交換が行われるなど、時間を超過しての研修会となった。釜山から来た保育士は「保育について日韓のちがいに驚くが、子どもの育ちについての真摯な模索はいっしょ。日本での研修に参加できてよかった。」と語った。
 この日は蛍池保育所のほかに、公益財団法人とよなか国際交流協会を訪問、外国人母子支援の実例などについて研修を受けた。この日の現場視察のコーディネートを当センターが担当した。(2012.11.07)

ジャナグルの熱い風 ~アフリカの息吹に触れてみませんか?

 アフリカ南部の国ジンバブエ。ここに暮らす子どもたちが音楽の腕を磨き、世界へ羽ばたこうとしている。躍動的なリズムがアフリカ大陸の鼓動を打ち、歴史と文化をさざなみのように耳澄ます人々の心を揺れ動かす。
 ジンバブエの子どもたちを支援する音楽学校「ジャグナル・アート・センター」と、在日コリアン2・3世による文化グループ「民族文化牌マダン」が出演します。

2012年 7月27日(金) 19:00開演(18:30開場)
@KCC会館(在日本大韓基督教会館)

(大阪市生野区中川西2-6-10)


子どもたちが前衛芸術家に! ふれ愛パンジーで手作りアニメのイベント

絵の具の色を夢中で選ぶ子どもたち
 大阪市の東成区役所一階に設けられた市民交流スペースである「ひがしなり市民協働ステーション」、愛称「ふれ愛パンジー」で6月16日、子どもたちを対象にした手作りアニメに挑戦するイベントが行われた。
 この取り組みは、東成区在住でアニメーションアーティストの植村泰之さんらの作品上映会を区内で開催するのに合わせて企画されたもので、子どもたちに参加可能な手作りアニメーションのワークショップをと開催された。ふれ愛パンジー運営委員会が協力し区内などから17名の子どもたちが集まった。
 キャンバスに子どもたちが作画し、それをデジタルカメラでコマ撮りしていく形式で200枚以上を録画。それを一枚づつ繋ぎ合わせることで創作アニメーションを誕生させる。子どもたちは真っ白なキャンバスに自由に書き込めることから、1時間あまり笑顔を見せながら、作業に取り組んだ。
 この日取り組んだ作品は、6月20日から一週間、ふれ愛パンジーで上映される。ふれ愛パンジー運営委員会には当センターから金光敏(キムクァンミン)事務局長が加わっている。(2012.6.18)

豊中市の小学校と韓国ソウルの初等学校が交流

韓国民話の読み聞かせ
 豊中市立寺内小学校と韓国ソウルの木雲初等学校が活発な交流をはじめている。去る5月7日、韓国から木雲初等学校の教員4名が、寺内小学校を訪問、学校見学や子どもたちと交流した。
 両校が交流するきっかけをつくったのは、府知事時代に木雲初等学校を教育視察に訪れた橋下大阪市長だった。この訪問で、知事は大阪の公立学校と木雲初等学校の交流を提案していた。知事による視察訪問後、当センターの金光敏(キムクァンミン)事務局長が同校を訪問していた。その際、その具体的な交流方法について相談を受けたことから、豊中市教育委員会に提案、寺内小学校が交流先となった。
 木雲初等学校の教員たちが寺内小学校を訪問するにあたり、せっかくの機会だからと国際理解の授業が行われることになり、3年生の子どもたちに韓国の民話を韓日の両言語で読み聞かせすることになった。
 子どもたちは木雲初等学校の教員が話す聞きなれない韓国語に戸惑いながらも、独特の抑揚を楽しんでいた。児童の一人は「登場人物が話している様子が伝わって面白かった」と語った。
 両校は、継続的に図工作品の交換、インターネットを使った交流授業など続けながら、機会があれば次は寺内小学校の教員らが木雲初等学校を訪問したいなどと意見交換した。(2012.5.15)

