多文化な子どもたちの教育のために
国籍にかかわらず朝鮮半島にルーツをもつ子どもたちが、自らの民族の歴史・言語や文化などを学ぶことを通じて「生きる力」を育むことは、国際人権基準にそった民族的マイノリティとしての当然の権利でもあります。コリアNGOセンターでは、次代をになう在日コリアンの子どもたちが民族的アイデンティティと自尊感情を育んでいくことができるように、大阪の公立学校に設置されている民族学級での民族教育の制度保障にとりくんでいます。いま、大阪府・大阪市にはおよそ180校の公立の小・中学校に在日コリアンの子どもたちを主な対象にした民族学級が設置されており、約2500人の子どもたちが参加しています。
他にも、公立学校に通う他の多文化な子どもたちを支援するための取り組みとして大阪市中央区で学校、地域、市民団体などとネットワークをつくり、子どもたちの学習・生活サポートをおこなう「Minami子ども教室」の実行委員会事務局としても取り組んでいます。
差別・ヘイトスピーチをなくすために
私たちは在日コリアンをはじめとするマイノリティの人権を保障するために、「外国人人権基本法」「差別禁止法」などの法制度の整備をはじめ、国籍や民族や価値観などの「ちがい」を「ちがい」として尊重し合いながら、対等な関係を築く多民族・多文化共生社会の実現をめざしています。また深刻な人権侵害であるヘイトスピーチを許さず、その解消をめざすとともに、ヘイトスピーチを許さない市民の世論を喚起するために、「ダイバーシティ」をテーマにしたフェスティバル、パレードなどのイベントも開催しています。
そして移住者と連帯する全国ネットワーク、外国人人権法連絡会、人種差別撤廃NGOネットワークなど全国的なネットワークに参加し、外国人の人権にかかわる問題に関する情報発信、政策提言などをおこなっています。
またコリアNGOセンターでは弁護士 や行政書士などの専門家のサポートのうけながら在日コリアンの結婚・離婚・出産・相続など身近な法律問題から、在留資格、生活保護、さまざまなトラブルまで、無料での法律相談・生活相談をおこなっています。
多文共生社会実現のための教育・啓発
コリアNGOセンターのある大阪市生野区は全国一の在日コリアンの多住地域です。 2万人以上の韓国・朝鮮籍者が暮らし、コリアタウンと呼ばれる商店街が広がっています。当センターでは、生野コリアタウンを舞台に、「人権、歴史、異文化」を学ぶプログラムとして在日コリアンのスタッフによるフィールドワーク、体験学習(「ハングル入門」「民族楽器:チャンゴの演奏」「キムチづくり」など)、講演など、訪問される団体に応じて多彩なプログラムを実施しており、全国から小・中・高の修学旅行をはじめ、総合学習の一環として、また教職員やPTAなどの人権研修として積極的に活用されています。また、学校や地方自治体などで、在日コリアンの立場から「人権・共生」をテーマにした研修での講師派遣もおこなっています。
朝鮮半島の統一と東アジア共同体にむけて
コリアNGOセンターではいまだ戦争状態にある南北コリアの平和・統一の実現、歴史問題の解決をはじめとしたコリアと日本の関係改善に向けて、さまざまな取り組みを進めています。人権、平和、環境など一国だけでは解決できない課題が東アジアでも大きく浮上するなかで、韓日の国境を越えた市民が協力していく必要性はますます高まっています。こうした韓日間の市民、NGOが、相互理解を深め、国境を越えた協力していくことは、朝鮮半島の分断など未だ冷静対立が残る東アジア地域において平和共存を実現するための牽引車の役割を果たすことになるでしょう。
私たちは、「平和」「人権」「民主主義」「自立した市民」の理念を掲げ、コリアと日本の市民社会の発展のため、多様な交流・協力を進めています。
▶ 活動報告「朝鮮半島の平和」ページへ ▶ 活動報告「国際協力」ページへ
豊かなコリアンネットワークのために
在日コリアン社会においては、世代交代や日本国籍取得者の増加、またニューカマーの増加や中国朝鮮族の存在など、生き方や価値観が多様化する中、在日コリアンの一人ひとりが、より自由に、平等に、豊かに生き、活躍することができる環境やフィールドを広く深く創っていくことが必要であり、そのためには、当事者であるコリアン同士の連携と協力関係が何より重要です。各界各層の在日コリアン団体・個人との交流・協力関係を活性化し、在日コリアン社会の豊かな社会的基盤を創造することを目指すとともに、朝鮮半島に住む人はもちろん、世界各地、とくに東アジアに居住するコリアンとの間で交流をすすめ、国境を越えたコリアン・ネットワークを構築します。