2025年12月25日、三重県の一見勝之知事が県職員採用にあたって国籍要件を復活させることを表明したことに対し、1月9日にコリアNGOセンターとして以下の声明を三重県総務部広聴広報課にメールで送付し、三重県知事に強く抗議するとともに即刻撤回することを要請しました。また同日、三重県議会事務局企画法務課にもメールで送付、知事が撤回するよう働きかけることを要請しました。
こうした三重県の動きは、全国の地方自治体に悪影響を与える可能性もありますので、引き続きコリアNGOセンターとしても注視していきたいと思います。
****************** 以下 声明文 ********************
三重県知事の職員国籍要件復活検討表明に対する抗議と撤回を求める声明
私たち特定非営利活動法人コリアNGOセンターは、人権の尊重と多文化共生社会の実現をめざす在日コリアンの人権団体として、三重県知事による職員採用における国籍要件復活検討の表明に対し、強く抗議するとともに、当該方針の即時撤回を厳重に要請する。
2025年12月25日、一見勝之・三重県知事は記者会見において、国際情勢の変化などを理由に「情報漏洩の観点から国籍条項を見直すべきではないか」と発言し、今後、県民へのアンケート調査を実施し、その結果を踏まえて国籍要件の復活を検討する意向を示した。この方針は、以下の三点において極めて重大な問題を含んでいる。
第一に、地方自治体として多文化共生社会の実現を目指す基本理念に相反している。外国人住民の受入れ増加は、日本社会の深刻な人口減と少子高齢化が背景にあり、外国人住民はすでに日本の経済・社会分野を担う存在として、地域社会を支える、なくてはならない存在となっている。多文化共生社会の実現とは、国籍、民族、言語等のさまざまな差異をめぐる構造的な差別と不平等を解消し、誰もが暮らしやすい社会を創ることを目指す取り組みである。
三重県は、長年にわたり、市民とともに差別の解消と人権の尊重を推進してきた。2022年5月には都道府県として全国で初めて、包括的差別解消条例である「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」を制定し、多文化共生社会の実現に向けて先進的な取り組みを進めてきた。
また昨今の外国人住民に対する偏見や差別を煽るSNS等での排外主義的な言説が流布する中で、昨年2025年11月には、全国知事会においても国民向けのメッセージとして多文化共生の推進等を目指す共同宣言も出されたところである。
今回の三重県知事の「国籍条項の見直し」発言は、こうした地方自治体による多文化共生社会の実現を目指す基本理念に相反するとともに、長年積み重ねられてきた三重県における人権尊重の取り組みに対する自己撞着と言わざるを得ない。
第二に、労働基準法第3条は「差別的取扱の禁止」として、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と明記している。国籍を理由とした採用制限は、法の趣旨に反し、明確な差別行為に該当するものである。
また、こうした権利の保障は自明のものとして存在してきたわけではない。戦後日本においては、行政のみならず民間企業においても在日コリアンに対する深刻な就職差別が横行していた。1970年、在日コリアン青年が国籍を理由に採用を取り消された事例に対して訴訟を提起し、民族差別として争った結果、広範な市民の支援と連帯のもとで勝訴を勝ち取り、就職差別解消の道を切り開いた歴史的意義は極めて大きい。その後、民間企業や地方自治体の努力もあって外国人の採用が広がってきたのである。
今回の三重県知事による国籍要件復活検討の表明は、こうした人権擁護と差別撤廃に向けた長年の取り組みを踏みにじるものであり、差別的政策の復活を意図する極めて遺憾な行為であると言わざるを得ない。
第三に、国籍要件復活検討の理由として「情報漏洩」が挙げられている点である。行政における情報管理やセキュリティ対策の重要性は言うまでもないが、それは業務の性質やシステム運用の在り方に基づいて検討されるべきものである。外国人住民のみを一律に「情報漏洩のリスク」として排除の対象とみなすことは、外国人住民を危険で排除すべき存在として社会に印象づけ、不安や憎悪を助長し、地域社会の分断を深める結果を招くおそれがある。
こうした懸念は三重県内各自治体においても共有されており、伊賀市、鈴鹿市、桑名市などは三重県の検討方針に異論を唱え、外国人採用の継続を表明しており、多くの市民からも批判の声が上がっている。以上の観点から、私たちは三重県知事に対し、職員採用における国籍要件復活検討方針を直ちに撤回することを強く要請する。
2026年1月9日
特定非営利活動法人コリアNGOセンター

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