大阪・上町台地から東日本大震災の被災地に、出張屋台村

七ヶ浜町の仮設商店街
野田村にて、出店の前に長蛇の列
 大阪市内にある上町台地からそれぞれのまちを見つめ直す視点と視野を提供するコミュニティ・シンクタンクである「上町台地からまちを考える会」(上町台地の会)が、地域の祭りなどでお馴染みの出店を並べた「一日屋台村」を開くため、5月3日~5日のGW期間に合わせて、宮城、岩手の被災地を訪れた。一日屋台村を出店した。
 上町台地の会では、昨年秋に宮城県七ヶ浜を訪れ、屋台村を開いている。今回訪れた5月3日は、あいにく東北地方は大雨となり屋台村を開けなかったが、仮設商店街の一店舗をお借りして、七ヶ浜町復興支援ボランティアセンターなど地元の人たちとの交流会を開催し、参加者らは震災の経験談を神妙な表情で聞いていた。
 その後岩手県野田村に移動し、5日に津波被害が及んだ境界ほどに位置する神社前で午前10時から午後2時まで屋台村を開いた。来場者は50円×5点のチケットを購入して、飲食物の購入や遊戯に利用する形。イカ焼きやベビーカステラは大阪から専用の大型機材を直接持ち込んで調理し、また射的や輪投げには子どもたちの列ができて好評を博した。コリアNGOセンターから持ち込んだチヂミやキムチ、韓国の海苔も完売するなど、売上金は6万円に及んだ。売上金は地元で活動し、今回の屋台村でも大変お世話になった「チーム北リアス」に支援金として伝達した。
 この屋台村ボランティアには、大阪・茨城のコリア国際学園(KIS)の高校生9名も参加した。出店の設営から客の呼び込み、後片付けまで熱心に動き、また地元の子どもたちと一緒にサッカーをするなど、元気あふれる姿を見せていた。(2012.5.10)

韓国・霊山大学の学生らがインターンシップで小学校、保育所を訪問

大阪市立小路小学校を訪問
 韓国釜山市にある霊山大学日本語学科の学生らが日本語の現場研修のため来阪し、1月31日から2日までの3日間公立小学校と保育所で現場研修を行う。来阪したのは、2年生と3年生の学生6名で、各2名づつのグループに別れ、生野区内の大阪市立小路小学校、大阪聖和保育園、愛信保育園でプログラムをはじめる。大学で日本語を学ぶ彼らだが、実地で使いこなすのは今回が初めて。訪問挨拶のために訪れた各施設で、学生たちはすでに緊張の様子。日々の日本語の鍛錬が試されるか、戸惑いを隠せない表情だった。
 このプログラムは、当センターが窓口になり、関係機関に協力を要請した。 (2012.1.30)

脱原発を求める集会に、6万人が集まる

ステージではミニライブも行なわれた
 東日本大震災で起きた福島第一原発の未曾有の大事故を受けて、原発に依らない社会をつくりだそうとする数多くの市民の行動が生まれている。その中で、去る9月19日、東京・明治公園で、「さようなら原発 5万人集会」(主催:「さようなら原発1000万人アクション」実行委員会)が開催された。全国から駆けつけた集会参加者は、予定を大きく超え6万人(主催者発表)を数えた。最寄駅を出たところで、すでに人でいっぱいの状態だった。
 集会では、鎌田慧さん(ルポライター)、大江健三郎さん(作家)など、同実行委員会の呼びかけ人らの発言が続いた。この間原発廃止を求めて精力的に活動する俳優の山本太郎さんも駆けつけ、登壇した。
 その後3つのコースに分かれて行なわれたデモは、大勢の人のため、最後の集団が出発するまで2時間半以上かかるほど。福島からも多くの方が参加し、横断幕やプラカードなどで、帰郷の思いを切実に訴えた。
 主催の実行委員会は、来年3月までに脱原発を求める署名1000万人分を集め、政府に提出する予定。(2011.9.21)

