活動報告

コリアNGOセンターが杉田水脈議員に抗議文

コリアNGOセンターでは11月10日に共同通信で配信された杉田水脈議員の「在日特権」デマを拡散するSNS投稿に対して以下の抗議文を発表し、杉田水脈議員事務所、自民党本部に送付、投稿の削除を求めました。以下は抗議文の全文です。

*************************************************

杉田水脈議員の「在日特権」デマ拡散に抗議する

 2023年11月10日の共同通信の報道によれば、自民党の杉田水脈議員(元総務政務官)がX(旧ツイッター)で、在日コリアンに対する悪質なデマである「在日特権」について、「実際には存在します」と投稿した(以下「本件投稿」)。

 私たちは、公職にある杉田水脈議員が、深刻な人権侵害をもたらしてきた「在日特権」なるデマを拡散し、在日コリアンに対する憎悪を煽る、本件投稿を行なったことに対して、断固として抗議し、本件投稿の削除を求める

 「在日特権」という言葉は、在日コリアンがあたかも日本社会で優遇され、特権を享受する存在であり、特権を利用して日本社会に害をなす敵対的存在であるという趣旨で、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が中心となって主張されてきたデマである。「在日特権」というデマは在特会らによって、あたかもその存在が真実であるかのようにフェイクニュース的に拡散され、日本全国にヘイトスピーチが拡散し深刻な人権侵害と社会の亀裂と分断をもたらす重大なきっかけとなった。「在日特権」が存在しないことは、「『在日特権』の虚構」(河出書房新社)をはじめとする各種の調査結果によって明らかになっており、「在日特権」という言葉や主張が、在日コリアンをターゲットとしたヘイトスピーチそのものであることが認識されるに至っている。

 2016年には「ヘイトスピーチ解消法」が成立し、街頭でのヘイトスピーチは減少傾向にあり、「在日特権」をあからさまに主張する者は、いわゆるネトウヨ(ネット右翼)だけになってきている。しかし、そのネトウヨがはびこるネット空間では、いまだに「在日特権」をはじめ在日コリアンを歪曲し憎悪を掻き立てるデマが氾濫しており、安易にこれを信じ込んでしまう者たちも後を絶たない。まるで、特殊詐欺(オレオレ詐欺などのボイスフィッシング)の被害者が後を絶たないのと同じような状況にある。ヘイトスピーチに対する刑事処罰が一部の地方自治体で実現し、その地域的拡大が積極的に議論されている今日、「在日特権」を喧伝する者は、特殊詐欺の加害者と同様の犯罪性を否定できない。

 「在日特権」や類似のヘイトデマによって、2021年には京都府宇治市のウトロ地区の放火事件、2022年にはコリア国際学園放火事件、民団徳島県本部脅迫事件など、偏見・憎悪に基づくヘイトクライムも続発している。

 杉田水脈議員の投稿に対する反応は11月13日時点で、約75万件表示され、リポスト(引用投稿)が7300件あまり、賛同(いいね)のアクションが2万件を超えていて、決して過小評価できるものではない。現職国会議員によるあからさまな差別扇動により、在日コリアンに対する偏見・憎悪が拡散されているのはもちろんのこと、ターゲットとされた在日コリアンに深刻な不安と恐怖をもたらしている。

 また、杉田水脈議員は自身のブログで、2016年にスイスで開かれた国連女性差別撤廃委員会の参加者について、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」と投稿し、札幌法務局と大阪法務局からそれぞれ「人権侵犯」であると認定されている。このように、杉田水脈議員は、常習的に、差別発言、マイノリティを攻撃する発言を繰り返している。こうした言動が差別を助長し、社会を分断することにつながるのは言うまでもない。

 私たちは「ヘイトスピーチ解消法」の趣旨にのっとり、杉田水脈議員が自身の「在日特権」を擁護する本件投稿を削除し、今後、同様のデマの拡散やマイノリティを歪曲する発信をやめるよう強く求める。

2023年11月15日

特定非営利活動法人コリアNGOセンター

関連記事

お知らせ

  1. 寒中お見舞い申し上げます。当センターでは下記の期間、冬季休業を取らせて頂きます。
  2. 暑中お見舞い申し上げます。当センターでは下記の期間、夏季休業を取らせて頂きます。
  3. 昨今、コリアタウンフィールドワークのご依頼やお問い合わせが増えています。ありがとうございます。
在日コリアン青年連合(KEY)
文化センター・アリラン
キックアーツテコンドー
よりそいホットライン