4月4日、昨年12月の非常戒厳令宣布をめぐって弾劾決議がだされた尹錫悦大統領に対して、憲法裁判所は8人全員が一致して尹錫悦大統領の罷免を決定しました。今回の罷免決定を受けてコリアNGOセンターでは以下のコメントを発表しました。
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尹錫悦大統領罷免決定に際してのコメント
2025年4月4日、韓国憲法裁判所は尹錫悦大統領の罷免を決定した。私たちはこの決定が昨年12月3日の非常戒厳令宣布に端を発する韓国社会の混乱状況を収束させ、新たな政治・社会状況を開く大きな一歩となることを期待し、歓迎するものである。
今回の憲法裁判所の決定は昨年の非常戒厳令に対して、「当時の状況は危機的な状況とはいえない」「法的な要件を満たしていない」と明らかな憲法違反であるとし、非常戒厳令は国民の基本的権利を侵害するものであったと断罪、全員一致で罷免を決定した。
しかし一方で、尹錫悦大統領罷免をめぐっては韓国市民社会に深刻な分断と亀裂が生まれていることも事実であり、尹錫悦大統領と与党をはじめ尹錫悦大統領の罷免に反対してきた人々も今回の憲法裁判所の決定を受け入れることを望む。
また今回の罷免決定によって、60日以内に大統領選挙がおこなわれ、新しい政権が誕生することになるが、どのような政権になったとしても韓国社会の分断と対立をあおることで政権の求心力を高めようとするのではなく、市民の疎通と和合を通じた社会の安寧を実現してくれることを心より期待したい。
一方で、この間日本でも韓国国内の政治状況に対して関心が寄せられてきたところである。とりわけ尹錫悦大統領は日本との関係改善を最優先の課題の一つとして取り組んできたために、尹錫悦大統領が罷免されたことで日韓関係の悪化を懸念する声や、次期政権を不安視する声も出てくるかもしれない。しかしトランプ政権下で不透明さと混迷が深まる世界情勢のもとで、日韓関係の重要性はこれまでにも増して高まっていくだろう。
ぜひ日本政府、日本市民も韓国市民が示した民主主義への思いを理解しつつ、新しい韓国政権と戦後80年、日韓条約締結60年をむかえ、より発展的なパートナーシップを強めていくためのとりくみを期待したい。
私たちコリアNGOセンターも、在日コリアンの立場から韓国社会と日本社会をつなぐ役割を積極的に果たしていく所存である。
2025年4月4日
特定非営利活動法人コリアNGOセンター