朝日新聞「ニッポン前へ委員会」公募 震災復興提言論文で金光敏事務局長が優秀賞

 去る3月11日の東日本大震災を受け、被災地の復興に向けた政策提言論文を募集した朝日新聞「ニッポン前へ委員会」により、金光敏(キム・クァンミン)事務局長の「人こそ最大の資源」が優秀賞に選ばれた。
 全国各地から1745本の応募論文があり、最優秀賞に1名、優秀賞に4名が選ばれ、7月25日、朝日新聞本社(東京)で授賞式が行われた。受賞論文は、センターのニュースレターに掲載される。
http://www.asahi.com/national/update/0717/TKY201107170463.html
(2011.7.25)

津波の激しい傷跡残る南三陸町で炊き出し

炊飯の準備
昼食メニューは
焼肉、コロッケ、ベトナム春巻など
南三陸町の防災対策本部
未だ瓦礫が山積に

 震災以来、南三陸町にある県立志津川高校の避難所で、支援活動を繰り広げている全統一労働組合と協力して、(特活)神戸市定住外国人支援センター(KFC、金宣吉理事長)の一行が現場を訪問、炊き出しを行なった。
 6月18日の夕方に神戸を出発した一行は、約13時間をかけて南三陸町に到着。津波の被害が激しかった南三陸町の高台にある県立志津川高校で、さっそく炊き出しの準備を始めた。志津川高校では、避難所となっている柔道場と、運動場に設けられた仮設住宅に現在も200名ほどが生活しておられる。関西から持ち込んだ食材をもとに、被災者に元気になってもらおうと豚カルビやコロッケ、ベトナム風の春巻きなどを提供した。
 また、避難生活で疲労もたまっているおられるだろうと、即席ヨガ教室を実施、柔軟体操や呼吸法などをアドバイスした。
 一方、調理の合間をぬって避難所近くの献花台を訪問し、今回の震災で犠牲になった人々を偲んでの献花と黙祷を捧げた。献花台は、町の防災対策庁舎前に設けられており、3階建ての建物が津波に飲み込まれ、屋上の防災スピーカーによじ登った町職員ら10名がかろうじて助かった場所だ。当時いた職員37名のうち27名は犠牲また行方不明になっているという。
 また、被災地を歩く際には、アスベスト被害を防ぐためのマスク着用が呼びかけられ、瓦礫の中には鋭利なものも多く、被災地への復興はいまだ始まったばかりとの印象が拭えなかった。
 今回KFCが行なった炊き出し活動には、関西からは当センターの参加のほか、在日コリアン青年連合(KEY)、また、兵庫県立大学や龍谷大学の学生ら全体で36名が参加した。東京からも約20名が参加した。(2011.6.23)

スマトラ沖地震被災の子どもたちの支援の経験を東日本大震災に生かして
~現地からの報告を聞く会開催~

 各地で被災地へのさまざまな支援が続けられる中、タイの子ども、人々と交流を続ける「生き直しの学校を支援する会」が、スマトラ沖大地震による津波被害に遭遇した人々へのケアの経験を報告する学習会を開催する。
 被災地の復旧復興から新しい街作りへの試みは、10~20年という長期にわたる支援が必要だと考えられている。特に、今回の震災津波被害でも、多数の子どもたちも犠牲になっていることから、こうした子どもたちへの持続的な支援は切実だ。「生き直しの学校を支援する会」は、今後の支援活動のために、04年タイの津波被災孤児らを今もなお支援し続けているプラティープ財団のプラティープさんを招いてその経験や教訓などを聞く会を開く。 (2011.3.28)

  • 学習内容:「タイの津波被災孤児らを支え続けて」(報告、プラティープ・ウンソンタム秦さん)
  • 日時:4/3(日)13:30~
  • 会場:ドーンセンター 5階特別会議室(京阪天満橋駅下車 徒歩10分)
  • 主催:タイの「生き直しの学校」を支援する会(090-3034-1481)

