活動報告

南北平和共存は可能なのか~朝鮮半島のいまを読み解く市民セミナー開催

 3月2日、コリアNGOセンターの主催で「南北平和共存は可能なのか 朝鮮半島のいまを読み解く市民セミナー」を開催、会場・オンラインあわせて約150人が参加しました。
 このセミナーは、昨年から朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)が「統一放棄」「(韓国は)第一の主敵」などと主張し対立、緊張が深刻さを増している朝鮮半島の情勢は、在日コリアン社会にも大きな影響を及ぼしうることも踏まえ、現状をどのようにとらえるかの議論を深めることを目的に、韓国で活躍する在日コリアンジャーナリスト・徐台教さんを講師に招いて開催したものです。
 「いま朝鮮半島をどうみるか」というテーマで行われた徐台教さんの講演ではまず、今回の北朝鮮の「統一放棄」宣言が、韓国が民主化の道を歩み始めた1988年、盧泰愚大統領が「7・7宣言」(南北統一問題に関する特別宣言)で韓国政府が「北進統一」から「民族統一」に大転換を図ったのと同様の大きなインパクトをもった動きであると指摘し、過去の南北関係、特に韓国政府の対北朝鮮政策を中心に概括しながら整理して報告されました。
 その上で、「北朝鮮は南北関係の総括や現在の国際環境などの変化も踏まえ、これまでの統一観との決別を明らかしている」「これまで韓国優位という認識のもとで北朝鮮に対して働きかけられてきた南北統一への過程は、いまや失敗に終わったことを認識し、新しい朝鮮半島の平和実現のためのアプローチが求められている」と語りました。
 講演終了後におこなわれた質疑応答では会場、オンライン双方から13名が質問し、現在の韓国総選挙をめぐる情勢や韓米関係の状況など幅広いテーマで意見交換がされました。
 セミナーの最後に郭辰雄代表理事からは、「朝鮮半島の統一は、戦後在日コリアンにとっては自分たちの将来への希望、期待であり、また分断があったがゆえに入管、教育、社会参画などさまざまな課題において、在日コリアンどうしで対立を繰り返し、人権状況が歪められてきた。分断と戦争の脅威を次の世代に背負わせないためには、在日コリアンは南であれ北であれ自分たちの声を可視化させていく必要がある」と述べました。その上で4月10日に予定されている韓国国会議員総選挙に向けてコリアNGOセンターが各主要政党に提出する在日同胞政策に関する要望書の内容を紹介しました。(内容は別掲載)
 コリアNGOセンターでは、今後も朝鮮半島の平和共存のためにさまざまな議論の場を提供していきたいと考えています。

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