東日本大地震被災地に対するコリアNGOセンターの支援活動

「災害支援活動」のページをご覧ください。

東日本大震災発生による甚大な被害に対する談話

 去る3月11日、午後2時46分に発生した東日本大震災発生にともなって東北関東圏に甚大な被害がもたらされ、4日目を迎えた今日も関係機関による懸命な救出活動が続けられています。今回の大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、行方不明者の捜索と生活復興が着実に進むことを祈ります。また、犠牲に なられた方々には、心よりのお悔やみを申し上げます。

 マグニチュード9.0に及ぶ未曾有の大地震の前に、想定を超える厳しい被害が被災地の皆様にもたらされています。日本政府も懸命な救出活動、復興活動に取り組んでいますが、被害の全容はいまだわからない状態であり、家族が離れ離れになった人々の様子、いっさいの家財を失った人々の表情が報道を通じてかろうじて伝わってくる程度です。加えて、被災地の皆様に十分な毛布や食料が届けられていないなどの報道にも触れ、被災しなかった地域から被災地へどのような支援が可能なのか、早急な検討が求められているところです。

 また、東北関東地域には、外国籍住民も少なくありません。在日コリアンをはじめ、結婚やビジネスで滞在していた人々、農漁村地域にはアジアからの研修生や技能実習生、被災地地域の大学等に通う留学生、一時滞在海外旅行者、さらには様々な理由から在留資格のないまま生活する人々も決して少なくなかったと思います。こうした外国人住民が、避難生活を送るにあたって、言語や文化のちがい、在留資格の差異により、被災地でさらなる孤立に苛まれていないかと懸念されます。重ねて、外国人住民の中にも犠牲者が出ていることが推測され、その場合の身元把握の難しさも伺えます。

 救出、捜索、復興活動においては、外国籍住民をはじめさまざまな震災弱者に対する配慮が十分になされるようにお願いするとともに、当センターとしても未曾有の災害を前に、被害の正しい情報を韓国にも伝達し、韓国の市民社会に対して義援金を呼びかけるなど微力ながら被災地の方々への支援に向け努力する考えです。

2011年 3月14日
特定非営利活動法人 コリアNGOセンター


梨花女子大学韓国学研究院の崔俊植院長を講師に韓国文化理解に関する学習会が開催される

崔俊植教授を講師に招いての学習会
 宗教学博士で、韓国文化を多角的な角度から評価し、検証している梨花女子大学大学院韓国学研究科教授で、韓国学研究院の崔俊植(チェジュンシク)院長を迎えて10日、大阪市生野区で学習会が開催された。崔教授が主宰する韓国文化表現団の大阪公演を当センターが今年7月に予定していることから、事前準備のため来阪していた。崔院長がせっかくこられるのだからと、急遽学習会が企画され、会場となったこりあ企画の多目的室には約40名の参加者がかけつけた。学習会では、映像と音楽を使いながら、韓日の文化比較や韓国国内の文化・歴史認識などについて崔院長が1時間半講演を行った。
 崔教授は、「韓国の文化財が、日本に多数散逸しているなど、朝鮮半島の文化は植民地支配を経て大きく破損した部分はあるが、脈々と今日まで受け継がれている。現在の朝鮮半島の伝統文化はおおむね朝鮮時代末期に形成されたもので、上層文化と下層文化の混合が文化発展に大きなインパクトを与えている。」と語った。また、「朝鮮半島の舞踊にしても音楽にしても、シャーマニズムとの関わりを無視しては語れず、そこから始まったと言っていい」と述べ、伝統芸術における民衆の役割を強調した。
 参加者には、舞踊家や伝統楽器演奏家などの実際に文化継承に取り組んでいる人々をはじめ民族講師らも多数参加した。
 崔俊植教授が主宰する韓国文化表現団による大阪公演は、今年7月15日(金)午後6時半から大阪市立東成区民センター大ホール(地下鉄今里駅下車徒歩3分)で開催される。伝統舞踊や国楽などの演目に加え、韓国文化についての解説を崔教授自らが行う。参加費は大人1000円、子ども(高校生まで)500円。 (2011.2.14)